受験に失敗する家庭の典型的な3つの例

2013年3月19日

1.受験生の親の役割を、極端に逸脱するご家庭

私の経験則では、受験生の親の役割を極端に逸脱する家庭の場合、子どもが高校受験に失敗する確率がグンと高くなる。高校受験の場合、親の役割とは基本的に、精神面と身体面で子どもをサポートする役割に尽きる。勉強に疲れて帰ってきた子どもに温かいご飯を用意してあげたり、志望校に悩んでいる子どもの話を聞いてあげたり、成績が伸びてきたら褒めてあげたりというのが、主な受験生の親の役割だ。

その役割を極端に逸脱し、親が子どもの勉強の仕方についてまでアレコレと口出しするようなご家庭の場合、子どもが途中で挫折してしまうか、最後まで自分なりの勉強法を確立できずに成績が伸び悩むかで、大概の場合は上手くいかない。もし子どもがどこかの塾に通っていて、その塾が信頼できるのなら(信頼できない塾に通わせているのなら速攻辞めた方が良い)、勉強のことは全て塾に任せた方が良い。塾に行かせているにも関わらず、親が勉強のことを口出しすることで、子どもにとって命令系統が親と塾の複数になってしまい、かえって子どもを混乱させてしまう。また、親が子どもに自分の勉強法を押し付けることで、子どもは自分なりの勉強法を確立できない。

高校受験では、勉強面で親が考え無しに口出しをすることで、良い結果を生む事はほとんどないということを覚えておいて欲しい。

2.親の方が子どもより受験に力が入っているご家庭

親の方がやたら受験情報に詳しかったり、親が率先して高校の説明会を予約していたりと、子どもよりも親の方が受験に力が入っているご家庭も、受験に失敗する確率が高くなる。親が子どもの変わりに受験のことを考えれば考えるほど、子どもはいつまで経っても受験を自分の事だと考えられなくなり、意欲的に勉強できなくなる。受験の主役が自分自身であると捉えることができて初めて、子どもは受験に対して前向きになる。

親が受験の主役だと勘違いしてはダメだ。今までの受験生とその保護者の方を見ていると、保護者の方が適度に力が抜けているくらいが、最も上手くいきやすい。

3.子どもに甘すぎるご家庭

子どもに勉強のことを口出しすぎるのも良くないが、逆に甘やかしすぎても子どもは伸びていかない。受験勉強が辛そうだからと、子どもの意志に反して簡単に入れる学校を勧めてみたり、塾の勉強が大変そうだからと、親が勝手に塾を休ませたりと受験や勉強に関して甘やかせてしまうと、大変な受験勉強を乗り切る力が養われない。また、受験生だからと特別扱いし、子どもに家庭の仕事を手伝わせなかったり、子どものワガママを何でも聞いてやったりという甘やかせ方も禁物。

以上3つが、受験に失敗しやすい典型的なご家庭のパターン。保護者説明会の度に、「勉強のことは全てお任せください」と保護者の方に言っているのだが、何度言っても分かってもらえないこともある。特に、成績があまり良くない子どものご家庭に限って、一から十まで親が口出しをしてしまう(だから成績が良くならないのだが)。親が勝手に過度な期待を子どもに押しつけ、勉強や成績について責める言葉ばかりを投げかけ続け、必要以上に気負って空回りを続けた挙げ句、先に焦げ付いていてしまうという例を何度も見てきた。

親の役割をしっかりと認識し、甘やかさず、干渉しすぎず、放置しすぎず、子どもと適度な距離感を保つことこそが、高校受験での「家庭の力」であるというのが、10年以上現場で受験生とその保護者を見てきた私の結論。