今日の午前中、全県模試でおなじみの伸学工房のセミナーに参加してきました。全県模試は、神奈川県では間違いなく最大級の入試模試で、毎年約20000人が受験します。
各模試会社は、入試後に受験生の「追跡調査」というものを行います。この追跡調査では、受験校の合否、学校成績・学力検査・面接・特色検査の得点を受験生もしくは模試を採用した塾に1件1件ヒヤリングをし、それを元に各高校の平均点やボーダーラインなどを推測値として算出します。調査数が多ければ多い方が実際の値に近づいていくので、県下最大級の受検者数を誇る全県模試の追跡調査の数値は非常に信憑性が高く、うちの塾で毎年正確な進路指導ができるのも、こうやって皆さんにブログで入試データをお届けできるのも、伸学工房さんの追跡調査による分析のおかげです。
さて今日は、今日の伸学工房さんのセミナー資料を元に、2018年度入試の各高校の合格者平均とボーダーラインをまとめていきます。今後の参考として、是非活用にしてください。ちなみに、追跡調査の情報と私独自の調査分析を交えたより詳しい内容を、7月14日(土)14:00〜15:30の中3生保護者対象の入試説明会でお話する予定です。中3生の保護者の方は、是非こちらの方にもご参加くださいね。頑張ってしゃべりますので!!
2018年度高校別合格者データと表の見方
まずは2018年度の慧真館周辺の主要高校別合格者平均値と2次ボーダーラインです。
高校 | 2018合格者平均 | 2次ボーダー | 最終倍率 | ||
内申 | 学力 | 特色 | |||
湘南 | 129.9 | 435.2 | 64 | (418) | 1.37 |
厚木 | 126.2 | 407.3 | 73.5 | (379) | 1.23 |
小田原 | 126.3 | 385.8 | ー | 365 | 1.28 |
平塚江南 | 121.5 | 387.0 | 74.4 | (362) | 1.29 |
秦野 | 116.1 | 337.5 | ー | 302 | 1.13 |
海老名 | 118.7 | 346.2 | ー | 315 | 1.14 |
西湘 | 110.9 | 306.3 | ー | 292 | 1.28 |
大磯 | 105.5 | 301.9 | ー | 270 | 1.10 |
2018年合格者平均
2018合格者平均は、全県模試の実施会社伸学工房が調査した2018年度入試の各高校の合格者ごとの平均値です。それぞれの数値の分母は、内申135点満点(中2成績45+中3成績45×2=135)、学力検査500点満点、特色検査100点満点で表しています。
ここでの注意点は、これは各高校の合格者全員を調査した平均ではなく、伸学工房が調査できた人数の中での平均値だということです。例えば、小田原高校の場合、全合格者319人中102人(全体の約32%)、厚木高校の場合、全合格者360人中109人(全体の約30%)から算出された平均値であり、実際の平均値とは多少の誤差があります(実際の平均値は各学校とも非公表です)。
2次ボーダーライン
2次ボーダーラインとは、伸学工房調査における、2次選考での学力検査500点満点のボーダーラインです。「2次選考」というものがよく分からない人は、以下の過去記事を参考にして下さい。
参考:オール1でも公立トップ校に合格する方法:2次選考を正しく理解してる?
実際の2次選考は、500点満点の学力検査の他に、面接点と特色検査の点数も加算されます。面接点に関しては、得点差が小さい高校がほとんどなので合否への影響は小さいと思われますが、特色検査実施校の場合、学力検査が2次のボーダーを超えていても特色検査の点数が悪いと不合格になっています。なので、特色検査の2次ボーダーの数字は( )付きで表記しています。
なお、いずれの高校でも、実際のボーダーラインの数値は上記よりも5点〜10点程度低いと考えられます。ただ、実際のボーダーライン上の数字は極めて不確定要素が強くなってしまうので、ボーダーラインよりも少し上だと考えられる数値を表記しています。分かりやすく言えば、特色検査実施校以外は、学力検査で上記ボーダーの点数以上を取っていれば間違いなく合格しただろうと考えられる数値です。
最終倍率
2018年度入試の最終倍率を表しています。ボーダーラインの値は倍率に大きく左右されるので、毎年これくらいの点数がとれると合格できるわけではありません。倍率が上がればボーダーも上がるし、その逆も然りです。
合格者平均2017年との比較
次に、2017年度と2018年度の合格者平均の内申点・学力検査・最終倍率を比較します。全ての高校で学力検査の点数が低くなっていますが、これは学力検査の難易度が大きく影響しています。学力検査の県全体平均で言うと、2017年度は289.9点、2018年度は264.8点という結果でした。
高校 | 内申平均 | 学力平均 | 最終倍率 | |||
’17 | ’18 | ’17 | ’18 | ’17 | ’18 | |
湘南 | 128.5 | 129.9 | 452.8 | 435.2 | 1.26 | 1.37 |
