新学力向上進学重点校4校の特色検査が2019年から一部共通化!その影響を考えてみた。

平成31年度神奈川県公立入試の選考基準が発表されました。

参照:平成31年度神奈川県公立高等学校入学者選抜選考基準の公表について

今年もいくつかの高校で選考基準の変更等がありますが、うちの塾生にとって大きく関わってくることは、なんといっても「学力向上進学重点校4校の特色検査の一部共通化」です。

参照:自己表現検査(特色検査)の詳細

上の資料に高校ごとの特色検査の概要が記載されていますが、横浜翠嵐・柏陽・湘南・厚木の4校の欄には(※)がついています。そして表の下にこのような注釈が書かれています。

※ 横浜翠嵐高等学校、柏陽高等学校、湘南高等学校及び厚木高等学校では、共通問題と共通選択問題を用いて実施します

つまり、4校の特色検査に一部4校とも同じ共通問題を実施し、残りもそれぞれの高校が独自に作成するのではなく、予め用意された問題からそれぞれの高校が選ぶ形式になりそうです。

今のところ県教委から発表された資料以外の情報がないので、情報収集や分析はこれからですが、今日はこの資料から読み取れることや想定されることを書いてみたいと思います。あくまでも私の予想の範疇を超えないので、鵜呑みにし過ぎないでください。

横浜翠嵐・湘南と柏陽・厚木で評価の観点が異なる件

先ほどの特色検査の概要の、「評価の観点」に注目してみます。

  • 横浜翠嵐…・論理的思考力・判断力・表現力・情報活用能力・創造力および想像力・科学的思考力・判断力・表現力
  • 湘南…・論理的思考力・判断力・表現力・情報活用能力・創造力および想像力・科学的思考力・判断力・表現力
  • 柏陽…・論理的思考力・判断力・表現力・情報活用能力
  • 厚木…・論理的思考力・判断力・表現力・情報活用能力

となっています。これを見ると、4校の観点に共通しているのは、

「論理的思考力・判断力・表現力・情報活用能力」の4つです。そして、柏陽と厚木はこの4つのみです。湘南と横浜翠嵐に関しては、この4つに「創造力および想像力・科学的思考力・判断力・表現力」が加わっています。

これをそのまま素直に読み取ると、厚木と柏陽の2校、湘南と横浜翠嵐の2校でかなり似通った試験になるのでしょう。4校の共通部分が「論理的思考力・判断力・表現力・情報活用能力」を問う問題となり、湘南・横浜翠嵐はそれにプラスして考えさせる問題(創造力および想像力)や科学的思考力を問う問題が追加されるということでしょうか。

それにしても「創造力および想像力」って、スゴイですね(笑)想像ですけど、このフレーズを考えた人、うまいこと考えたもんだから、使いたくてしょうがないんでしょうね(笑)いや、あくまでも想像ですよ。

ちなみに試験時間は4校とも60分です。厚木・柏陽は2018年度まで50分だったので、試験時間が増える分、例年よりも問題量が増えることを覚悟しておきましょう。

2018年度の「観点」と比較してみた件

では2018年度の各校の特色検査の「観点」はどうだったのでしょうか。どのような観点を測るために、それぞれの特色検査が作られたのでしょうか。

  • 横浜翠嵐…・理解・分析力・思考・判断力・表現・構成力・想像力
  • 湘南…・論理的思考力・洞察力・情報活用能力・表現力
  • 柏陽…・理解力・情報活用能力・論理的思考力・表現構成力
  • 厚木…・様々な情報を的確に把握する力・論理的思考力・判断力・表現力

このように2018年度と2019年度の観点のみを比べて見ると、実はほとんど内容が変わっていないのは厚木高校です。2018年度の「様々な情報を的確に把握する力」は、2019年度の「情報活用能力」と言い換えることができます。

2019年度の湘南・横浜翠嵐の観点にある「創造力および想像力」に関しては、2018年度は横浜翠嵐で「想像力」、湘南で「洞察力」という観点があります。どの問題が「想像力」「洞察力」にあたるのか、今後じっくりと分析してみる価値はありそうです。

ちなみに、2019年度の厚木・柏陽の観点には「科学的思考力」はありませんが、2018年度の観点を見ても、「科学的思考力」にあたるものは見当たりません。ただ、厚木にしても柏陽にしても、2018年度の特色検査では理科系の問題は出題されています(多くはないけれど)。なので、「科学的思考力」の観点がないからと言って、厚木や柏陽に理系問題が出題されない、というわけでは無さそうです。

参考:
H30年度柏陽高校特色検査分析と対策法:尖らない柏陽は特色も決して尖らない。
H30年度厚木高校特色検査分析と対策法:5教科の底力こそ、厚木の特色の得点力となる。

共通問題にすると採点の公平性が問題になる件

これは全く私の想像でしかないのですが、特色検査を共通問題にすると、普通の5教科の学力検査のように、採点の公平性が求められます。ということは、採点の公平性が担保できる問題、つまり選択問題や記述問題としてもかなりの条件がついた記述に限られるのかなと考えられます。

尤も、最近はどの高校の特色検査も記述問題が減少傾向にあります。その中でもまだまだ記述問題が多いのが横浜翠嵐ですが、翠嵐のような問題は共通問題化には採点問題から適さないのではと思います。記述問題を出題するにしても、柏陽や湘南のような、ほぼ正解の書き方が限定されるような問題になると予想しています。

まとめ

とりあえず今日の範囲で分かることや想像できることだけをまとめてみました。今後は、各高校の特色検査を、もう一度「観点」という視点から分析し直してみるつもりです。

ただ、いつも言っていますが、特色検査は基本的に5教科の学力の延長線上にあります。変わることへの不安は大きいとは思いますが、だから特色検査対策講座が必要とか、そういうわけでは全くありません。今やるべきことは、このブログでも散々言っているように、5教科の学力の強化です。基礎学力さえきちんと付けておけば、どんな問題でも恐れることはありません。