県下No.1の実績を誇る横浜翠嵐の強さの秘訣は、たくさんの「覚悟」にあった。

2018年高校訪問3校目は、満を持しての横浜翠嵐高校です。地理的な問題で小田原にあるうちの塾からはなかなか受験する生徒がいませんが、今や横浜翠嵐高校といえば神奈川県内はもちろん、有名公立進学校として全国的にも名を馳せるようになりました。

2017年度の大学入試の実績では34名(うち現役21名)の東大合格者を輩出してからは色々な雑誌でも翠嵐の躍進ぶりが取り上げられ、今年も1年間で県内外から50校以上もの高校が視察に訪れるのだとか。

そんな、全国的にも名を轟かせた横浜翠嵐の強さとはどこにあるのか、その秘密を探るべく、小田原からはるばる新幹線に乗って、三ツ沢下町から徒歩10分ほどにある横浜翠嵐を訪れてきました。

入学したての高1生の指導を徹底的に

お忙しい中対応していただいたのは、横浜翠嵐のトップの佐藤到校長先生。まずは、他校にはない横浜翠嵐の特徴を校長先生からうかがう。

佐藤校長「入学直後の高1生のときに、学習習慣と生活習慣の両方を徹底的に指導しています。学習習慣は特に自宅学習ですね。平日は学年+2時間、休日は学年+4時間の自宅学習を目標にと指導しています。また、もともと真面目な生徒が多い本校ですが、生活面に関しても、遅刻や礼儀などのマナーに関しては、入学当初からきちんと指導します。」とのこと。

佐藤校長から手渡された1枚のプリントの冒頭には、このように書かれてある。

本校には横浜翠嵐高校1年生としての「覚悟」をもって入学してきてください。
中学と同じ気持ちでは、本校の学習・生活を進めていくことはできません。我々は、みなさんが「中学4年生」になることを求めてはいません。「横浜翠嵐高校1年生」になるために、意識を変えてください。

「高校受験生の場合、横浜翠嵐高校に合格することがゴールになっている場合が多く、受験前に一生懸命勉強していても、高校入学後にピタッと勉強をやめてしまう生徒が多いんです。でも、次の大学受験となると、県内だけでなく全国が相手です。しかもその中には中高一貫校の生徒もいる。高1生からきちんと学習習慣を身につけておかないと、中高一貫校の生徒と勝負ができません。」と、自身も中高一貫校出身である佐藤校長はおっしゃった。

神奈川県トップの進学校の横浜翠嵐ともあれば、他校と比べても生活面でも学習面でもきちんとしている生徒はもともと多いだろう。それでも、佐藤校長は高1生の段階での徹底した指導の必要性を力説されていた。神奈川県内の公立の進学校はどちらかというと自由な校風の高校が多く、翠嵐のように高1生から学習習慣や生活習慣について厳しく指導する高校は珍しい。

このように翠嵐は、入学当初の高1生の段階で、生徒に「覚悟」を要求し、先生方も「覚悟」を持って生活面・学習面の指導にあたる。進学校という立場にあぐらをかくのではなく、入学段階から横浜翠嵐高校1年生としてふさわしい振る舞いや学習習慣を身に付けさせる徹底した指導こそ、横浜翠嵐の強さの源なのかもしれない。

東大や国公立にはこだわらない。生徒が第一志望に合格できる学力を。

今回の横浜翠嵐訪問で一番驚いたのが、横浜翠嵐の大学進学実績への考え方だった。横浜翠嵐は、前途の通り2017年には東大合格者数が現役浪人合わせて34名と躍進し、2018年は東大は14名と減少したものの、国公立大へは現役だけで148名と、40%以上の生徒が国公立大への進学を果たしている。この実績に対して、佐藤校長はどう考えているのか率直に聞いてみた。

佐藤校長「ご期待に沿えない答えだと思いますが、国公立大に何人とか、東大に何人とか、そういう数字に特にこだわっていませんし、明確な数値目標も設けていません。ただ、翠嵐生のポテンシャルを考えると、もうちょっと国公立大に行けるかなとは思います。それよりも大切にしているのは、生徒が希望する大学に合格できる力を身につけさせることです。」と意外な答えが返ってきた。

多くの公立高校、特にトップ校では、国公立大や有名私立大に対して、〇〇名以上もしくは〇%以上というような明確な数値目標を掲げている一方で、間違いなく県下No.1の合格実績を誇る横浜翠嵐は、そのような数値目標すら掲げていないという。

