平成27年度の公立入試5科目平均点から見る今年の入試総括②

26日から春期講習が始まっています。講習中はなかなかブログを書く時間がとれないため、どうしても不定期になりますが、授業の合間を見て書けるときに書いていきます。書きたい内容は山ほどあるんですが、講習時は時間がパツパツです。

今日は前回の続きの平成27年度の公立入試5科目平均点から見る今年の入試総括第2段です。
第一弾はコチラ⇒平成27年度の公立入試5科目平均点から見る今年の入試総括①

国語:上位校受験生は高得点が当たり前

japanese-27平成27年度の国語の平均点は64.4点で、平成26年度の60.8点よりも3.6点アップしました。特に81点〜100点の上位層の割合が、平成26年度の11.3%から平成27年度は19.6%まで増えました。100字以上110字以内の文字数が多い記述問題が出題されたことから、一見すると記述力がより問われるようになったようにも見えますが、内容を非常に絞り込みやすい問題だったので、見た目ほど難易度は高くありませんでした。とは言っても、この100字以上110字以内の記述問題の正答率は18.1%と、国語の全ての問の中で2番目の正答率の低さです(ちなみに1番正答率が低かったのは、「委ねる」の漢字の書き問題で16.5%でした)。

去年よりも今年の国語の平均点が上昇した一番の理由は、最後の問5の資料をもとにした70字〜80字の条件作文の問題が、今年は解きやすかったことでしょう。昨年度も問5で同じような条件作文が出題されましたが、昨年度の正答率が2.7%だったことに対して、今年度の同じ問題の正答率は22.9%まで上がっています。この条件作文の配点が8点なので、この問題の正答率の差が、ダイレクトに昨年度と今年度の平均点の差につながったのだと思います。

上位校受験生にとって、国語は「高得点が当たり前」の科目。全体的に正答率が低い記述問題に対しても、トップ校受験生はきちんと練習を積んで、正解できるように準備をしています。国語で得点が取れないと、上位校受験にはかなり不利になってしまうので、国語をバカにせずに、きちんと勉強することが大切です。

理科:受験生の理科レベルが入試に追いついていない

science-27はい、問題の理科の番です。今年度の平均点は、若干昨年度よりもさがったものの、昨年度とほぼ同様だと言っていいでしょう。ちなみに、今年の理科の91点〜100点は0%です。うちの塾生の理科の最高点が83点でしたが、県全体での81点〜90点の割合がたった0.7%ということでした。71点〜80点の割合も2.8%なので、トップ校受験生の中でもほんの一部の受験生しか、7割以上を取っていないということになります。ちなみに6割以上で計算しても、全体の10.8%です。トップ校受験生でも、6割も取れない人がかなりの人数いるということです。

入試直後に書いた記事「2015年度の入試が難化したとか騒がれていますが、そんなに難しいですか?<理科編>」でも触れましたが、理科の問題がそこまで難しかったのかというと、実際のところそんなことはありません。批判を承知でズバッと言いますが、テストが難問だらけでどう頑張っても点数が取れないということではなく、神奈川県の受験生、いや神奈川県の学校教育、神奈川県の塾の理科指導のレベルが低すぎて、今の入試レベルまで追いついていないということです。他の都道府県の問題を解いてみれば分かると思いますが、神奈川県以外の理科だって、普通に難しい問題が多いです。むしろ、神奈川よりも解きにくい問題を出題している自治体だってたくさんあります。

2年前までの神奈川県の理科の入試が簡単すぎて、神奈川県の教育関係者・受験生もみな、その生温いレベルにどっぷりと慣れてしまって、簡単で表面的なレベルでしか勉強してこなかったのです。昨年度いきなり理科が難しくなり、平均点が30点台まで下がっても、「来年(今年度のこと)は簡単になるだろう」という希望的観測で、相変わらず簡単で表面的なレベルの勉強しかしなかった。だから、今年も昨年度と同じような問題パターン、思考パターンで出題されているにもかかわらず、平均点が上がらなかったのだと思います。

たとえば今年の理科で最も正答率が低かった問5のイ。斜面上の分力の大きさの問題ですが、ゆとり教育前の理科の入試では頻繁に出題されるような典型的な問題です。公式にもなっていたほどです。それでも正答率は1.8%でした。ゆとり教育はとっくに廃止されているハズなのですが、まだ神奈川県の理科はゆとり教育真っ最中のレベルなのです。

そろそろ、受験生も、学校も、塾も、神奈川県全体で理科としっかりと向き合わなければいけない時期にきていると思います。理科の難易度に文句を言うんじゃなくて、理科は誰も取れないから捨て科目でも大丈夫と捉えるのでもなくて、あのレベルにしっかりと対応できるように、きちんと理科を勉強するべきです。