やっぱり難化した!?2013年度神奈川県高校入試分析

2013年2月16日

昨日、神奈川県公立高校入試の学力検査が実施された。今年は入試制度改革元年。前期後期制度や独自入試制度が廃止され、学力検査が250点満点から500点満点に変更になり、内申・試験・面接の割合も各学校で異なるという、すべてが初めてづくしの入試。昨日、受験生に入試問題が配布されるまで、出題形式も難易度も、全てがベールに包まれた、受験生のみならず学校関係者も我々塾講師にとっても、皆が手探り状態で戦ってきた入試だった。

で、やっと学力検査の全貌が明らかに。ということで、早速入試分析をしてみることにする。長い記事になります。お付き合いください。

英語

1時間目に行われた英語の試験で、いきなり度肝を抜かれた受験生は少なくなかっただろう。初っ端のリスニングから最初のサプライズ。英語のスピーチを聞いて、35字以上50字以内の日本語に要約させる問題が出題された。さらに、並べ替えの問題で、従来の5語から4語を選んで並べ替える形式から、6語から5語を選んで並べ替える形式に変更され、ここで2回目のサプライズ。さらに問題を解き進めていくと、問5の条件作文が、県発表の出題例とは大きく異なる形式だったことに、3回目のサプライズ。県発表の出題例は何だったんだと思うほど、裏切られた感が満載。ただ、この条件英作文は落ち着いて問題内容を把握していれば、そんなに難しいものでもない。実際、うちの塾生の自己採点を見てみると、ココまではしっかり対応できていた。

しかし!問6で4回目のサプライズ。会話文ではない長文読解が出題された。例年の英語の問題では、長文読解は会話文が1題だったのだが、今年は問6と問8で、それぞれ長文読解が出題された。4回目のサプライズで、さすがに頭がクラクラしてきた受験生が多かっただろうが、じっくり読めば、設問も文章もそれほど難易度は高くない。ただ、「じっくり読めば」の話で、これまでの何回ものサプライズで、時間配分を大幅にミスった受験生も多かっただろう。英語は全体的な難易度は高めではないものの、サプライズが満載で、動揺してしまった生徒が多かったのではないだろうか。そんな中でも、自己採点では満点を取っている塾生がいた。サプライズが多かったが、英語の力がしっかりと備わっている受験生は、そこまで失敗はしていないハズ。

英作文がどれも基本的な問題だったので、「表現する力」というよりは、文章を正しく読み解く力が求められた問題であったように思う。

国語

1時間目の英語がアレだったので、これからどうなることかとビクビクしながら国語の時間を迎えた受験生も多かったハズ。国語も、古文の位置が2番目に移動していたり、50字以上でまとめる記述問題が3題あったりと、小さなサプライズこそあったものの、実は全体の難易度は例年通りだった。オール記号問題だった問2の古文と問3の物語文は、特に難易度も低めで解きやすかったのでは?問3の論説文の記述問題は要約が出題されたので、要約に慣れていない受験生はキツかっただろう。ただ、問5の条件作文は、そこまで難易度は高くなかった。総合すると、記述問題が追加されたが、それ以外の問題の難易度はやや低めだった。時間配分さえしっかりと注意をして解けば、見た目よりも点数は取りやすかったのではないかと思われる。

数学

どのような出題形式になるのか、個人的にとても興味があった数学。しかし、蓋を開けてみれば、問1〜問7の中に、計算・小問集合・関数・確率・式の証明・空間図形・平面図形という従来の形式は、今年も継承された形となった。ただ、その中の小問数に変化が見られた。例えば、式の証明や平面図形の証明の前後にあった証明以外の問題が省かれていたり、空間図形と確率が従来の2問から3問に変わったり、問2の小問集合の問題数が増えていたり。難易度はというと、2問から3問になった確率と空間図形では、1問目と2問目の問題はどちらも解きやすいものだったが、3問目の問題の難易度が高くなっていた。2題あった証明問題のいずれもそこまで複雑ではなかったが、最初から証明問題を捨て問にしていて、証明の前後にある問題で点数を取ろうとしていた受験生にとっては、かなりの痛手になったハズ。また、確率と空間の3問目の問題で時間を大幅にロスした場合、焦りから証明問題を落ち着いて考えられなかった受験生も多かったのでは?証明問題の追加や、確率と空間の3問目を考えると、総合的な難易度は例年よりも高めだったように思われる。ちなみに数学でも自己採点では満点の塾生がいた。

理科

5科目の中で、最も簡単だったのが理科。今日16日の授業で中2生にも解かせてみたが、まだ受験勉強を全くしていない中2生でも、既習分野で8割以上取れている塾生が半数いたくらいに簡単だった。グラフを書く問題、回路図を書く問題等、新傾向のモノはたくさんあったが、どれも基本的な内容を問うばかりのもの。しかも選択問題は例年よりも簡単なものが多く、うちの塾生でも自己採点結果では2人が満点を取るくらいだった。例年の神奈川県の理科特有の、問題文がダラダラ長く、選択肢もダラダラ長いという、まるで国語かって思うような問題が少なかったのが印象的。5教科の中で、理科だけがまるで別の県の入試問題かと思うほど、その容易さが目立った。

社会

社会は一言。難しかったです。社会の知識があることはもちろんのこと、問題の意味を読み解く国語力や思考力が求められる問題がほとんど。容易に答えられる問題が少なく、とにかく時間との戦いだっただろう。受験生の中で理社を得点源にする生徒は多い。中でも、理科が苦手な生徒は、社会を得点の稼ぎ頭とする受験生はたくさんいるだろうが、そういう生徒にとって、この社会の問題は相当キツかったのではないだろうか。正直に言うと、社会の知識があることを前提とした「頭の良さ」が問われるような問題だった。これまでの過去問や、各業者が作る模試は何だったんだろうと思うくらい、今年の社会は難化した。

まとめ

まとめると、新入試制度になって、全体的に問題の難化が進んだように思われる。「全国の中でも1、2を争うほど簡単な神奈川県入試」の汚名を返上できるくらい、神奈川県が他の都道府県レベルに近づいたと言える。

過去問はもちろんのこと、県内の模試会社が作成した模試とも、難易度・形式ともに異なっていた教科が多かった分、動揺してしまった受験生が多かったのではないかと思われる。ただ、その条件はどの受験生も一緒。「自分だけが難しかった」「自分だけが出題形式を知らなかった」ということはないのだから、変な自信も変な不安も抱かないように。気持ちを切り替えて、残された面接と特色検査の対策をしっかりやりましょう。