昨日の「2018年度公立高校入試:各高校の合格者平均とボーダーラインのまとめ」に引き続き、今日も伸学工房さんのセミナーの共有記事です。
今日は「面接点」にフォーカスし、面接点で差がつく高校、差がつかない高校をランキング形式でまとめてみました。
得点差の大きい高校トップ10
伸学工房調査でデータが40件以上集まっている高校を対象とし、ランキングを作成しました。ランキングは標準偏差の順です。
「標準偏差って何?」という人のために超ざっくりと説明すると、標準偏差は資料のばらつきを表す数値です。標準偏差が大きいほど、その資料のばらつきが大きいということになり、つまりは得点差が激しいということになります。
まずは、標準偏差の大きい高校トップ10、つまり面接で差がつく高校トップ10です。
順位 | 高校 | 最高点 | 最低点 | 平均点 | 標準偏差 |
1 | 伊勢原 | 96 | 31.1 | 50 | 16.54 |
2 | 秦野総合 | 95 | 25 | 62.3 | 14.11 |
3 | 藤沢清流 | 97 | 32 | 68 | 11.54 |
4 | 荏田 | 100 | 70 | 73.3 | 9.29 |
5 | 霧が丘 | 98 | 43 | 50.5 | 9.25 |
6 | 保土ヶ谷 | 94.4 | 50 | 72.4 | 8.82 |
7 | 茅ヶ崎西浜 | 98.6 | 60 | 82.9 | 8.54 |
8 | 大和南 | 97.5 | 60 | 77.5 | 8.28 |
9 | 金沢総合 | 100 | 60 | 73.3 | 7.97 |
10 | 市立戸塚 | 96.7 | 20 | 82.3 | 7.93 |
1位の伊勢原は、面接で差がつくことで有名ですね。最高点と最低点の差が約65点です。実際の選考は面接点が2倍されるので、65点差ということは実際は130点差です。これだけ差がつけば、学力検査の点数差以上となり、面接が合否に大きく影響を及ぼすことになります。
これらのトップ10にランクインした高校を見ると、だいたい2つの共通点があることがわかります。
1つ目は、比較的偏差値が低い高校ということです。偏差値が低い高校の場合、学校の風紀を守るため、少しでも素行の良い子が入学してもらえるように、面接の点数差を大きくしているのは納得できます。
2つ目は、部活動が盛んだということです。部活動が盛んな高校は、部活動に熱心に取り組む生徒や、部活動で高い実績を持っている生徒を優遇するため、面接で点数差をつけることがあるとのことです。今の入試制度は、表面上部活点はありませんが、「面接点」という名目で部活動を評価する高校も一部あるのだとか。
得点差の小さい高校トップ10
続いては、反対に面接での得点差の小さい高校トップ10です。
順位 | 高校 | 最高点 | 最低点 | 平均点 | 標準偏差 |
1 | 湘南 | 100 | 100 | 100 | 0.00 |
1 | 瀬谷 | 100 | 100 | 100 | 0.00 |
1 | 新城 | 80 | 80 | 80 | 0.00 |
1 | 座間 | 94 | 94 | 94 | 0.00 |
5 | 厚木 | 100 | 98.8 | 100 | 0.12 |
6 | 上鶴間 | 81 | 80 | 80 | 0.14 |
7 | 氷取沢 | 86.3 | 83.0 | 83.4 | 0.29 |
8 | 柏陽 | 75 | 70 | 72 | 0.39 |
9 | 舞岡 | 98.3 | 95 | 97.5 | 0.40 |
10 | 上溝南 | 99.3 | 97.0 | 97.8 | 0.46 |
同率1位の湘南・瀬谷・座間・新城は標準偏差が0.00、つまり全員同じ点数だったということになります。完全に面接試験が有名無実化していますね。
湘南・新城・柏陽・厚木・座間など、比較的偏差値の高い高校がランクインしています。面接が合否に与える影響を極力少なくし、または完全に無くし、純粋に内申点や学力検査(+特色検査)だけで合否を決めたいということなのでしょう。
2017年よりも標準偏差が大きく変化した高校
ここで注意するべきは、面接の得点差は、校長先生の異動や学校の入試方針の変化、採点方法の変化によって、年により変化することがある、ということです。「この学校は毎年面接で差がつかない」と、決めつけてかかることは危険です。
ここでは、2017年度よりも標準偏差が大きく変化した高校をピックアップしてみます。
- 茅ヶ崎北陵:7.96(2017)→1.73(2018)
- 霧が丘:1.05(2017)→9.25(2018)
- 市立桜丘:0.59(2017)→5.40(2018)
- 横浜桜陽:8.16(2017)→4.16(2018)
- 市立高津:11.03(2017)→5.22(2018)
一番注目すべきは、茅ヶ崎北陵です。茅ヶ崎北陵は、トップ校でありながら、珍しく毎年面接の得点差が大きい高校として有名でした。ところが、今年になっていきなり面接点の標準偏差が小さくなりました。2017年度は7.96で、これは間違いなく得点差の大きい高校トップ10にランクインしていた数値でしょう。それが2018年度は1.73まで下がっています。こうなると、ほとんど面接が合否に影響を与えることはありません。
いきなりの方向転換の裏には色々な憶測が飛び交っていますが、ここで言及するのは避けるとして、こういうこともあるということ認識しておきましょう。茅ヶ崎北陵とは逆の現象が霧が丘でも起こっています。
まとめ
「得点差が大きい高校トップ10」に入る高校を志望する受検生以外は、それほど面接に対して怖がる必要はありません。中学生らしくきちんと受け答えできるくらいのレベルにしておけば十分です。
ただし、前途の通り、面接点の差は、その年によって大きく変わることがあります。どの高校を志望するにせよ、入念に準備をしておくに越したことはありません。志望校を決定する時期はまだ先かとは思いますが、そろそろ学校見学や体育祭・文化祭などで高校を訪問する機会も多くなる頃です。文化祭などをただ楽しむだけでなく、面接の話のネタとして、在校生の雰囲気、掲示物や校舎から受ける印象などをチェックし、感想を忘れないようにメモしておきましょう。