H30年度厚木高校特色検査分析と対策法:5教科の底力こそ、厚木の特色の得点力となる。

2018年度入試の特色検査研究を、厚木高校から始めます。「厚木高校から〜」なんて言うと、全ての高校の特色検査研究をすると思われるかもしれませんが、今のところ厚木・平塚江南・柏陽の3校を予定しています。

第1弾は、つい先日学力向上進学重点校に指定されたばかりの厚木高校です。

参考記事:厚木・柏陽も新学力向上進学重点校に決定!入試や今後への影響は?

厚木特色検査の問題と解答は、下のカナロコのサイトからダウンロードできます。
【問題と解答】平成30年度神奈川県内公立高校 特色検査

特色検査もオールマーク式に!

昨年度から共通入試にマーク式が導入されましたが、厚木の特色検査でも、今年度からオールマーク式となりました。ちなみに、特色検査でもマーク式が導入されたのは、全ての特色検査実施校の中でも厚木高校が初です。

昨年の2017年度に、厚木の特色検査は、それまでの記述式メインの問題構成から選択問題メインに大きく舵を切りました。

参考記事:H29年度厚木高校特色検査分析と対策法:「量より質」からの大転換。

昨年度の分析記事にも書いたように、昨年度は24ある全設問中記述問題はたった1つでしたが、今年度はマーク式導入に伴い20問オール選択問題となりました。厚木は昨年度から確実に特色の選択問題化を進めていたんですね。

しかも今年の厚木の特色は、20問の配点が全て5点と、配点も問題構成もとても明瞭となりました。

見た目や問題構成は昨年と同じ。ただその中身は…!

前半に英語の長文読解、後半に理系応用問題という出題構成は例年通りです。また、問題Ⅰの英語の長文読解の配点が50点、後半の問題Ⅱ問題Ⅲの理系応用問題での配点が50点という配点も例年通りです。

ということで、マーク式になったとは言え、問題の見た目上は昨年度とほとんど変化はありません。

見た目上はね。

しかし、見た目で騙されてはいけません。よく分析してみると、見た目は同じでもその中身に大きな変化がありました。

資料読み取り問題、激増。

中身の大きな変化とは、資料読み取り問題の激増です。

このブログで、毎年のように厚木の特色検査は前半の英語長文読解勝負だと書いてきました。例年の厚木の英語の長文は、公立の共通入試よりもやや難易度は上がるものの、純粋に英語の力さえあれば、問題なくこの部分で点数を稼ぐことができました。

ただ、今年の英語の長文読解は、いつもと様子が違います。全部で10問あった英語の長文読解問題のうち、例年のような純粋な英語の問題は半分の5問。残り半分は、読解以外の能力や知識の要素が必要となる問題でした。

読解以外の能力や知識とは、社会の知識や資料の読み取りです。英文が読めても社会の知識がないと解けない問題だったり、逆に英文の理解を全く問わない資料の読み取り問題も2つありました。

この傾向は、後半の理系応用問題にも続きます。問題Ⅱの理科の問題でも、5問中2問が資料のグラフを読み取る問題です。問題Ⅲの数学は流石に計算がメインとはなりましたが、数学の資料の代名詞ともいえるグラフの選択問題がありました(まあこれはただの反比例の問題だけど)。

柏陽や湘南、希望ヶ丘では、前からよく資料読み取り問題が出題されていましたが、厚木でこういう類の問題が出題されることは、実は非常に珍しいことです。過去を見ても特色検査導入初年度にあたるH25年度に、英語の読解問題の最後に1問だけ資料読み取りが出題されましたが、それ以降は皆無です。

それがH30年度は、資料の読み取りだけで4問。冒頭にも書いたように、今年の厚木の配点は1問5点なので、100点満点中4問×5点の20点分が資料の読み取り問題です。これまでの厚木の特色検査から考えると、出題傾向の「大転換」とまではいかないものの、結構な方向転換だと言えるでしょう。

厚木高校を目指す人へ。特色検査対策法。

では、この資料読み取り問題のレベルはというと、特に前半の英文中の資料読み取りは面倒臭い作業が多いものの、丁寧に読み取っていけば、正直そこまで難易度は高くはありません。ただ時間はかかります。

先ほども書いたように、そのような柏陽や湘南・希望ヶ丘の特色にあたるのも良いのですが、それよりも、社会の共通入試対策としての全国入試をしっかりとやり込むことで、資料を読み取る力も十分養われると思います。

最近の社会の入試問題は、今年の神奈川県の社会の共通問題のように、知識だけではまず解けません。必ず資料の読み取りや、知識を活用する力が問われます。全国入試は、そのような力を養うための練習をするのにうってつけの教材です。しかもそれが難しくなった共通入試の社会の対策にもなり、まさに一石二鳥です。

その次に、やはり英語の読解問題です。純粋な読解を問う問題が減ったとはいえ、それでも英語の長文のレベル自体は例年と変わりません。例年通り、厚木の特色の過去問を全て解き、前半の英語読解問題できちんと点数を稼げるレベルにまでは仕上げておく必要があります。

まとめ

結構な方向転換にはなりましたが、私の個人的な感想では、問題の質は昨年度よりも良くなったと思っています。難しすぎず、かと言って簡単すぎもしない。難しくなった5教科の共通問題に少し毛を生やしたレベルでしょうか。

共通問題で400点以上はもちろん、450点近く得点できる実力を養ってきた人にとっては、問題なく特色検査で8割以上は得点できます。

今年の特色を見る限りでは、厚木高校受験生に、何か特別な「特色検査対策」は必要ありません。むしろ、共通問題で十分得点できる力をつけることこそ、最良の厚木特色検査対策に繋がります。

来年度は、確実に倍率を上げてくるだろう厚木高校。

だからこそ、変に「特色特色」と慌てるのではなく、まずは十分な5教科の力を付けましょう。5教科の底力こそ、厚木の特色の得点力です。