11月20日(火)に県教委から「平成30年度公立中学校等卒業予定者の進路希望の状況」というものが発表されました。
この調査は、県内公立中学校に通う中3生が、10月20日時点でどのような進路を希望しているかをまとめたものです。県教委のページを覗くといろいろなデータがありますが、教育業界以外の普通の人がこれらを全て見て分析する必要はありません。
このデータの中で、一般の受験生やその保護者の方が一応知っておいた方がいいのが、「第11表 県内公立高等学校進学希望者の高等学校別希望状況」というもので、10月20日時点で、各高校にどれくらいの希望者がいるのかがこの表から知ることができます。
ただ、この表もとても見にくいので、カナガクさんをはじめとする様々なサイトで、これらの進路希望調査をもとに、各高校の「暫定倍率」がまとめられているのでそちらを参考にした方が分かりやすいです。
参考:https://kanagaku.com/archives/23983(カナガクより)
今日は、このブログでも、学力向上進学重点校4校と慧真館周辺の県西地区周辺校のいくつかの暫定倍率を取り上げ、各高校の2019年度動向を昨年度と比較しながら探ってみたいと思います。
学力向上進学重点校4校+慧真館周辺主要高校暫定倍率まとめ
学校名 | H30暫定倍率 | H29暫定倍率 | 昨年比 | H30出願倍率 |
横浜翠嵐 | 2.21 | 2.39 | −0.18 | 2.35 |
---|---|---|---|---|
湘南 | 2.35 | 2.02 | +0.34 | 1.67 |
柏陽 | 1.80 | 1.61 | +0.19 | 1.28 |
厚木 | 1.60 | 1.49 | +0.13 | 1.32 |
小田原 | 1.44 | 1.48 | −0.04 | 1.35 |
平塚江南 | 1.15 | 1.32 | −0.17 | 1.37 |
秦野 | 1.09 | 1.28 | −0.20 | 1.14 |
西湘 | 1.66 | 1.58 | +0.08 | 1.37 | 大磯 | 1.13 | 1.19 | −0.06 | 0.94 |
表の見方
H30暫定倍率は、先日発表された2018年度10月時点の進路希望調査による暫定倍率、H29暫定倍率は昨年度の同時期の暫定倍率、昨年比は昨年度と比較してたもの。赤字であれば昨年度より人気が高く、青字であれば昨年度より人気が低いことを示しています。
H30出願時倍率は、今春に行われた入試での志願変更前の最初の出願時の倍率を表していて、実質倍率とは異なるので注意してください。最初の出願時の倍率を表しているのは、10月時点での志願者数と実際の出願者数を比較するためです。
学力向上進学重点校4校
まずは、学力向上進学重点校の4校の横浜翠嵐・湘南・厚木・柏陽を見てみましょう。横浜翠嵐以外の3校は、昨年度の同時期よりも暫定倍率が高くなっていますね。
人気上昇の湘南と、ややダウンの横浜翠嵐
特に最近人気の低迷が続いていた湘南は、昨年度の同時期より0.34ポイント増、希望者数でいうと722人(H29)→842人(H30)と大きく伸ばしています。昨年比では県立高校の中で2番目の増加率です(ちなみに1番目は鎌倉高校の0.58ポイント増)。この前の全県模試さんの分析とは、ちょっと異なった結果になっています。
今春行われた大学入試で湘南が久しぶりに躍進し、東大の現役合格者数(17人)が横浜翠嵐の11人を上回ったことが影響しているのでしょうか。湘南の暫定倍率が高くなった一方で、横浜翠嵐は−0.18ポイントとややダウンです。
ただ、この2校は業界内のいろいろな事情が大きく影響する高校なので、必ずしも暫定倍率通りになることはありませんし、志願変更後や入試後の取り消しでも大きく倍率が動きます。暫定倍率はあくまでも参考程度として考えておきましょう。
