数学の一部が選択問題化されることに。その結果入試はどうなる?

神奈川県教育委員会は12月15日、昨年度(28年度)の入試問題を基にしたマークシート方式のサンプル例を発表しました。

参考:平成29年度神奈川県公立高等学校入学者選抜におけるマークシート方式導入に関するリーフレット等について

次のH29年度からマークシート方式になるということはだいぶ前から発表されていましたが、数学もマークシート化されるかどうかがブラックボックスでした。センター試験のような複雑なマークシートになるのか、もしくは他の科目のように4択や6択問題になるのか、先にマークシート化された都立高校のように数学はあえてマークシート化しないのか、色々な憶測を呼んでいましたが、先ほどの記事によると結局は4択や6択になりそうですね。

ちなみに、マークシートに対応するために選択問題化されたのがコチラ↓。

H28年度の実際に行われた同じ問題がコチラ↓。

数学が選択問題化されたら解きやすくなる?

このサンプル例のように本当に数学が選択問題化されたとしたら、中堅上位層にとっては従来の記述式よりも正解しやすくなるでしょう。

選択問題のポイントは、選択肢の中にかならず選ぶべき正解が存在することです。作問者側に立ってみると、選択問題を作ることは、「正解を他の間違えそうなものでカモフラージュすること」と同じです。

数学以外の科目であれば、受検者が正解と似たようなカモフラージュの用の選択肢に見事にひっかかってくれることは多々ありますが、数学は、特に中堅上位層にとっては、いくら選択肢が増えようともカモフラージュ用の選択肢にひっかかることはほとんどありません。

ちなみに先ほどのサンプルの(ア)の正解は5の84㎠ですが、いくら数値が似ているからと言って、4の78㎠とも6の96㎠とも迷わないはずです。(イ)の正解も4の7cmですが、いくら6cmや8cmの選択肢を用意したって、それと間違う生徒はほとんどいません。

それどころか、選択式の場合、自分で計算して導き出した数値ががその選択肢にあれば、従来の記述式より確信を持って解答することができるでしょう。従来の記述式なら、計算して数値が導きだせても、それが正解なのか不正解なのかなかなか確信が持てなかったところが大きな違いです。

つまり、中堅上位層にとっては、従来の記述式よりも問題が解きやすくなる可能性があるということです。

受験テクニックが登場するかも・・・

数学がこのように選択問題化されると、懸念されるのが導きだして答えを求めるという本来の数学の解き方から外れて、「選択肢の数値や近似値を代入していく」という解き方が横行するかもしれないということです。

詳しく書くと非常に専門的になるのでここでは割愛しますが、気になる人は下のリンク先を読んでみてください。非常に詳しく書かれていてなかなか面白いです。

参考:裏技で正答に 数学マークシート入試の問題点

高校入試でこのような受験テクニックが横行するとは考えにくいですが、選択肢があると、答えを「導きだす」のではなく「選択肢から探し出す」という解き方をする受検生は確実に現れることになるでしょう。

選択肢に頼らず従来通りの解き方で

数学が選択問題になるからと言って、勉強方法を変える必要は全くありません。というよりも、むしろ変えてはいけません。選択肢に頼らず、従来通りの解き方で解けるように準備をしておきましょう。

これは数学だけではなく、他の科目でも同じことが言えます。どの科目でも、選択肢とにらめっこばかりしているうちは、選択肢に振り回されすぎて点数が安定しません。本当にその問題が理解できている人は、選択肢がなくても記述式でも解答できます。それがどの科目でもです。