3年間で生徒を「伸ばす高校」と「伸ばさない高校」を調査してみた。

2018年6月15日

昨日行われた小田原高校の説明会で、高校3年間での「伸び率」を示すために、各高校の入試時の学力検査の平均点順位と卒業時の大学実績の順位を比較してお話をされていました。

その発想がとても面白かったので、早速私の方でも下記の方法で調査をし、「各高校の伸び率」をまとめてみましたのでご報告します。大学合格実績のランキングはあっても、伸び率ランキングは盲点でした。発想をありがとう!小田原高校!!

※追記:2018.6.16 湘南高校の国公立合格実績に誤りがあったので訂正いたしました。
※追記:2018.6.18 厚木高校の合格実績に2017年度のデータを用いていたので、2018年度に訂正し、記事一部を修正しました。

調査方法

今回の「伸び率」の調査方法です。

  • 2018年3月時点での学力向上進学重点校のエントリー校17校を調査…横浜翠嵐/湘南/柏陽/川和/横浜緑ヶ丘/希望ヶ丘/光陵/横須賀/鎌倉/茅ヶ崎北陵/平塚江南/小田原/厚木/相模原/大和/横浜平沼
  • 2018年3月卒業生の現役大学合格実績のうち、国公立大学合計と早慶上智合計を、各学校のウェブサイトから調査
  • 2018年3月卒業生が高校を受験した2015年の各高校の学力検査合格者平均を、伸学工房データより調査
  • 2018年の現役大学合格者数を2015年当時の各高校募集人数でわり、割合を求めてランキング

要は、今年各高校を卒業した生徒が高校受験した2015年度の学力検査の平均順位と、今年の大学実績割合の順位を比較することで、伸び率を比較してみるということです。

今回は現役での大学合格者数の調査のために、各高校のウェブサイトを参照しました。サンデー毎日など色々なところで今春の各高校の大学合格実績がまとめられていますが、あれは過年度生と現役とを合算した実績であり、今回の目的とはズレてしまうので使用しませんでした。

なお、残念ながら大和・横須賀・相模原の3校は、本日2018年6月15日時点でまだ今春の進路状況がウェブサイト上で公開されておらず、去年の実績のまま更新されていない状態でした。また、平塚江南は、今春の進路状況がサイト上で公開されていましたが、過年度生と現役との合算した数字のみで、現役合格者数は公開されていませんでした。

その時の心境をツイッターでぼやいています。

よって、学力向上進学重点校エントリー校17校から、大和・横須賀・相模原・平塚江南の4校を除いた13校で「伸び率」ランキングを作成しました。

学力向上進学重点エントリー校の2015年度入試合格者平均点順位

まずは「入口」の部分、3年前の2015年度入試における、学力向上進学重点エントリー校の学力検査の合格者平均点ランキングから発表します。1位〜13位まで一気にどうぞ!

順位 エントリー校 合格者平均点
1 湘南 441.6
2 横浜翠嵐 422.4
3 川和 411.7
4 柏陽 411.5
5 横浜緑ヶ丘 405.8
6 厚木 403
7 小田原 395.8
8 光陵 389.5
9 多摩 388.2
10 希望ヶ丘 379.3
11 鎌倉 375.6
12 横浜平沼 370.4
13 茅ヶ崎北陵 368.2

一つ注意すべき点は、1位の湘南と2位の横浜翠嵐です。伸学工房さんのデータを使用しましたが、伸学工房さんの弱点は横浜翠嵐をはじめとする横浜東部の受験者数。湘南の平均点は90人以上のデータから算出したものですが、横浜翠嵐は30名程度のサンプルしかありません。その10倍以上の生徒が横浜翠嵐に合格しているはずなので、おそらく実際の合格者平均点は1位の湘南とそこまで点数差は開いていないものと思われます。

1位2位のほかは、順当だと思います。昨日の説明会で、小田原高校の校長先生が「うちは合格者平均がエントリー校17校中毎年12位くらい」と仰っていたのがどうも気になっていたんですよね。そんなはずはないだろうと。もうちょっと上だろうと。案の定、2015年度入試では伸学工房さんのデータ上は13校中7位。ここに、今回ランキングから外した横須賀・大和・相模原・平塚江南を加えても、小田原高校は17校中7位と変わりません。十分上の方です。

国公立合格者割合ランキング

次は「出口」の部分、今春の国公立合格者数の割合のランキングです。各高校の卒業生数が不明なため、前途の通りそれぞれの現役合格者数を2015年度の募集人数から算出した割合でランキングしています。