人気上昇傾向の厚木・柏陽
次は、今年から正式に学力向上進学重点校の仲間入りを果たした厚木と柏陽です。学力向上進学重点校の仲間入りの影響なのか、厚木・柏陽ともに昨年度よりもやや暫定倍率が高くなっています。厚木に関しては、全県模試さんの分析でも今年は人気がやや高くなると予想されていたので、その通りになっています。
厚木・柏陽が昨年度より人気を集めたその煽りをもろに食らっている高校が、学力向上進学重点校から漏れた川和高校でしょう。上の表にはありませんが、川和のH30の暫定倍率は1.64と、H29の2.05よりも0.42ポイントも減少しています。ちなみに、川和の0.42ポイントの減少は、県立高校の中でワースト1の減少率になっています。
そう考えるとやっぱり「学力向上進学重点校」という看板のブランド力は大きいですね。ただの看板なんだけどね。
県西周辺高校
次に、地元県西周辺の高校の動向を見ていきます。
ほぼ昨年度並みの小田原と、やや減少気味の平塚江南
小田原はほぼ昨年度並みの暫定倍率、平塚江南は昨年度の暫定倍率よりも0.17ポイントダウンし、1.15倍という低い倍率が出ています。この2校はほぼ全県模試さんの分析通りになっています。
ただ、H29の暫定倍率の時点でも小田原の方が平塚江南よりも余裕で上回っていたのが一転、出願時には平塚江南の倍率が小田原を上回るという、まさかの事態となりました。
だから結局暫定倍率はあてにならないんですよね。よって今年も、現時点での平塚江南の暫定倍率が低いからといって、それを鵜呑みにしない方が良さそうです。
ちなみに、これは個人的な考え方ですが、今年の特色検査の変化は、平塚江南受験者にとっては精神的な負担感が大きいかもしれないと感じます。なんせ、今までの平塚江南の特色検査は、特別な勉強はほとんど必要のないくらい簡単なものだったのですから。その易しい特色検査から、湘南や厚木等の受験生と同じレベルの特色検査になることを考えると、ちょっと尻込みしてしまう受験生もいそうな気もします。
秦野・大磯は低迷、西湘の人気が上昇
次は県西周辺地区2番手校の秦野・西湘・大磯を見てみます。
この3校の中で要注意なのは西湘ですね。
昨年度定員数が一クラス分(40人)削減された影響もあり、西湘の出願時の倍率が1.37倍と、小田原よりも高くなりました。その影響で今年は倍率が下がるかと思いきや、全くそんなことはないどころか今年は暫定倍率が1.66倍とさらに人気を上げ、県西周辺地区ではダントツでナンバーワンの高倍率となってしまいました。今年も西湘は去年並みか、もしかしたらそれ以上に倍率が高くなる可能性が大です。
その一方で秦野は昨年比で−0.20ポイントと、かなり人気を落としています。県西周辺地区だけでいうと、去年比でワースト2の減少率です(ワースト1は伊勢原高校の−0.35ポイント)。また、昨年度最初の出願時に定員割れを起こし、その後なんとか定員割れの危機を凌いだ大磯ですが、今年は昨年度の10月時点よりもさらに暫定倍率を落としてしまっています。
秦野・大磯はもともと倍率が高くなりにくい高校ですが、今年も低倍率傾向が続くのかもしれません。
暫定倍率はあくまでも参考数値
最後に、毎年の決まり文句ですが、暫定倍率はあくまでも参考数値として捉えること。毎年、暫定倍率が高くても実際の倍率は低い高校もあるし、もちろんその逆もあります。
間違っても自分の志望校の暫定倍率が高いからといって、現時点での暫定倍率が低い高校に志望校を変えたり、自分の志望校の暫定倍率が低いからと、安心しきって勉強の手を脱いたりなんていうバカの極みみたいなことはしないこと。
まだ倍率を気にする時期なんかじゃないし、コンマいくつの倍率の違いが気になるレベルの勉強なんてまだできていないでしょ。