三連休の中日の15日の日曜日、神奈川県川崎市にある岩沢学院さん主催のセミナーに参加してきました。
キッカケは岩沢先生のこのツイートです。
そういえば本格的に自塾を始めたのがバブル末期の1990年春。今年で29年目に入っていた。近所の子を集めて教えていたのを入れればもっとだけど。引退予定まであと7年(笑)その前に色々なノウハウ、集客、経営、教務面で、少しでもお役に立てれば。セミナーと言う名の塾長会やろうかな。登壇者募集(^^)
— 岩沢学院 学院長 岩澤慎 (@hige1126) 2018年5月9日
以前勤めていた大手塾で川崎市内の教室を受け持っていたこともあって、実は岩沢学院さんの存在は大手塾勤務時代から存じ上げていました。「なにやら川崎にバランスボールを使った変わった塾があるらしいぞ」という噂も当時から聞いていました。
川崎市は、市内のそこら中で大手塾がひしめく塾の激戦区でありながら、特に岩沢学院さんのある南部地区は所得格差・教育格差がもの凄く激しいという、神奈川県の中でもかなり特殊な街です。大手塾でも苦戦を強いられることの多い川崎南部エリアで、個人塾が29年もずっと続けていけるのは、必ずそこに理由がある。岩沢学院がそこに存在しなければいけない訳がある。あの地区では、存在価値のない学習塾は個人でも大手でもすぐに潰れてしまいますからね。
その理由を探すため、15日に岩沢学院さんにお邪魔しました。
たとえ95%に嫌われても、5%に受け入れてもらえればそれでいい。
今回、セミナーの内容をブログで詳しく書くのは控えておこうと思います。もったいぶった書き方は好きではありませんが、それでも感想を書かせていただくと、あのエリアで個人塾の岩沢学院さんが29年も存在し続けられる理由は、明確にそこにありました。むしろその理由を、まざまざと見せつけられたセミナーでした。
「低学力層は大手塾じゃ絶対に伸びませんよ。」岩沢先生がセミナー中に仰った言葉です。
川崎市内の大手塾に勤務した経験のある私にとって、これは痛いほどよく分かります。実際、低学力層の生徒たちは伸びませんでした。伸びなかったというより、まず受け入れませんでした。受け入れられませんでした。かろうじて受け入れが可能だった子でも、授業なんて座っているだけで精一杯で、理解するに至っていませんでした。そしてそんな生徒たちを、大手塾時代の私は、黙って見過ごすだけしかできませんでした。でも、それで良かったんです。在籍させているだけで塾にはお金が入ってくるし、保護者はとりあえず子どもが塾に通っているだけで安心してくれるし、生徒も塾に通っている事実だけで満足してた。みんなWIN-WINの関係だったんです。
「うちに来た生徒は伸びます。どんな低学力層の子でも伸ばします。それくらい厳しくやりますからね。」
お話を伺っていると、実際に岩沢学院には生徒を伸ばすノウハウがありました。「生徒を伸ばすノウハウ」と言うよりも、どんな学力層の生徒でも、生徒ととことん向き合う姿勢と覚悟、そしてシステムがありました。
岩沢学院さんのホームページをもう一度見てください。屋号の「岩沢学院」よりも、「学習道場」と書かれた文字の方が大きく、そして目立っています。これが岩沢学院の全てを表していると思います。塾というよりも道場という表現の方が近いです。詳しくは書きませんと言ったのに、なんだかめちゃくちゃ詳しく書いていますね。これくらいにします。
「うちの塾は市場の95%の人たちには嫌われるかもしれません。受け入れられないかもしれません。でもたった5%でも、うちの塾を必要としている人に受け入れられるのなら、それで良いんです。」岩沢先生がそう仰っていました。
分かる。もう本当に分かります。
うちの塾も95%の人には嫌われるでしょう。塾長の私が横にいることにも気づかないで、「あそこの塾は厳しすぎる」「なにもあんなにやらなくてもね」と喫茶店で母親たちが噂している現場にも立ち会ったことがあります(笑)。でも5%の人でも、うちの場合はそれより少ないかもしれない。うちを必要としてくれる人がいる限り、私は私のやり方を貫こう。そう思って塾をやっています。
岩沢学院さんと慧真館は、システムも対象とする生徒も授業スタイルも全く違います。でも、根底に流れる志の部分は同じであるということを知り、とても勇気付けられました。
塾の先生は、子どもに対して圧倒的自由である。
実は岩沢塾長の他に、岩沢学院さんの高等部を担当されている先生のセミナーも聞くことができました。これがかなりの衝撃的な内容で、それこそこのブログにはその内容を一切書くことができません。業界内外の色々なセミナーに参加してきましたが、そんな私が今までに受けたことのない種類のセミナーでした。
内容には一切触れず、その先生のお話の中で、心に残った(というより突き刺さった)言葉を紹介しておきます。
「自尊心や自己肯定感が低い子が、自信をつけるには、やっぱり勉強なんですよ。子どもにとって勉強ってしんどいじゃないですか。しんどいことに対して努力して、結果を出す。成績が上がる。夢に近づく。すぐに、簡単に、手に入らないことで成功を掴むことで、子どもは自尊心を取り戻すんですよ。自己肯定感を取り戻すんですよ。そして、自分の人生も取り戻すことができるんです。」
「塾の先生って自由なんです。何をしてもいいし、何をしてはいけないということもない。どんな職業よりも、子どもと向き合えるんです。子どもに寄り添えるんです。そして勉強を通して、子どもに自己肯定感とか、夢とか、与えてあげられるんですよ。そんなとことんどこまでも子どもと向き合えるの、塾の先生しかいないんですよ。」
この先生の言葉に、どんな感想を添えたとしても、きっとたちまち陳腐化してしまうでしょう。なので感想も添えません。でもこの言葉は、今も私の胸に突き刺さっています。きっと塾の仕事をする限り、いつまでも私の胸に突き刺さったまま、抜けることはないでしょう。
子どもに対して、圧倒的自由である塾の先生、しかもその塾の先生の中でも、もっと自由度の高い個人塾の先生という立場で、私は何ができるのか、何をやるのか、それをずっと自分自身に問いながら模索していくつもりです。
まとめ
個人塾を訪問させていただく度に毎回思います。個人塾の世界はガラパゴスで、だからこそ面白くて、圧倒的なパワーがあると。岩沢先生のおっしゃる通り、ほとんどの人には受け入れられないかもしれない。でも、だからこそ個人塾の存在意義ってあると思うんです。95%の人に受け入れられたいのなら、大手塾で十分です。でも、5%でも、大手の枠からはハミ出てしまう子どもが必ず存在します。大手の枠では伸びない子、満足しない子が必ずいます。その5%に寄り添えるのは、我々個人塾です。
たった5%です。大儲けはできません。だから個人塾の先生って儲けとか疎いんですよね(笑)。大変な仕事でそんな儲からないのに、利益度外視で何でもやる。泥臭いことでも必死でやる。大手だったら確実に「ブラックバイト」とか言われてバイト講師に訴えられます(笑)でも私を含め、みなさん幸せそうで、この仕事が楽しくて仕方がないという方ばかりです。たった一人でも、そこに生徒がいるのなら、自分の持てる力の全てを使ってとことんまで付き合う。それが個人塾のパワーの源なんでしょうね。
また良い塾を見させてもらいました。
岩沢先生に習って、うちの塾の全てを見てもらう塾の先生対象のセミナーやってみようかな。考えてみようと思います。