今年もサンデー毎日の「高校の実力」から、2016年度の各高校の大学合格実績を一覧にしてまとめてみます。
参照:)昨年度→「2015年度大学合格実績から見る、近隣公立高校の実力」
今年の各高校の卒業生は、ちょうど神奈川県の入試制度が現行のものとなった初年度に受検生だった生徒たちです。初年度に学力型の特色検査を実施した高校は9校。横浜翠嵐・湘南・柏陽・横浜サイエンス・厚木・平塚江南・小田原・西湘(理数)です。
特色検査を突破した卒業生が、またはトップ校でも特色検査を実施しない道を選んだ高校の卒業生が、あれから3年後にどのような進路を選び、実績はどのように変わったのか。今年は、旧学区トップ校に焦点を絞り、国公立大・早慶上智・MARCHのそれぞれの合格者割合を算出してみました。
なお、高校名の横の★印は、初年度に特色検査を実施した高校を表しています。また、表は国公立大合格率順にならべています。出典はサンデー毎日の資料ですが、これには現役・過年度生の区別までは分かりません。
旧学区トップ校大学合格ランキング
高校名 | 偏差値 | 国公立大 | 早慶上智 | MARCH |
湘南★ | 73 | 50.4% | 91.1% | 110.5% |
横浜サイエンス★ | 68 | 48% | 25% | 53.9% |
横浜翠嵐★ | 74 | 45.4% | 65.1% | 72.4% |
柏陽★ | 70 | 45% | 58.9% | 148.2% |
厚木★ | 69 | 36.1% | 45.9% | 172.9% |
川和 | 70 | 25.8% | 48.1% | 159.9% |
平塚江南★ | 64 | 20.4% | 20.4% | 88.9% |
相模原 | 66 | 19.9% | 21% | 115.7% |
横須賀 | 66 | 19.7% | 27.6% | 96.8% |
光陵 | 66 | 19.6% | 20.3% | 96.1% |
希望ヶ丘★ | 67 | 19% | 25.16% | 96.2% |
横浜緑ヶ丘 | 68 | 18.8% | 36.5% | 113.7% |
小田原★ | 67 | 16.8% | 19.8% | 87.5% |
多摩 | 66 | 16.8% | 23.9% | 91.4% |
大和 | 66 | 16.1% | 19.4% | 96.1% |
茅ヶ崎北陵 | 64 | 6.6% | 9.1% | 67.5% |
秦野 | 60 | 2.3% | 6.3% | 54.3% |
横浜サイエンスが大躍進!特色検査の効果はまだ分からず。
今年の実績1位〜5位は、湘南・横浜サイエンス・横浜翠嵐・柏陽・厚木と、どれも偏差値の高い県内屈指の進学校です。1位〜5位までが見事に全て特色検査実施校ですが、特色検査を実施したから上位に入ったという見方はできないでしょう。
ちなみに、この上位5校の中では、昨年度と比較すると最も大躍進を遂げたのが横浜サイエンスです。2015年度国公立大合格率は27%程度だったのですが、今年はそれから20ポイント以上も上昇し48%でした。しかも、東大6名、京大2名、東工大12名など、合格率だけでなく合格先も大躍進と言えるのではないでしょうか。
健闘を続ける平塚江南。年度による実績の差が激しい希望ヶ丘・小田原。
続いて6位〜10位までを見ていきましょう。川和・平塚江南・相模原・横須賀・光陵がランクインします。湘南・翠嵐・柏陽・厚木などが1番手ならば、この辺りは全県で考えると2番手校になりますね。
この6位〜10位での特色検査実施校は、平塚江南1校のみ。偏差値64ながら、国公立大合格率に関しては健闘しているように見えますが、国公立大でも早慶上智でも、昨年度と比べると僅かながら平塚江南は実績を落としているので、特色検査を実施したから上位に食い込んだという見方はまだできません。
ただ、他のトップ校に比べて、最近の平塚江南は非常に元気がある学校だと思います。入学時の偏差値も倍率もトップ校の中では低めの平塚江南が、入学時に偏差値も倍率も高かった他のトップ校以上の実績をおさめていることからも、学校の指導がしっかりとしているのだろうなということがうかがえます。
それにしても平塚江南と比べると、今年の小田原はちょっと情けないですね。昨年度と比較しても、国公立大合格率は10ポイント近く、早慶上智も12ポイントも落としています。同じ特色検査校の希望ヶ丘も、国公立大合格率はそれほど変わりませんが、早慶上智合格率が去年と比べて劇的に落ちています。同じ高校でもその年度によって合格実績にバラツキが生じるのは当然ですが、あまりにもその差が大きいと、学校が実績をコントロールしきれていないのかと疑ってしまいます。
入口は変わった。では、出口はどう変わるのか。
新しい入試制度を突破した受験生達が初めて大学受検を迎えた2016年度の春。たった1年だけでは、新しい入試や特色検査がもたらした効果はまだまだ見えてきません。
しかし、高校入試、つまり入口は確実に変わりました。特に特色検査実施校の受験生達は、大人でも解くのが難しいであろう特色検査に対して怯むことなく立ち向かい、見事それを突破した上で各高校に入学しています。
高校側も、入学時点での受験生の質やレベルに対しての要求を上げてるのだから、それに見合うように高校入学後のカリキュラムや授業の質、そして最終的な出口、つまり大学合格実績も上げる努力をするべきでしょう。受験生である中学生にだけ多くを求め、高校側は何も変わらないのでは、入試を変える意味や特色検査を実施する意味が全くなくなってしまいます。
特に特色検査実施校に関しては、来年度以降もしっかりとその実績の動向を追っていくつもりです。