【授業料実質無償化】神奈川県の私立高校にかかるお金は実質いくらなのかを調査してみた。

2018年5月30日

気がつけばもうすぐ6月。早いもので2018年も下半期に突入です。中3生はそろそろ志望校について考え始める時期にきています。

公立高校を第1志望としている人にとっても、避けて通れないのが併願私立校選び。そして私立高校を選ぶ際に、やはり一番気になるのが「学費」の部分でしょう。

神奈川県は2018年4月から、私立高校の就学支援を拡大し、年収590万円未満の世帯を対象に、私立高校の授業料を実質無償化とする「学費補助金」を導入しました。

「私立の授業料が実質無償化ってどういうこと?」「結局年間総額がいくらくらいになるの?」といった疑問を解決するべく、今日は神奈川県の私立高校に関するお金の話をしてみます。

ちなみにお金の記事を書くのは、このブログで初めての試みです。今回この記事を書くにあたって、私自身が一番勉強になりました。

今回参考にしたのは県教委のホームページです。
参照:私立学校学費支援制度のご紹介

こちらに分かりやすい素敵なリーフレットもあります。

神奈川県民が受け取れる2種類の補助金

神奈川県民が神奈川県内にある私立高校に通う場合、適応される補助金は次の3つです。

  • 高等学校等就学支援金
  • 学費補助金(授業料補助)
  • 学費補助金(入学金補助)

「高等学校等就学支援金」は国の制度で、下2つの「学費補助金」はどちらも神奈川県独自の制度です。どちらも返済義務はありません。それぞれの支給額は、厳密に言えば「県民税・市町村民税所得割額の合算額」で決まりますが、年収の目安で計算すると、次の表の通りになります。

この表によると、世帯年収が590万以下であれば、43万2000円の支援金が支給されるということです。ただし43万2000円を生徒や保護者が直接受け取れるということではなく、学校側が生徒や保護者に変わって受け取り、授業料と相殺するというシステムです。

また、この43万2000円は、私学の費用項目のうち「授業料」のみに適応されます。もしも、年間授業料が支給上限額よりも下回る場合は、その年間授業料が支給額の上限となるそうです。例えば、神奈川県で一番授業料が安い私立高校である平塚学園の年間授業料は32万4000円です。この場合、年収590万以下の世帯が受け取れる支給額の上限は、32万4000円となります。残った10万8000円を「施設費」や「修学旅行積立費」など他の項目に充てることはできません。

もう一つ、神奈川県には入学金に対して支給される補助金もあります。こちらは、世帯年収750万円以下であれば、一律10万円が支給されます。こちらも10万円が適応されるのは「入学金」のみの項目で、ほかの項目に使用することはできません。

補助金適応後にかかる実際の年間総額は?

この国と県の補助金が、一体どれだけのインパクトを持つのか。結局支払わなければいけない総額は年間いくらになるのか。その部分を調査してみました。

うちの塾生の併願先としてよく選ばれる私立高校をいくつかピックアップし、まずは2017年度のパンフレット上の総額を比べてみます。パンフレット上の総額なので、補助金が適応される前です。

さすが私立高校だけあって、初年度は年間100万近くする高校がほとんどですね。実際はこれらの他に、教科書代や制服代、指定のバッグ代、修学旅行積立費なども上乗せされるので、この辺の私立高校でも初年度100万円は軽く超えることになります。1年間の総額が100万円を超えるとなると、やはり私立に通うのは相当厳しくなります。

これが、世帯収入が590万円以下のご家庭に対する補助金が適応されると、次の表のようになります。

世帯収入590万円の場合、授業料が最大43万2000円まで補助されますので、ほとんどの高校の授業料が実質無料となります。授業料がお高いことで有名な桐蔭学園でも、補助金適応後は年間10万2000円。単純に12ヶ月で割ると月8500円の授業料しか発生しません。最近話題が豊富な日大の付属校である日大藤沢も、補助金適応後は授業料が年間3万6000円まで下がり、実質月3000円と子どもの習い事並みの授業料となります。

今後注目すべきは、入学金や授業料以外の項目

入学金も一律で10万円支給されますので、実質の入学金は額面上から10万円安くなりますが、補助金が適応される「入学金」と「授業料」以外の施設費やその他の費用は支払わなければいけません。

そうなると、今後私たちが私立高校の費用の項目で注目するべきポイントは、「入学金」や「授業料」ではなく、それら以外の費用がいくらあるのかというところです。

もう一度上の2つの画像を見比べてください。補助金適応前は、日大藤沢よりも東海大学付属相模の方が年間の総額が若干安くなっています。年間授業料も東海大学付属相模の方が圧倒的に安いです。しかし、補助金が適応されると、日大藤沢と東海大学付属相模の年間の総額が逆転します。東海大学付属相模は、日大藤沢よりも補助金が適応される授業料は安いのですが、補助金が適応されない施設費が高いことが原因です。

ただ、そうは言っても本来は年間100万円近くかかる学費がほとんどの高校で50万円を下回るくらいまで抑えられることになるので、私立高校に対する金銭的なハードルは随分と下がることは確かです。

それにしても、平塚学園の学費の安さは半端ないですね。補助金適応後年間22万4000円ですよ!もはや私立の年間の学費とは思えません。

まとめ

当然ですが「授業料実質無償化」といってもタダで私立に通えるわけではありません。また、慶應義塾の年間授業料74万円など、もともと授業料が高い私立高校の場合は、補助金適応後も授業料が無償とはならないので注意が必要です。

ただ、それでも年間50万円弱で私立高校に通えるというのは、今まででは考えられないことです。特に大学附属校の場合は、公立+予備校よりも私立の方が圧倒的に学費の総額が抑えられることになります。

中学生にとって、選択肢が増えることは喜ばしいことですよね。