昨日の1月31日の夜に、2018年度の志願変更前の倍率が発表されました。
倍率一覧のURLhttp://www.pref.kanagawa.jp/prs/p1210877.html
毎年のことながら、公式発表が出る1日前からTwitterで倍率に関する様々な情報が出回っていましたが、入試の倍率のような重要な情報は、情報の出所が明確で、信頼のおけるところ、つまり公式発表から入手するようにしましょう。
誰が発信したかも分からない、情報の出所も確かではない、100%信用できる数字である確証もないTwitterやネット上の情報を、いとも容易く信じないこと。そして、それらの不確かな情報をいとも容易く拡散しないこと。それが、中学生が身につけるべき「メディアリテラシー」です。実際に、Twitter上で「祭り」のように拡散されていた情報の中には、志願者数や倍率の数が間違っているものも少なくありませんでした。
さてさて、小言はこれくらいにして、県教委からの公式発表の倍率の数字に基づいて、倍率を分析していきましょう。
慧真館10期生の出願先
まずは、慧真館10期生の出願先の倍率から見ていきます。10期生12名のうち、私立単願ですでに進学先が確定している2名を除き、公立高校を受験する生徒は10名。その出願先は、厚木/平塚江南/小田原/秦野/大磯の5校です。
高校名 | H30年度(1月31日時点) | 前年度 | ||
定員 | 志願者数 | 倍率 | ||
厚木 | 358 | 474 | 1.32 | 1.27 |
平塚江南 | 358 | 435 | 1.37 | 1.14 |
小田原 | 318 | 428 | 1.35 | 1.15 |
秦野 | 358 | 407 | 1.14 | 1.15 |
大磯 | 278 | 262 | 0.94 | 1.25 |
県教委のURLにある情報を抜粋したものですが、前年度の欄の数字は、前年度の同じ時期(志願変更前)の倍率を示しています。
この倍率を受けて、5校それぞれの極めて個人的な感想と予想を書いていきます。ちなみに目標点や最低点は、内申によって異なります。あくまでも、自分の塾生に向けて書いた得点であると考えてください。
厚木高校
厚木は去年の同時期の倍率から少し上昇しましたが、ほぼ例年通りと言って良いでしょう。厚木は、過去5年間を振り返っても、志願変更前の1回目の倍率は毎年1.3倍台です。1回目の倍率で1.3倍台が出て、志願変更後に少し減って1.2倍台に落ち着くというのが厚木のパターンなので、今年もおそらく最終的には1.2倍台に落ち着くかなと思われます。
厚木の注意事項は特色検査です。割合に変更はありませんが、昨年度の特色検査がそれまでと比べて易しくなりました。特色検査が難しかった2〜3年前は、いい意味でも悪い意味でも特色であまり差が付きませんでしたが、易しくなった去年は、特色での差が大きくなってきています。
厚木で5教科400点を切ると、少しでも特色で失敗すると一気に厳しくなります。少々特色で失敗しても合格できるように、5教科では420点は稼いでおきたいところです。
小田原高校
今年の県西地区の注目校は、何と言ってもいろいろと選抜方法に変更があった小田原高校でした。
結果、小田原高校側の目論見通り、志願者が昨年度の同時期に比べて増加し、1.35倍となりました。これは、小田原高校の過去5年間をさかのぼってみても、2番目に高い倍率です(志願変更前過去最高は3年前の1.42倍)。3年前の1.42倍を上回る倍率になるかもしれないと覚悟していたのですが、意外にもそこまで高くはならなかったという印象を受けました。
とは言え、1.3倍を超え、久しぶりに激戦校の仲間入りです。特色検査が無くなった分、5教科で失敗できません。目標は400点以上、2次選考を考えるのなら、最低でも380点は超えておきたいところです。
平塚江南高校
この5校の中でも意外だったのが平塚江南です。私の予想では、平塚江南は昨年度並みか、同レベルの小田原高校に人気が集中する影響を受けて、若干倍率が低くなると思っていたのですが、蓋を開けてみると、小田原よりも倍率が高くなってしまいました。平塚江南の1.37倍は、新しい入試になってからの過去5年間の中で、最も高い倍率です。
