神奈川県公立高校入試2019問題分析《英語》

2019年2月16日

2019年2月14日(木)に行われた神奈川県公立入試の問題分析の英語編です。

<神奈川県公立高校入試講評2019>

出題形式・配点

大問ごとの出題形式・配点は2018年度を継承し、変更点はありませんでした。2018年度・2019年度と2年続いた大問の出題形式・配点は次の通り。

問1:リスニング(7問,21点)
問2:適語補充(3問,6点)
問3:適語選択(4問,12点)
問4:整序作文(4問,16点)
問5:条件英作文(1問,5点)
問6:スピーチ文読解問題(3問,15点)
問7:資料や図表を含む読解問題(2問,10点)
問8:会話文読解問題(3問,15点)

技能別の割合でみると、リスニング(問1)が21%、ライティング(問2〜問5)が39%、リーディング(問6〜問8)40%となっています。2017年度まではリーディングの割合がもう少し高かったのですが、ここ2年はライティングとリーディングがほぼ同じ割合になりました。

大問分析

問2:適語補充

英文を読んで空欄に合う単語を答える問題です。先頭のアルファベットと文字数が指定されているので、ある程度の予測はつきます。

単語を答えると言っても単純な単語テストではないので、前後の会話文を読み全体の流れから当てはまる単語を推測する必要があります。つまり、語彙力はもちろんのこと、読解力・文法力・推測力も必要となる問題です。

2019年度はborn、example、continueを書かせる問題でした。(ウ)のcontinueという単語自体は知っている人が多かったと思いますが、正解できた人は少なかったでしょう。単語をただ覚えているだけではなく、きちんと使える状態までになっているかが問われています。中1生・中2生、ここ重要ですよ。

重要なのでもう一度言いますよ?単語はただ覚えているだけではダメで、きちんと文中で使える状態までにしないといけません

問3:適語選択

空欄にあてはまるものを4択の中から選ぶ、基本的な文法問題です。2019年度は関係代名詞を含む英文の動詞、原級比較(as〜as)、時制、品詞問題の4つでした。どれも基礎的なものばかりなので、正答率は高いと予想されます。

しいて言えば(エ)の品詞問題で、a festivalの前にduringが来ることに違和感を覚えた受検生もいたかな、くらいです。

問4:整序作文

6択の中から5つを選んで英文に合うように並べ替える文法問題です。日本語訳はついていないので、文法力がそのまま試されます。

2019年度は(ウ)の”I’ve wanted ( to have a watch like ) this.”の問題で正答率が低めと予想。wantedの後にsomethingやa watchという名詞がくる可能性も、正答のように不定詞がくる可能性も両方考えられ、likeが前置詞であることも含め、よく考える必要がある問題でした。

(エ)の”Do you know the ( name of the tall girl ) singing under the tree?”も、ウほどではありませんが、正答率は低めでしょうか。前置詞ofの使い方を正しく理解する必要があり、神奈川の整序作文ではあまり馴染みのないタイプの問題だったかもしれません。

整序作文でよく出題される関節疑問文は今年は出題されていませんでした。

問5:条件英作文

絵と前後の文章を見て、指定された条件に合う英文を答える問題です。2019年度はwill we be able to see them?を答えさせる問題でした。

「able、see、weを必ず含んで」という条件が指定されていたことと、次のコマで”Yes, you will.”と答えていることから、willを使う疑問文かつableを”be able to”の形で使用することが思い付くだけの文法力があるかどうかがポイントでした。

あと、細かいことですが、Next week, に続く文章なので、willを大文字で書き始めてはいけません。注意力不足から大文字で書いている人が多いと予想されます。あまり語られませんが、細部まできちんと気を配らないとミスをしやすい問題が多いというもの、神奈川の英語の特徴の一つと言えます。

ちなみに、中2生へのアドバイスですが、問2〜問5までの目標タイムは10分以内です。トップ校に行きたいなら、それ以上時間をかけてはダメです。文法問題を時間をかけずに素早く解けるためには、まず文法力を徹底的に身につけることと、実戦訓練を繰り返し行うことが大切です。

問6:スピーチ文読解

表やグラフなどの資料を含むスピーチ文の読解問題です。今年のテーマは地産地消と自給率。例年よりも文章がやや長めです。ただ、設問自体はそれほど難しくはありません。アとイの問題は例年通り解きやすいものでした。ウの内容一致の問題は、昨年度から8択になったことで選択肢を全て読む必要がなくなり、正答率も高くなっていますね。

昨年度と比べると、2019年度の方が若干文章自体は読みにくいものでしたが、設問は自体のレベルはほぼ同じだったと思います。

問7:資料や図表を含む読解問題

図や表などの資料がメインで、それを説明する文章を読んで答える問題です。2019年度は、ピアノレッスンの受講料の計算、ベストな行き方を選択する問題の2問でした。

年によっては、やや複雑な計算をさせる問題や、資料の読み取りが複雑な問題が出題されることもありますが、2019年度の2問はいずれも容易に答えられるものでした。2018年度の問7と同じくらいのレベルです。

問8:会話文読解

2019年度の英語で一番差がつくのが、この会話文読解でしょうね。2018年度と比べると、難易度は確実に上がっています。

難易度が上がっている要因として、一番は文章自体が長くなったことです。2018年度は注釈を含めて見開き2ページできっちり収まる分量でしたが、2019年度は英文が見開き2ページ文ギッシリと書かれていて、注釈はその中には収まらず次のページに書かれています。そのため、ただでさえ分量が増えた英文を読むのに時間がかかる上に、注釈を読むのにページをペラペラとめくる必要があり、さらに時間と手間がかかってしまいます。

さらに設問も簡単ではありません。特にイの問題を答えるためには、半ページほどの分量を丁寧に読み返す必要があり、時間がかかります。またウの内容一致の問題も、よく本文と照らし合わせないと、bを選んでしまった人が多いだろうと予想できます。

2018年度もこの会話文読解のイとウはやや難解なものになっていましたが、2019年度の方が分量と手間が増えた分だけやや難しくなったと言えるでしょう。

まとめ

以上の分析から、2019年度の英語の平均点は、2018年度と同程度もしくは若干下がるかもしれません。特に偏差値55程度の受検者層は英語の平均点は低くなるでしょう。

一方で、公立トップ校のような偏差値65以上の層では、それほど平均点が下がることはないと思います。平均点が下がらないどころか、この程度の難易度であれば例年通りトップ層は高得点が続出していることでしょう。

最後に、中2生以下へのアドバイス

最後に、これから受験を迎える中2生や中1生へのアドバイスです。

このブログでも何度も書いてきましたが、公立トップ校を目指すのであれば、英語で高得点は必須です。まとめでも書いた通り、少々難易度が高くなり、県全体の平均点が下がったとしても、偏差値65以上のトップ層ではほとんど影響がありません。2019年度くらいの難易度であれば、90点代はもちろんのこと、100点も続出していることと思います。

英語は理科社会のように、受験直前に集中的に勉強したから点数が上昇する科目ではありません。中1生からの積み重ねがものすごく重要な科目です。受験直前に英語を必死で勉強する必要があるようならば、もうその時点でトップ校合格は大変厳しいと言わざるを得ません。

英語は、受験直前ではなく、中1中2のうちが勝負です。中1中2のうちから英単語をコツコツを覚え、文法事項を徹底的にマスターし、なぜその文の作りになるのかを論理的に説明できるようにしておくこと。