2015年度の入試が難化したとか騒がれていますが、そんなに難しいですか?<前編>

2015年度の入試について、ネットで出回っている大手塾中心の講評を見ていると、2015年度の入試はどうやら難化傾向らしいです。

【カナロコ】平成27年度入試問題と講評
http://www.kanaloco.jp/article/84191/cms_id/126468

【リセマム】神奈川公立高校入試講評2015
英語・・・大幅に難化
数学・・・難化
国語・・・昨年度並み
理科・・・難化
社会・・・やや易化

私の個人的な印象とはだいぶ違います。多分、今年受験したうちの塾生の印象ともかなり違うでしょう。
こういう講評を出すのはたくさんの生徒数を抱える大手塾が中心で、うちの塾のような小さい塾の話は誰も聞きにこないし興味もないと思うので、私は私で好き放題言わせてもらいます。全部やると長くなるので、とりあえず自分の担当科目の英数理だけまとめてみます。前編の今日は、英語と数学です。

本当にあくまで、今まで塾でやってきたことを踏まえての個人的な感想です。「塾に行っていない子のことも考えろ」とか、ごもっともな攻撃はやめてください。私は基本的に、自分の目の前にいる塾生のことだけしか考えていないので。うちの塾の基準で話を進めます。

英語「え、難しいですか?」

英語の講評

問2に関して。dreamとかforeignとかreceiveとか、そんなに難しい単語ですか?この3つとも、中2の単語テストで普通に出題しているレベルです。「今まで以上に幅広い語彙力を・・・」とどこかの講評でありましたが、今までと同じレベルで十分です。それよりも、このような基本的な単語をどれくらい反復するかが重要だと思います。

問3と問4の文法問題に関して。特に語順整序問題が難しいと言われていますが、昨今散々軽視されている文法をバカにせず、体系的に理解していれば何も難しいことはありません。間接疑問文の「疑問詞+S+V」とか、中3不定詞の「tell+人+to+原形動詞」とか、最後の「the+最上級+名詞+I’ve ever〜」とか、高校受験英語の文法の基礎中の基礎です。うちの塾で夏からコツコツやってきた200問以上の英語の語順整序問題のなかに、上記の問題を何度出してきたか分からないくらいの基礎的なレベルです。

問5と問6の英作文に関して。全国入試でもよく見られる典型的な英作文です。英作文の鍵も、問3・問4と同じように文法を中1の時からいかに丁寧にやるかどうかです。また、これも昨今バカにされていてあまりやる人もいませんが、どれだけの「和文英訳」の練習を積んできたかどうかです。文法をきちんとマスターし、和文英訳の練習を積んできた子にとっては、今回の英作文も「何が難しいんですか」というレベルだと思います。この英作文で難しいと騒いだら、他の都道府県の受験生に完全にバカにされます。

問7〜問9の読解問題に関して。確かに、中には「おや?」と引っ掛かる問題も2〜3問ありましたが、冷静に読めば十分対応できます。これまでの神奈川県の過去問や類似した問題ばかりをやっていると、対応できないかもしれませんが。

今後の受験生へのアドバイス

世間一般がどれだけ文法をバカにしようが、どれだけ「英語は文法ではない!使える英語が大切だ」と言われようが、受験英語に関しては文法を軽視しては解けるようになりません。中1のうちから、英文法をきちんと体系的に理解しながら「和文英訳」の練習を積み重ねることが大切です。

あとは、中3の夏くらいから、全国入試問題を使って英文の「多読」をすると良いです。多読をすると、英語の読解のスピードが劇的に速くなります。また、他の都道府県の入試問題は、神奈川県よりも読解問題のレベルが高いところが多いです。そういう問題を普段から練習していると、神奈川県レベルの読解問題は余裕で読めるようになります。

英語の感想を一行でまとめると

英文法の基本と多読を訓練してきた人なら、難しいと言えるレベルではない。

数学「ちゃんと教わっていない人はきついんじゃない?」

数学の講評

問1・問2は簡単すぎなのでスルーします。

問3の関数の最後は平行四辺形(ひし形ですが)の面積の二等分です。平行四辺形の二等分は、平行四辺形の対角線の中心を通ります。対角線の中心は、中点の公式を使えば1秒で求められるので、高度な計算が必要だとも思えません。ただし、知っている人であればの話。平行四辺形の面積の二等分や中点の求め方とか、学校の教科書にはまず書いていないです。うちは新中学問題集を使っていますが、新中学問題集の中には「基礎パターン」として載っています。ありがとう!新中問!こういうことを教わっている人なら秒殺問題ですが、学校でも塾でも教わっていなかったとしたら、そりゃ難しいです。

問4の資料の整理に関して。今年、だいぶ騒がれましたね。代表値を知らないとまず無理でしょう。ちなみに代表値は中1で習うはずなのですが、教科書の一番後ろにある単元のため、学校の授業でもわりとスルーされるし、定期テストでも出題されません。そのため、「中央値ってナニソレ。おいしいの?」レベルの子が少なくないと思われます。でも、それぞれの代表値の役割や求め方をちゃんと勉強していれば、「超基礎問題」です。度数分布表と連立方程式の融合問題も、全国入試を解いていれば嫌ほど目にする典型的な問題です。初見の人には厳しいかもしれませんが。普段の10問テストで、度数分布と連立方程式の問題を何度出題したか分かりません。

問5の文章題に関して。私立入試でよく見られるような、割合に関する2次方程式の文章題です。ただ、私立入試よりもだいぶ易しいですが。これは学校の教科書のどこにも載っていないので、学校や塾などで教わったことのない子も多いかもしれません。これも問3の関数と同じで、割合に関する2次方程式をきちんとやってきた人なら、基礎的な解法パターンで解ける秒殺問題ですが、ちゃんと教わっていなかったら厳しいかも。解法パターンにあてはめれば簡単に解ける分、去年の連立方程式より簡単じゃないかなというのが、私の感想です。

問6の空間図形に関して。ア、イは簡単すぎなのでスルーします。ウは典型的な問題のように見えて、側面積のおうぎ形の中心角が108度になる嫌な問題でした。今回の入試の数学で一番難しい問題をあげろと言われたら、この空間図形のウでしょうか。これは上位層でも解けない子が多いんじゃないかな。相似からの2次方程式で解けるけど、試験中に解法を思いつく人は少ないと思います。塾に行っている子でもね。

問7の証明は簡単すぎなのでスルーします。

今後の受験生へのアドバイス

ズバリ、私立入試まで対応できるような力をつけましょう。学校の定期テストだけできれば良いとか考えていたら、神奈川の数学の問題は解けません。定期テスト対策だけを塾に求めていてはいけません。塾でこそ、難しい問題や神奈川と傾向の違う問題に挑戦していくべきです。

今回の数学は、きちんと教わってきた人なら空間のウ以外は難しくありません。事実、うちの塾生に聞くと、「空間は難しかったけれど、他は難しくない」と言っています。きちんと私立入試レベルまで、また全国入試で色々な傾向の問題を解いていれば、世間で難しいと言われているモノは秒殺レベルの問題です。

いいですか。「神奈川県の公立だからこのレベルはいらない」とか言って、簡単な問題ばかりやっていてはいけません。時代はすでに変わっています。公立だって、私立レベルの知識が必要です。受験生も、きちんとその変化に付いていきましょう。

数学の感想を一行でまとめると

時代は変わった。レベルの高い問題を普段から解いていることが重要。皆、レベルの高い勉強しようぜ!