では、なぜこれだけ国公立大への合格者が多いのか。

佐藤校長「翠嵐は高校生としての教養、すなわち5教科をきちんと学習することにこだわっています。2年生から文系理系クラスに分かれますが、3年生になっても文系でも数学も理科も勉強するし、理系も社会をきちんとやる。これだけ学校で一生懸命5科目を勉強していると、生徒は自然と5科目が必要な国公立を目指すようになります。」とのこと。

国公立や難関大合格のための学校側のバックアップ体制も整っている。たとえば1〜2年生対象に土曜日の午前中に開催される講習は、90%以上の生徒が受講するという。この土曜講習のために、土曜日の午前中はすべての部活動を禁止しているほどの徹底ぶり。他にも、教員による難関大突破講座が自主的に開かれたり、添削を細かく丁寧に行ったりと、学校を上げて教科指導を行っているとのこと。

佐藤校長は何度も「横浜翠嵐の授業や課題についてきてくれたら、塾や予備校は必要ありません。東大合格だって翠嵐の授業だけで可能です。」と断言されていた。この時代に堂々と胸を張って「塾は必要ない」と言い切る高校も大変珍しいが、そう言い切れるだけの体制と自信が、横浜翠嵐にはあるということの現れだろう。

勉強一辺倒ではない!実は充実している学校行事。

横浜翠嵐といえば、湘南と比較対象されやすく、「学校行事で大盛り上がりする青春満喫高校の湘南」VS「行事よりもとにかく勉強一辺倒の横浜翠嵐」という両極端のイメージが定着しているが、話を聞けば横浜翠嵐の学校行事もかなり充実している。

文化祭・体育祭と隔年開催の高校も多い中、横浜翠嵐は両方とも毎年きちんと開催している。特に盛り上がるのが9月に行われる体育祭で、生徒は体育祭に向けて一年かけて準備をするというが、これも時期まで湘南と全く同じだ。6月に行われる文化祭「翠翔祭」も、今年度は9000人以上の来場者があり、決して小規模でこぢんまりと行われているわけではなくこれも本格的。

部活動も陸上部がインターハイに出場したり、クイズ研究部がテレビのクイズ番組で活躍するなど、部活動も想像以上に盛んに行われている。ただ、部活動は夏は18:30、冬は18:00完全下校、定時制の授業が始まる16:45以降は音を出さないなどのルールは徹底されているという。

部活も学校行事にも一生懸命やるけれども、あくまでも勉強が第一だということを忘れず、ルールと節度を保って取り組むという、ある意味高校生として至極当然で健全な姿を示しているのだなと感じた。

探究心旺盛な、伸び代のある子に来て欲しい

最後に、どのような生徒に翠嵐高校に来て欲しいのかを聞いてみた。

佐藤校長「うちの高3生に、映画製作の大会で準優勝した子がいるんです。他の賞をとった子はほとんどが専門の科のある生徒だったそうです。その生徒のように、たとえ環境に恵まれてなくても1つのことに没頭し、結果を残せるような生徒、探究心旺盛な生徒に来て欲しいと思っています。そういう子は勉強でも伸び代がありますから。」とのこと。

もう一つ、横浜翠嵐の入試の代名詞と言える、独特の特色検査についてもこのように言及されていたので紹介しておこうと思う。

佐藤校長「記述の多いうちの特色検査は、与えられた時間内で、自分の考えを相手に分かりやすく説明する力があるかどうかを見ているのです。もうすぐ大学入試も新しくなりますが、求められている力はこれと同じです。頭では分かっていても、それが相手に伝えられないとダメなのです。」とおっしゃった。

2018年度の横浜翠嵐の「裁断機」の問題なんてまさにその典型的な例だろう(課題1設問3)。

佐藤校長「うちの特色検査は答えが1つじゃない。いろんな考え方がある。だからこそ、それをきちんと説明できる力が必要なのです。採点する方も相当な時間をかけてやってますよ。」

まとめ

今回初めて横浜翠嵐を訪問して感じたのは、「覚悟」だった。

生徒にも翠嵐生としての「覚悟」を求め、教師陣も「覚悟」を持って全力で指導にあたり、学校側も県下トップ校としての「覚悟」を持って地方公立校としてのあるべき姿を示す。

そんなたくさんの「覚悟」が詰まった横浜翠嵐は、他の公立高校にはないピリッとした雰囲気があった。でもその「ピリッとした雰囲気」は、決して生徒や教員を萎縮させるような類のものではなく、どこか心地良さをも感じる空気が流れていた。

生徒も先生もそれぞれの覚悟を背負い、あくまでも勉強を軸として適度な緊張感を持ちながら生活する中で、部活にも学校行事にも精を出す横浜翠嵐特有の空気だろう。

そんな空気の中で3年間を過ごす横浜翠嵐高校。間違いなく、神奈川を代表する県下No.1の高校だと言えるだろう。

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