平成27年度の公立入試5科目平均点がようやく県教委から正式に発表されました。
http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/life/457625_2747848_misc.pdf
そこで、公立入試5科目平均点と各科目の得点分布から見る、今年の入試総括を2回に分けて書いていきます。今日は全体平均と英数の総括です。
平成27年度公立入試5科目平均点
まずは各科目の平均点から見ていきます。
英語 | 国語 | 数学 | 理科 | 社会 |
51.8 | 64.4 | 52.6 | 37.4 | 50.2 |
これだけでは分かりにくいので、新しい入試制度になってから3年間の各科目平均点の推移をまとめてみます。
年度 | 英語 | 国語 | 数学 | 理科 | 社会 |
平成27年度 | 51.8 | 64.4 | 52.6 | 37.4 | 50.2 |
平成26年度 | 59.6 | 60.8 | 51.7 | 38.6 | 49.5 | 平成25年度 | 54.8 | 67.8 | 65.5 | 66.4 | 51.1 |
今年は英語が大幅に難化したとかいろいろと騒がれていましたが、確かに英語は去年よりも7.8点平均点が下がったようです。他の科目の平均点は去年と大きな変化はありません。
では、次に各科目の得点分布を昨年度と比較しながら見ていきましょう。
英語:上位層の割合が減少
青いグラフが今年の分布グラフ、赤いグラフが昨年度の分布グラフになります。極端な凹凸がなく、なだらかな分布になるのが英語の特徴なのですが、今年も分布グラフの特徴自体はあまり変わりはありません。
では、なぜ大手塾さんか「大幅難化」や「難化」と発表したのか。あくまでも予想ですが、今年の青いグラフをよく見てみると、9割以上の階級が昨年度よりもかなり低くなっています。正式な数字を出すと、91点〜99点の階級の割合が、昨年度10.1%→今年度4.8%と、半分以上落ち込んでいることが分かります。大手塾に通っている生徒さんは、基本的に上位層が多いので、上位層でなかなか点数が取れなかったことが、「大幅難化」や「難化」という講評につながったのではないかと思います。
英語の問題内容と正答率を見てみると、問6の条件英作文(絵と条件に合うように英文を作る)で正答率が10%台と大きく落ち込んでいます。今年の条件英作文がそこまで難しくなっていたという印象は受けませんでしたが、思いのほか英作文がしっかりと書けない人が多いようです。ちなみに、問2の(ウ)の”receive”という単語を書く問題に関しては、正答率が8.9%です。
コミュニケーション英語という耳障りの良い言葉の裏で、英作文や単語などの地味な勉強がおざなりになっているような気がします。コミュニケーションも良いのですが、英語に限らず言語を習得するということは、単語をコツコツ覚えたり和文英訳を繰り返したりなど、とてつもなく地味で地道な勉強が必要になるということを、もう一度再確認すべきときだと思います。
数学:昨年度と大きな変化なし
確率の大問の変わりに資料の整理が出題されたりして話題を読んだ数学ですが、結果を見れば平均点・分布ともに昨年度と大きな変化はありませんでした。
確率が資料の整理になりましたが、正答率を見てみると、昨年度の確率よりも今年度の資料の整理の方が全体的な正答率は高くなっています。確率は、しっかりと勉強してきた生徒でもミスをする可能性が高い問題ですが、一方で今年の資料の整理の問題は、きちんと勉強してきた人なら確実に点数をとることができます。実際、うちの中1生に解かせても、全問正解できる子が半分くらいいました。きちんと勉強していた人にとっては、例年の確率よりも非常に取りやすい問題だったということでしょう。
昨年度今年度ともに出題された問5の文章題の正答率では、昨年度の連立方程式3.7%→今年度の2次方程式5.6%と、やや微増という結果でした。以前もブログに書きましたが、今年の2次方程式の方が、パターン化された典型的な問題であったため、増減のパターンをやり込んできた受験生にとっては解きやすかったと思います。5.6%の正答者は、主に私立のオープン入試のための勉強をしてきた人ではないかと予想できます。
最も正答率が低かったのが問6の空間図形の(ウ)の問題です。正答率は0.7%だったので、捨て問だったのでしょう。しかし0.7%の人、よく制限時間内に解法を思いつきましたね。正直スゴいと思います。
数学で最も気になるのが証明問題の正答率の低さです。昨年度11.3%→今年度14.4%とやや増えてはいるものの、それでも全体的に低すぎます。断っておきますが、2年とも証明問題は難しくありません。非常に基本的な証明パターンです。証明問題はたった1問で配点が10点満点なので、ここで落とすと数学の点数が悲惨なことになります。新中2生・新中3生は、何が何でも証明を得意にしておきましょう。基本的な証明ができるだけで、10点も差を付けることができます。