順位 エントリー校 国公立割合 学力検査順位
1 横浜翠嵐 41.3% 2
2 湘南 33.5% 1
2 厚木 33.5% 6
4 柏陽 30.2% 4
5 小田原 22.6% 7
6 川和 19.6% 3
7 横浜緑ヶ丘 16.5% 5
8 光陵 15.5% 8
9 多摩 15.1% 9
10 鎌倉 12.3% 11
11 希望ヶ丘 11.9% 10
12 横浜平沼 11.2% 12
13 茅ヶ崎北陵 4.3% 13

3年前から順位を上げた高校は、横浜翠嵐、厚木、小田原、鎌倉の4校で、逆に順位を下げた高校は、湘南、川和、横浜緑ヶ丘、希望ヶ丘となります。横浜翠嵐の40%以上はぶっち切りですね。3年前までの学力検査ではそこまでぶっちぎっていないのに、国公立の合格割合は他校を一切寄せ付けない。伸び率は問題なく県下No.1でしょう。

他にも注目するべきは、厚木・小田原です。特に厚木は国公立では横浜翠嵐に次ぐ湘南と同じ2位タイ。小田原も学力検査7位から順位を2つ上げて5位に食い込んでいます。この2校は国公立志向の生徒が多いことがうかがえます。逆に、湘南・川和・横浜緑ヶ丘は3年前から順位を下げています。

早慶上智合格者割合ランキング

続いて、私立大学のトップ早稲田慶應上智の現役合格者合計の割合ランキングです。

順位 エントリー校 早慶上智割合 学力検査順位
1 横浜翠嵐 47.2% 2
2 (湘南) (45.5%) 1
3 川和 40.4% 3
4 横浜緑ヶ丘 34.5% 5
5 厚木 33.5% 6
6 柏陽 29.9% 4
7 多摩 26.3% 9
8 小田原 22.0% 7
9 横浜平沼 18.8% 12
10 光陵 17.6% 8
11 希望ヶ丘 17.0% 10
12 鎌倉 13.8% 11
13 茅ヶ崎北陵 7.6% 13

※湘南高校が( )になっているのは、湘南高校は2018年度の私立大の実績を学校ウェブサイト上で公開していませんので、早慶上智のみ2017年度の数値を使用しています。

ここでもトップは横浜翠嵐ですが、国公立のようにダントツではありませんね。3位に食い込んできたのが、国公立では6位に転落した川和です。川和は国公立よりも私立志向が強いのでしょうか。早慶上智は横浜翠嵐・湘南・川和の3校が40%以上でワンツースリーと、3年前のランキング通りになっています。

3年前からランキングを上げたのは、横浜翠嵐、横浜緑ヶ丘、厚木、多摩、横浜平沼の5校で、逆に下げたのが柏陽、小田原、光陵、希望ヶ丘、鎌倉の5校です。ランキングを上げた横浜緑ヶ丘・多摩・横浜平沼は3校とも都心に近く、川和同様国公立より私立志向が強いのかもしれません。

まとめ

国公立大と早慶上智の両方とも、3年前の学力検査ランキングよりランクが上昇した高校が2校ありました。

横浜翠嵐と厚木です。横浜翠嵐は前途の通り、3年前のランキングの信憑性がやや薄いものの、それでも他を寄せ付けない実績は、間違いなく高校3年間で生徒を伸ばしていることになります。厚木はやはり凄いですね。やはり新学力向上進学重点校に選ばれただけあります。入り口順位からの上昇率でいえば、17校中厚木がナンバーワンです。

逆に、残念ながら国公立も早慶上智も、3年前からランクを落としたのが自由な校風で有名な希望ヶ丘です。

3年前と順位が全く変わらなかったのが、茅ヶ崎北陵です。ただ、国公立も早慶上智も茅ヶ崎北陵だけ1桁台。3年前は一つランクが上の横浜平沼より平均点が2点しか変わらないのに、3年後は横浜平沼よりも大きく離されてしまっています。高校3年間で伸ばしていない学校と言わざるを得ません。

「うちは3年間で生徒を伸ばす学校です」と仰っていた小田原は、確かに国公立は大健闘ですね。早慶上智では多摩に抜かれてしまっていますが、多摩と小田原の立地を考えたら仕方ないのかもしれません。国公立で大健闘というよりも、都心に近い高校であれば私立に行くような生徒も、国公立に流れているということでしょう。

たった1学年分のランキングなのでこれだけで高校の伸び率全てを表しているとは思っていませんが、高校選びの参考にはなると思います。