厚木 | 125.9 | 126.2 | 431.9 | 407.3 | 1.22 | 1.23 |
小田原 | 124.5 | 126.3 | 408.7 | 385.8 | 1.13 | 1.28 |
平塚江南 | 123.0 | 121.5 | 409.1 | 387.0 | 1.15 | 1.29 |
秦野 | 117.7 | 116.1 | 371.4 | 337.5 | 1.14 | 1.13 |
海老名 | 119.0 | 118.7 | 382.6 | 346.2 | 1.35 | 1.14 |
西湘 | 107.5 | 110.9 | 340.9 | 306.3 | 1.09 | 1.28 |
大磯 | 108.4 | 105.5 | 333.8 | 301.9 | 1.23 | 1.10 |
平塚江南と小田原
ここで特筆すべきは、平塚江南と小田原の2校です。どちらも全県模試の偏差値は65と同程度ですが、2018年度入試で小田原が3:5:2から4:4:2と選考基準を変更し、特色検査も廃止したことから、平塚江南と小田原の合格者平均も両校の特徴がよりはっきりと現れるようになりました。
小田原は2017年から2018年、選考基準の変更により内申の平均値を大きく上げているのに対して、平塚江南は逆に下げています。その一方で、学力検査は2017年2018年とも、小田原よりも平塚江南の方が高くなっています。つまり、内申型の生徒は小田原へ、学力型の生徒は平塚江南へと流れる現象は次の入試でも続くと思われます。
合格者平均の活用の仕方
内申点は合格者平均を目標に
内申点は、志望校の合格者平均を目標にしましょう。もちろん平均よりも高い分には何の問題もないので、現時点で内申点が平均を超えていても、それで満足することなくさらに高みを目指してください。
問題は、現時点で合格者平均に達していない人です。内申点に関しては色々な考え方がありますが、私は最初から内申点をみすみす諦めることもないと思っています。というより、いまの時点で「俺は内申が取れないから2次選考狙いだ」とか決めつけるのはナンセンスです。確かに2次選考狙いなら、内申点がたとえオール1でも問題はないのですが、2次選考枠は全体のたった10%です。最初からそんな狭き門を狙うのではなく、まずは90%枠の1次選考できちんと合格することを考えるのが一般的です。
合格者平均に達していない人は、まずは平均に達することを第一の目標にしましょう。平均値に達していない=不合格ではありませんが、不利になることは確かです。たとえ平均値に達するのが無理でも、3:5:2の高校では少なくとも平均より−7点、4:4:2の高校では平均より−5点くらいに留まれるように必死で内申をとりにいくこと。
入試模試では合格者平均+10点以上を目標に
逆に学力検査の部分では、合格者平均+10点以上を目標点に設定しましょう。内申点が平均よりビハインドの人の場合は、合格者平均+20点が目標点です。これから色々な入試模試を受ける機会があると思いますが、偏差値や合格判定だけに注目するのではなく、合計点数が合格者平均とどれくらい差があるのか、という部分を常に注目するようにしてください。
特に夏〜12月の間に受ける模試に関しては、模試合格判定がいくら良くても、また偏差値がいくら高くても、合計点数が合格者平均+10点を上回っていないと厳しいと捉えてください。まだ全範囲を履修し終えていない12月までの入試模試は、どの模試会社の模試も実際の入試よりも簡単に作られています。早い段階から入試模試を受験することは非常に有意義なことなのですが、この時期の偏差値や判定を鵜呑みにするのは危険です。
ボーダーラインを活用するのは最後の最後
最初の表にボーダーラインも示していますが、最初からボーダーラインを狙っていってはいけません。まずはボーダーラインは無視しましょう。あくまでも狙うのは合格者平均+10点です。
では何のためにボーダーラインを書いておいたのか。ボーダーを見るのは最後の最後です。頑張ったけれど合格者平均値には届かなかった。だけど下の方でも良いから合格したい。諦めたくない。そんなときに、ボーダーラインを参考にしてください。
ただし、ボーダーラインは入試の難易度や倍率によって大きく左右されます。そういう意味でも、ボーダーは参考程度に留めた方が無難です。ちなみに私は、中3の進路面談でボーダーラインを見ません。ボーダーラインを見なければいけないような子は、もうその時点で合格する確率が低すぎるからです。
まとめ
入試はある意味で情報戦です。手に入る情報は積極的に仕入れてください。ただし、情報に振り回されすぎてもいけません。いくら情報が手に入っても、いくら合格平均値やボーダーラインを知っても、学力が身についていないと、最終的に情報は何の役にも立ちません。
情報を活用するためにも、まずは情報をもとに内申や学力の目標点を設定する。しかしそのあとは、情報には振り回されず、学力をアップさせることに全意識と神経を集中しましょう。
受験勉強は始まったばかりです。