厚木高校の特色検査分析に続いて、今回は平塚江南の特色検査についての記事です。平塚江南は、H30年度の入試から、第1次選考での特色検査の比率をこれまでの2割から1割へと減少するということをすでに発表しています。ただし、第2次選考は2割のままなのでご注意を。
H30年度は特色検査の合否に対する影響が小さくなる平塚江南の特色検査。比率変更の影響を含め、その中身と対策法をまとめてみます。
※問題・解答はこちらからどうぞ。
http://www.kanaloco.jp/article/234499
受験者平均点がなんと85点!
最初に特筆すべきは、今年の平均点からです。全県模試調べ(調査人数88人)ですが、特色検査の平均点が85.13点/100点と、非常に高得点となりました。ちなみに昨年度は70.6点と、他の高校の特色検査に比べるともともと平均点は高めでしたが、2017年度はさらにアップしてとうとう80点代半ばまできてしまいました。
合格者不合格者を合わせても、得点幅は65点〜100点と、全県調査では最低でも65点以上取れていることが判明しています。
では、なぜこんなに平均点がアップしたのか。その理由は「簡単だから」。ただそれだけです。では、平塚江南の特色検査の何がどう簡単なのか、その中身を紐解いていきます。
平塚江南の特色検査が簡単な理由
ほとんどが選択問題
こちらが、2017年度平塚江南特色検査の模範解答です。記号問題が多めであるということが、模範解答からも見てとれると思います。
これまでも、もともと選択問題が多いのが平塚江南特色の特徴でしたが、2017年度は記述問題がさらに減少してしまいました。平塚江南特有の、オリジナリティ溢れる思考力を問うユニークな記述問題も1問だけになり、しかもその1問も然程苦労せずとも回答できるレベルの問題になりました。
その結果、教科横断や資料読み取りというような、見た目こそ「特色検査」の体を成してはいますが、その中身はというと学力検査と何ら変わりはありません。
学力検査よりも知識重視の問題が多い
さらに、平塚江南の特色検査は、共通の学力検査よりも知識重視の設問が多いことも特徴の一つとしてあげられるでしょう。
例えば、
2017年度【課題2】
問5 次の( )に入る語をあとから選びなさい。
電気エネルギーが光エネルギーと熱エネルギーにそれぞれ変換されたときなどのように、さまざまなエネルギーが、たがいに変換されても、エネルギーの総量は増えも減りもせず、もとのままであることを、「エネルギー( )の法則」という。
1変換 2保存 3加算 4分割
学力検査でも、今どきこんな単純な問題は出題されません。
他にも、
2017年度【課題1】
問5 「結局諦めました」の意味になるよう、次の英文の空欄に適する2語を入れなさい。
At last I ( ) ( ).
これもただの熟語の問題で、学力検査の英語に比べると比べ物にならないくらい簡単です。
他の高校の特色検査では、ほとんどの問題が思考力重視ですが、今年の平塚江南に限って言えば、設問の約半数が単純な知識の有り無しを問う内容でした。
毎年傾向が変わらない
平塚江南の特色検査の傾向は、若干の変更点はあるものの、基本的には毎年ほとんど同じです。
前半文系、後半理系の大問2問構成で、文系問題では国語のようなリード文(2017年度は国語の入試問題でもよく扱われる高階秀爾の「日本人にとって美しさとは何か 」から)、理系では理科に関するリード文を読んでから、次々とあらゆる科目へと展開される問題を解いていきます。リード文は国語なのに、問1はいきなり社会の知識問題、問2は国語の読解、問3は江南特有のユニークな発想問題・・・と、まさしく「教科横断的」に教科が目まぐるしく変わっていくということです。
教科が目まぐるしく変わってはいきますが、その多くの問題が、リード文を読む必要がなく、上にあげた例のように、その設問だけ読めばすぐに答えが出ます。もちろん、リード文を読む必要がある設問も中にはありますが、国語の読解問題よりも内容は簡単です。
これが平塚江南の攻略ポイントです。リード文を読まずに、解ける問題をまず一通り解く。そしてリード文を読まなければいけない問題を、あとでじっくりと解く。こうすれば、問題数のわりには時間もかかりません。
この特徴や解き方を過去問で慣れておけば、全く戸惑うことなく平塚江南は攻略できるというわけです。
※過去の平塚江南特色検査分析
まとめ
特色検査の割合を1割に縮小してきたことからも、平塚江南は特色にあまり力を入れたくはないのでしょうね。そう考えると、来年度以降も劇的に内容が変化したり難しくなったりすることもなさそうです。
ただ、簡単で点数が取りやすいということは、もしも失敗したときにかなりの痛手となるということでもあるので、簡単だからとナメていてはいけません。
だからと言って、この程度の問題ならば、何万円もかかるような特色検査対策講座を受講する必要があるとも思えません。
5教科の学力検査で各教科8割くらい取れるように基礎をきちんと勉強し、1月くらいから江南の過去問を3年分くらい解きながら、時間配分やその特徴に慣れておけば十分だと思います。