今日は塾の先生に向けての記事です。
Twitterでも告知していますが、慧真館も加盟している神奈川県私塾協同組合主催の研修会で講師を務めます。研修会のテーマは理科です。
以下その詳細です。
神奈川県私塾協同組合理科研修会
- 日時:10月2日(火)10:30〜12:30
- 場所:小田原市民交流センターUMECO 第3会議室
- 内容:理科の入試問題研究、対策法と指導法
- 定員:30名ほど(外部の方も参加可能)
- 費用:加盟塾は無料、未加盟塾はお一人1000円
興味のある方は、組合のウェブサイトからメール等でお申込みください。
現在、研修会の準備を着々と進めていて、過去10年分の理科の入試問題と各設問ごとの正答率等を改めて分析したり、いろいろな教材会社から県版対策教材を取り寄せて比較しながら教材研究をしたりしています。結構骨の折れる作業ですが、こういう分析や考察は嫌いではない(むしろ好き)なので苦にはなりません。
正答率ごとに問題を分けると色々な発見がある
まだ分析途中なのできちんとは書けませんが、今取り組んでいるのは10年分の正答率ごとの問題分類です。これをやると本当に色々なことが見えてきて面白いです。
たとえば正答率が一番低い問題を追っていくと、10年前の2008年ではコレ↓
この問題で正答率が29%。何が難しいのかよくわからないような、基本的かつ典型的な問題です。今だったら確実にサービス問題です。
過去10年間で理科の県平均が最も高かったのが2010年で、100点満点換算すると73.6点になります(当時は50点満点でした)。その2010年度で、最も正答率が低かった問題がコチラ↓
ちなみにこの[実験2]とは、塩酸と水酸化ナトリウムの中和実験です。この中和実験でできる結晶Naclを答えさせる問題です。これが正答率37.4%で2010年度最低でした。今なら信じられませんが、当時は簡単な4択問題ばかりだったので、このように選択問題以外の問題になるだけで正答率が下がっていたんですね。ただ、正答率37%で最低だと言えた時代です。
それが、2014年度入試から一気に理科が難しくなり、翌年の2015年度には県平均が過去10年間で最低の37.4点まで落ち込みました。その2015年度で、正答率が最低だった問題がコチラです↓
この問題の正答率が1.8%。斜面上の分力を文字で表す問題です。今こそ典型的な分力の問題として各塾で対策されている問題レベルですが、当時はこんなレベルの問題が、神奈川の公立入試で出題されるとは、ほとんどの人が想像もしていませんでした。
これは思考力や活用力が乏しいから解けなかったのではなく、単純にそんな問題に今まで取り組んだことがない受験生がほとんどだったから、正答率がここまで落ち込んだのだと推測できます。
最近も神奈川の理科が難しい状態は続いていますが、過去最低を記録した2015年度と比べると、ここ2〜3年は受験生のミスの仕方も難しさの質も変化しつつあります。
ある程度理科の難しさに受験生も学校・塾側も慣れ、それと共に対策も進んできているので、2015年度のようなややレベルの高い典型問題の正答率が上がってきました。それにつれて、典型問題のレベルも少しずつ上がってきて、また典型問題を対策しているだけでは解けない思考・活用の問題が増えています。今正答率が低いのは、そのようなかなりのレベルの典型問題と、思考・活用を要する問題となっています。
という話をしようかなと。あとは、正答率何%以上の問題を狙っていくのならこの対策テキストがオススメというように、県版の対策教材の選定も正答率ごとに考えていけば面白いかなと思っています。
セミナーは最高のアウトプットの機会
こういう研修会の講師を務めたり自分でセミナー等を企画したりすると、多くの人から「大変ですね」なんて声をかけられます。確かに大変なことも多いですが、自分自身めちゃくちゃ勉強になるんですよね。昨日も勉強の結果が間違いなく変わる7つのアウトプット法という記事を書きましたが、研修会の講師をしたりセミナーを開催するというのは究極のアウトプットです。
今回の研修会も、過去10年分の理科を改めて分析し、正答率ごとに問題をソートするというキッカケになっています。この研修会によって、一番理科について学んでいるのは、どの参加者の先生でもなく間違いなく自分自身です。なので、自分の成長のためにも、こういう機会があればできるだけ引き受けるようにしています。
超マニアックな話になるかもしれませんが、興味のある方は是非!ちなみに外部参加者に対しての組合への強引な勧誘等は一切ないのでご安心ください。(私塾組合について、なぜ自分が加盟しているかについても、いずれブログ記事にしようと思っています)
よく勘違いされるので一応書いておきますが、何人来ていただいても私に対する報酬はゼロ円です。報酬はありませんが、それを差し引いても自分自身の勉強になり、また多くの人にお会いすることができるというメリットしかないのでやっています。
ちなみに、アウトプットに関してこんな本もあります。昨日の記事は、この本を参考に中学生の勉強にあてはまるように書いたものです。あのすばる進学セミナーの中本先生の推薦本でもあります。コチラも是非!