厚木・柏陽も新学力向上進学重点校に決定!入試や今後への影響は?

春期講習真っ只中の3月30日に、厚木高校・柏陽高校の2校を学力向上進学重点校として新たに追加するというニュースが飛び込んできました。

参考(外部リンク):学力向上進学重点校の指定について

ということで、既に先行指定されていた横浜翠嵐・湘南と合わせて、2018年4月1日から2021年3月31日まで、神奈川県の学力向上進学重点校は横浜翠嵐・湘南・柏陽・厚木の4校となりました。

そもそも学力向上進学重点校って何

学力向上進学重点校とは、神奈川県教育委員会から指定された、大学進学指導の充実を図り進学実績向上に重点を置いた公立学校のことです。

2016年に県立高校改革が始まる前までは、下記18校もの県立高校が学力向上進学重点校として指定されていました。

横浜翠嵐、湘南、柏陽、川和、光陵、横浜緑ヶ丘、希望ヶ丘、横浜国際、多摩、横須賀、鎌倉、平塚江南、小田原、厚木、秦野、大和、相模原、追浜

しかし、県立高校改革前の重点校18校は、重点校とは言ってもそれに対する予算も年に数万円程度で十分ではなく、まさに名ばかり、重点校という看板だけで、その中身が伴っていないものでした。

そこで県立高校改革にともない、県教委は既にあった18校の重点校を白紙に戻し、新たな進学重点校のエントリー校を手上げ方式で募集。そして「我が校こそ重点校に」と手を挙げたのが次の17校でした。

横浜翠嵐、川和、多摩、希望ヶ丘、横浜平沼、光陵、柏陽、横浜緑ヶ丘、横須賀、鎌倉、湘南、茅ヶ崎北陵、平塚江南、小田原、厚木、大和、相模原

そしてこの17校の中から、向こう3年間の学力向上進学重点校として、横浜翠嵐・湘南・柏陽・厚木の4校が選ばれたということです。新しい重点校4校は、以前のような名ばかりのものではなく、きちんとそれに対する予算と人員を配置し、シビアに生徒の成績や大学進学実績を追っていくことになるでしょう。

参考(過去記事):入試制度や高校改革について、県教委のなかの人に直接話を聞いてきた。

なぜ柏陽と厚木が選ばれたのか

17校のエントリー校から今回晴れて4校が選ばれた訳ですが、4校が決定するまで、いったいどの高校が正式に重点校に選ばれるのかに注目が集まっていました。横浜翠嵐・湘南は選ばれるのは当然として、その他の高校はどこなのか、そもそも横浜翠嵐・湘南以外にも指定される高校があるのだろうか、という部分です。

というのも、現在の神奈川県の県立高校は、横浜翠嵐・湘南の2校は別格として、その他の旧トップ校はどんぐりの背比べ状態にあります。

今回選ばれたのがなぜ厚木と柏陽なのか。重点校内定が噂されていた川和はなぜ外れてしまったのか。それを解明すべく、エントリー校17校の昨年度春の各高校の大学進学実績のうち、現役国公立合格者の割合と、現役の早慶上智合格者の割合を調査し、その2つの割合の合計が高いものから並べてみました。

エントリー17校の国公立+早慶上智現役合格者割合ランキング

順位 エントリー校 国公立割合 早慶上智割合 国公立+早慶上智割合 特色検査
1 横浜翠嵐 41.2% 68.4% 109.6%
2 柏陽 33.1% 45.2% 78.3%
3 湘南 27.9% 45.9% 73.8%
4 厚木 26.7% 37.2% 63.9%
5 川和 19.9% 34.2% 54.1%
6 横浜緑ヶ丘 16.4% 34.3% 50.7%
7 横須賀 14.3% 28.9% 43.2%
8 小田原 20.9% 18.1% 39.1%
9 多摩 13.8% 25.4% 39.1%
10 相模原 15.8% 22.7% 38.5%
11 希望ケ丘 13.6% 21.5% 35.1%
12 光陵 13.4% 21.7% 35.1%
13 平塚江南 13.6% 15.1% 28.7%
14 大和 9.0% 17.9% 26.9%
15 鎌倉 12.7% 13.0% 25.7%
16 茅ヶ崎北陵 6.5% 14.1% 20.7%
17 横浜平沼 8.1% 7.0% 15.0%

こうやって並べてみると、厚木・柏陽の内定は納得ですね。むしろ、2017年度実績の割合だけで比べてみると、柏陽の方が湘南よりも現役での国公立合格者の割合が高くなっていました。厚木は上位3校と比べるとやや離されている感はありますが、それでも現役国公立大割合は25%以上、つまり卒業生数の4人に1人を上回っています。5番目の川和以降になると、現役国公立大合格者も20%に届かないところがほとんどとなり、その差は歴然です。

今後の入試への影響は?

この4校が学力向上進学重点校に指定されたことで、来年度からの入試に少なからず影響してくるでしょう。

現在懸念される影響としては、次の2つが考えられます。

  • 4校(特に厚木・柏陽)の倍率の増加
  • 選考から漏れた高校の特色検査の継続について

一つ一つ見ていきます。

厚木の倍率の増加

もともと毎年倍率の高い横浜翠嵐・湘南・柏陽は、そこまで重点校決定による影響は大きくないと考えられますが、注意するべきは厚木です。厚木は他の4校に比べると倍率が低く、しかも毎年一定で安定している特徴がありましたが、今回の指定を受け、他の3校と同じくらいに高くなる可能性が大きいと考えられます。

厚木を考えている受験生は、競争率の増加に伴うボーダーの上昇を覚悟しておいた方が良いと思います。

↓過去3年間の実質倍率

倍率 2018年 2017年 2016年 平均
横浜翠嵐 1.83 1.61 1.62 1.69
湘南 1.37 1.26 1.38 1.34
柏陽 1.27 1.46 1.43 1.39
厚木 1.23 1.22 1.23 1.23

選考から漏れた高校の特色検査の継続は?

もう一つ注目しておきたいのは、今回選考から漏れた4校以外の高校が、今後も特色検査を継続するかどうかです。

実は、県教委が重点校を選ぶ指標の一つに、「特色検査を実施していること」という項目が一時期存在していたことがあります(今は多方面からの圧力によって削除されました)。エントリー校17校で特色検査実施校が多いのも、その指標が存在していたことも影響していると思われます。

しかし今回4校以外の学校は重点校から外され、作成や実施・採点の手間と労力が相当かかる特色検査を今後も続けていく意味を見出せない高校が増えるのではないかと予想されます。しかも2018年度の入試で、エントリー校の一つであった小田原高校が、特色検査をやめたという実例を作っただけに、小田原高校に続く旧エントリー校があってもおかしくありません。

特に学力検査型の特色検査を実施している平塚江南、希望ヶ丘、横須賀高校あたりの動向に注目しています。

まとめ

今回の学力向上進学重点校の選定は、「ただの看板のバラマキ」に過ぎなかった以前の学力向上進学重点校とは全く意味合いが変わってくると思っています。

選ばれた4校は予算と人員をこれまで以上に進学に特化したものに優遇してもらえるだろうし、その結果、4校の進学への指導もこれまで以上に活発になるでしょう。特に4校の中でもビリケツにいる厚木は、相当なプレッシャーがかかるでしょうね。在籍生も、これまで以上に「コッコーリツコッコーリツ」と、学校や先生からの圧がかかることになると思います。

ただ、その分、例えば川和や小田原のような他の旧トップ校との差もどんどん開いていくことになるのではないかと考えられます。本気で国公立大などの難関大を目指すのなら、この4校への進学を考えるべきでしょう。

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