中3生の進路面談が続いています。この面談では、生徒それぞれの志望校の昨年度の合格者平均値から、現在の内申点の持ち点と面接予想点を引き算し、入試当日取らなければいけない学力検査の目標点数を出しています。
中には「え、こんなに目標点数が高いの?」と思う人もいるかもしれませんが、これは合格者平均値から逆算したものです。当然ですが各高校のボーダーラインはもっと低くなります。
ただ、今はまだボーダーラインを提示する時期ではありません。この時期からボーダーぎりぎりのところを狙っているようでは、その受験は失敗する可能性が高くなります。それに、高校入試は合格して終わりではなく、合格してからがスタートです。ぎりぎりで合格するのではなく、余裕を持って合格できる力をつけておかないと、入学後に大変な思いをします。
また、「え、こんなに目標点数が高いの?」と思う人のほとんどは、内申点が志望校に対して低すぎることが原因です。内申点が低ければ、当日の入試で取らなければいけない点数ももちろん高くなります。第2次選考(神奈川県特有の内申点を無視した選考枠)があるじゃないかと言う人もいるでしょうが、今の時期はまだ定員の90%を占める第1次選考枠で合格することを考えましょう。2次選考を考えるのは、最後の内申点が出揃ってからです。
昔よりも実力重視になってきたとはいえ、高校入試において内申点はやはりとても大切です。もうすでに耳タコかもしれませんが、今日はもう一度中3成績1点分の重みについて、話しておきたいと思います。
知らなかったでは済まされない内容なので、「知ってるよ」と高を括らずしっかりと読みましょう。
内申点の計算方法
知っているようで意外と知らない人が多いので、まずは内申点の計算方法の確認からです。神奈川県の場合、選考基準の比率が高校によって様々ですが、だいたいは「内申:学力:面接」=「3:5:2」、「4:4:2」、「5:3:2」のどれかの高校がほとんどです。
例えば「3:5:2」の場合、内申点が300点分になります。神奈川の場合、内申点は中2の9科の成績45点+中3の9科の成績45点×2=135点満点で計算します。これを300点に直す方法は、「(自分の持ち点)×300÷135」の計算式に当てはめると、300点中の内申点の持ち点が計算できます。
「4:4:2」の場合は、内申点が400点分になるので「(自分の持ち点)×400÷135」、「5:3:2」では500点分なので「(自分の持ち点)×500÷135」が計算式となります。
成績1点分の重み
では、成績1点分が入試においてどれくらいの重みを持つか、比率ごとに考えていきます。
「3:5:2」の場合
「3:5:2」の場合、内申点は300点満点、入試が500点満点です。先ほどの計算式に当てはめると、成績1点分は2.22点となります。中3生は成績が2倍されるので、中3の成績1つ分は、学力テスト2.22点×2=4.44点分に相当することになります。
英語国語理科社会のほとんどの問題の配点は1つ3点もしくは4点です。中3の成績1つ上げるということは、1問正解するのと同じ重みを持ちます。逆に言うと、中3で1つ成績を下げると言うことは、1問自動的に不正解になるのと同じことになります。
「4:4:2」の場合
当然ながら、内申点の比率が大きくなる「4:4:2」は、「3:5:2」の高校と比べてもっと事態は深刻となります。「4:4:2」の場合、成績1点分は2.96点分となり、中3の成績1つ分はその2倍の5.92点分です。
ところが、「4:4:2」の場合は、学力試験の得点が500点満点でそのまま計算されるわけではなく、0.8倍した400点満点として計算されます。これを考慮すると、中3の成績1つ分の5.92点を学力試験で補おうとすると、5.92÷0.8=7.4点分正解することが必要となります。つまり、中3の成績1点分は、学力試験配点7.4点に相当することを意味しています。
たった成績1つで入試の7.4点分ですよ、皆さん。めちゃくちゃ大きいですよ。1教科7点以上なんて、そんな簡単には上がりません。小問でいうと2問以上正解するところを増やさなければいけないのですから。
「5:3:2」の場合
「5:3:2」の場合、成績1つ分が相当な破壊力を持つことは、もう理解できると思います。成績1点分は3.70点となり、中3の成績1つ分はその2倍の7.40点です。学力検査の得点は0.6倍の300点満点となるので、7.40÷0.6=12.66点で、中3成績1点分は、学力検査の配点12.66点分に相当することになるのです。
中3成績1つ分の差を埋めるためには、配点12.66分多く正解しなければいけないということです。逆に成績1つ失うことは、12.66点以上失うのと同じです。証明問題10点満点を取っても、成績1つ分の損失は補いきれません。
成績を上げることは最大の受験勉強
このように、県内ほとんどの高校では、中3成績1つ分は学力検査4.44点〜12.66点の配点と同じくらいの意味を持ちます。12月に最終的な内申点が出た後は、受験に向けてラストスパートをかける時期になりますが、ほとんどが同じレベルの受験生の中で、1問でも2問でも差をつけようとするととてつもない労力が必要だということを、身をもって感じることになるでしょう。
内申点は最後の最後に自分を救ってくれます。一生懸命勉強しても、本番で失敗することはあるかもしれませんが、内申点だけは減ることはありません。もちろん内申点が全てではありませんが、今できることは、1つでも多く成績をとって、本番での学力検査の得点分を少しでも楽にしておくことです。
最後の定期テストや授業の受け方など、よくよく考えて1日1日を大切に過ごしてください。