自己表現検査なんて名ばかり・・・!特色検査の実態

2012年7月6日

14日の土曜日に開催する保護者様向けの進路説明会の資料をコツコツと制作中。新しく始まる入試制度の中でも、やはり一番気になるのが「特色検査」というヤツ。ということで、今日は特色検査について考えてみる。他の都道府県からブログを見てくれている人、神奈川県のローカルネタばかりでどうもすみません。

新入試制度では、内申+学力+面接の他に、各高校の裁量で「特色検査」をするかどうかを決められる。この特色検査は、さらに「自己表現検査」と「実技検査」の2つに分けることができる。実技検査の方は分かりやすい。美術系とか音楽系などの芸術コースや体育系のコースで実施される実技の検査のことで、実技検査をする意図も明確である。厄介なのは、「自己表現検査」の方。そもそも「自己表現」って何?自己を表現ってどうするの?特技を披露すればいいの?踊ればいいの?歌えばいいの?と、非常に分かりにくい試験名にクエスチョンマークだらけ。

「自己表現検査」を実施する予定の学校のほとんどは、横浜翠嵐、湘南、厚木、平塚江南、柏陽、小田原等のトップ校ばかり。去年までの独自入試実施校11校のうち、8校が自己表現検査を実施することになる。つまり、これは「自己表現検査」という名前の、独自入試に近いものだということが分かる。間違っても、試験官の前で自己を自由に表現する検査ではないです。

今年の入試は難しくなると言われているが、それはあくまでも「今までの共通入試からは」難しくなるということ。今までの独自入試と比べると簡単になることは100%間違いない。そうなると、今まで独自入試で差をつけていたトップ校では受験者の点数に差が付きにくくなる。だから、「自己表現検査」という制度を利用して、難しい試験を課すことによって、受験者に差をつけてやろうと、こういう魂胆だということが想像できる。

ではどんな問題が出題されるのか。それは誰にもわからない。ただ、厚木高校の説明会に行ってきた生徒から入手した「特殊検査出題例」を見てみると、決して自己を表現する検査ではないことは分かる。『地球温暖化』を答えさせる問題から始まって、地球温暖化に対しての対策を書いた英語の短文読解に続き、英文を140字で日本語に要約させる。そうかと思えば次のページには、数検3級の2次試験に出てきそうな天文学者エラトステネスの計算で、いろいろ面倒くさそうな計算が出題される。これって普通の難しい入試問題じゃん!自己なんてこれっぽっちも表現してないじゃん!

つまり、自己表現検査と言っても、学力がないと太刀打ちできません。これは、自己を表現する検査ではなく、学力に差をつけるための検査。厳しい言い方をすると、ふるい分けするための検査ってこと。自己表現検査がある高校を受ける生徒は、下手に作文とか小論文とかの練習をするんじゃなくて、今まで通り教科の勉強をしっかりとしておくことに限る。加えていうなら、数検の2次の勉強を取り入れても役に立つかもしれない。

だったら自己表現検査なんて呼び方やめればいいのにって思っているのは私だけじゃないはず。