小田原の陰に隠れてあまり話題にはなりませんでしたが、平塚江南も、今年の入試から特色検査の割合を「2」から「1」へと変更されます。平塚江南の特色検査はもともと差の付きにくい問題で、特色で大きく差が開くということは滅多にありません。つまり、やはり平塚江南も5教科勝負になると思います。
小田原同様、目標は400点以上です。昨年度までの低倍率なら、360点あたりでも合格者が出ていましたが、今年は360点〜370点台はキツいと思います。380〜390点は確実に取りたいところです。
秦野高校
秦野は去年並みの低倍率ですね。小田原高校の選抜方法の変更の影響をどれくらい受けるかと注目していたのですが、倍率に関しては、そんなに大きな影響はなかったようです。
ただ、秦野は、小田原や平塚江南の志願変更先の候補になりやすい高校です。そのどちらの高校も1.3倍を超える倍率なので、志願変更者は一定数いると思います。もしかすると、志願変更で倍率が少し上がるかもしれません。そしてもしも志願変更後に秦野の倍率が上がったならば、それは上位層が増えたと考えられます。
今のところボーダーは去年並みと考えても良いとは思いますが、350点は超えられるように頑張りましょう。
大磯高校
大磯は予想外に割れました。去年の同時期の倍率よりも大幅に減少しましたが、どちらかと言うと去年の倍率が大磯にしては高かったので、例年に戻った感じです。現時点では割れていますが、大磯と同レベルの西湘高校の倍率が1.37倍とかなりの高倍率なので、西湘から大磯に志願変更する人が一定数いるのではと予想されます。平塚江南からの志願変更者も少しはいるでしょうしね。そう考えると、結局は定員割れは回避されるんじゃないかなと予想されるので、定員割れしているからと油断しないように。
その他注意が必要な高校
先ほど、全県模試さんから「現時点の倍率で、合格ラインに特に影響が出そうな高校10校」というメールがきました。10校ともうちの塾生とは直接関係のないところですが、だからこそ私のところに留めておくよりも皆さんにお知らせした方がいいと思うので、ブログで共有します。
- 藤沢清流
- 大和西
- 市立総合科学(建築工学/電子機械/情報工学)
- 市立横浜商業(商業/スポーツマネジメント)
- 港北
- 市立高津
- 生田
- 横浜南陵
- 横浜清陵
- 相原(食品化学/畜産科学/総合ビジネス)
なんでも、全県模試最終回(1月14日号)の合格判定のラインが最低でも20点〜30点程度上がる可能性もあるとのこと。最終的には来週の志願変更を見てみないと分かりませんが、以上10校は難化の可能性が高いとのことです。
私も知らなかったんですが、全県模試には「直前WEB判定模試」なるものがあって、問題をダウンロードして自宅で受験できるシステムの模試があるとのこと。それを自分で採点して、結果を入力すると、今回の倍率を加味した合格判定をしてくれるとのこと。
https://www.shingaku-kobo.com/moshi/web-hantei.html
高校受験は最後の最後まで得点は伸びていくため、うちの塾を含め、多くの塾で今の時期は結構な頻度で直前模試をやっています。塾に行っていない人や、通っている塾が直前模試を全くやってくれない人にとってはかなり使えるツールではないかと思います。
※全県の回し者ではありません。
※うちの塾生はやらなくてもいいです。
最後に
今回の倍率を受けて、志願変更するしないを決定したら、あとはもう倍率は関係ありません。倍率が何倍であっても、定員が358人の高校なら、358位以内に入れば合格します。逆に、倍率がどれだけ低くても、359位になった時点で不合格です。
きっと来週の志願変更でも、公式発表を待てないメディアリテラシーの低い人達が、Twitter上の「祭り」に参加するのでしょう。発信源も分からない、信ぴょう性も不確かな情報をいとも簡単に鵜呑みにして、それを無意味に拡散するのでしょう。そんな「祭り」に参加して、わざわざ自分のメディアリテラシーの低さをさらけ出す必要も、貴重な時間を無駄にする必要はありません。
短期決戦である高校入試は、最後の最後、そう、入試の直前まで伸びていきます。しかも、最後のこの時期は、今までの勉強によって地下でフツフツと溜まっていた得点力のマグマが、一気に爆発して地上に現れてくる時です。やればやった分だけぐんぐんと伸びていきます。そしてそういう人には、スポーツと同様に「勢い」もつきます。
どんな状況でも諦めず、気を抜かず、最後までやり切ることが、今君達がしなければいけないことですよ。