「生物と無生物のあいだ」と、理科の面白さについて。

今、福岡伸一著の「生物と無生物のあいだ」という本を読んでいます。まだ最後まで読み終わっていないんですが、これがめちゃくちゃ面白いです。理科の教科書では決して語られることのない、今日の生物学の礎を築いてきた科学者たちの思考や発見までの過程を紹介していくバリバリのノンフィクションなのですが、まるで上質のフィクションものを読んでいるような感覚です。
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1953年に、DNAの二重らせん構造を発見し、一躍「時の人」となったワトソンとクリックはあまりにも有名ですが、彼らの世紀の大発見のもとになったのは、実は不正に入手した名も無き(一応有名だけれど)女性物理学者のデータだったことなど、まるでミステリー小説さながらのスリルやドキドキ感が味わえます。まさに、「事実は小説より奇なり」です。

理科が好きな人はもちろん、公立トップ校を目指している中学生であれば、一度は読んでおいて欲しいオススメの本です。分子生物学という難しい題材の本ですが、文章が分かりやすく、なにより内容が面白いので、トップ校を目指しているくらいの国語力があればスッと読めると思います。あと、これを読むと、生物のDNA構造などの仕組みについてとても詳しくなれますよ。2015年の厚木の特色検査の大問2も、この本を読んだことのある人であれば、非常に解きやすかったでしょうね。

この本を読めば読むほど、理科の面白さ、奥深さを思い知らされます。

理科=暗記科目ではない

話は全く変わりますが、先週の土曜日の理科の授業で、「理科は暗記科目ではない」ということを連呼しました。

多くの中学生は、「理科=暗記科目」と勘違いしています。理科は用語の暗記さえしておけば何とかなると思い込んでいる。実際、中学校の定期テストレベルであれば、教科書の用語をとりあえず暗記しておけば、確かになんとかなるんです。でも、学校の定期テストで90点以上を取ってくる子でも、実際の入試となると60点も取れないという現象が起こる。

理科=暗記科目と思っている人は、理科の勉強の仕方の根本からズレています。知識を丸暗記で詰め込めば詰め込むほど、“思考”がはたらかなくなってしまう。だから実際の入試で60点も取れないという悲惨な現象が起こるのです。

理科は暗記科目ではなく、思考の科目です。確かに暗記しなければ解けない問題はあるし、頭の中に知識が全くない空っぽの状態で、思考もへったくれもないのも事実です。ただ、入試理科に関して言えば、私の感覚だと知識4割思考6割で、圧倒的に思考の割合の方が大半を占めています。

理科の苦手な子を見ていると、理科だけでなく全ての科目で考えることを面倒くさがる傾向にあります。少しでも自分が知っているパターンから外れた問題になると、途端に鉛筆を持つ手が止まって考えるのをやめてしまう。こういう子は、いくら理科の知識を最大限詰め込んでも、絶対に入試問題の理科が解けるようにはなりません。

理科ができるようにするためには

理科をできるようにするためには、暗記だけでは太刀打ちできないような問題を解き、理科的な思考法を訓練することです。学校の定期テストの勉強とか、一問一答形式の暗記ベースの問題集をいくら解いても、思考を訓練することはできません。誤解して欲しくないのは、学校の定期テストの勉強や、暗記ベースの問題集がダメと言っているわけではなく、「それだけではダメ」ということです。繰り返しますが、基本的な用語の暗記や知識は必要です。

暗記だけで太刀打ちできない問題とは、ズバリ入試問題です。基本的な知識を学び終えたら、同じ単元の入試問題に取り組んでみてください。きっと、ほとんどできないでしょう。最初のうちはできなくてもいいので、面倒くさがらずに問題を考えてみてください。間違っても、「答えや解き方を覚えておこう」というような暗記に頼らないようにしましょう。暗記に頼る勉強をしていると、思考はいつまでたっても鍛えられません。

このブログでも、「理科は難しい問題を解かなければ力は付かない」と言ってきたのは、こういう理由です。学校の定期テストややさしめの問題集は、理科の本質をつく問題設計にはなっておらず、知識が身についているかどうかを確認するための問題なので、入試には適さないのです。

理科の思考は特色検査の思考と一番近い!

理科に必要なの力は、「原理と与えられた条件から、論理的に答えを導きだす思考力」です。原理原則をきちんと理解し、問題の条件を読み取り、原理原則・知識・条件の3つの要素から論理的に、つまり筋道を立てて考える力が求められています。

土曜日の理科の授業でも、「理科ほど特色検査に近い科目はない」と言いましたが、これは特色検査で求められている力と全く同じです。つまり、理科をやればやるほど、それに比例して特色検査に対する力も付いてきます。逆に言うと、特色検査の勉強を重ねて論理的思考が鍛えられると、入試理科に対する力も付いてくるでしょう。

結論:理科は考えれば考えるほど面白くなる

今年小田原高校に合格した子の1人は、入塾時めちゃくちゃ理科が苦手でした。本を読むのが大好きで、数字は大嫌いな典型的な文系っ子です。いつも苦手な勉強を後回しにしてはこっぴどく怒られていました。そんな彼女に、とにかく全国入試問題集で難しい問題を解けとアドバイスを繰り返してきました。

ただでさえ理科が苦手なのに、難しい問題なんて解いたらもっと理科が嫌いになると普通は思うでしょう。彼女も最初はそう思っていて、アドバイスをなかなか実行できませんでした。でも、渋々アドバイス通りに全国入試問題集で入試問題を解いていくと、あんなに理科嫌いだった子が「全国入試の理科は面白い」と言うくらいになったのです。

暗記の中に理科の面白さはありません。暗記をしているかどうかを問う標準的な問題の中にも、理科の面白さはありません。理科=思考の科目であるということが分かるようになると、理科の面白さに気付くことができます。また、それが分かるような勉強をすると、入試理科の力は必ず付いてきます。

冒頭に紹介した「生物と無生物のあいだ」が面白いのも、そこに登場する科学者たちの深い洞察と思考に触れることができるからでしょう。

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