昨日の記事でも書きましたが、H29年度の入試から全校でマークシートが導入されるという報道がありました。しかし正式に県教委から発表された訳ではありません。そこで、真実のほどはどうなのか確かめるべく、県教委に電話で問い合わせてみました。
まずはその一部始終を再現してみます。
県教委の担当ハマダさんとの会話
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私「昨日の神奈川新聞で、H29年度の公立入試からマークシートが導入されるという報道がありましたが、県教委からはまだそういった発表が何もありません。マークシート導入の件は事実と考えて間違いないのでしょうか。」
ハマダさん「マークシートの件は、あくまで教育委員会に提出いたしました案の段階ですので、まだ正式には決定されていません。神奈川新聞は、その案の内容を報道されたのだと思います。21日に開かれる教育委員会で正式に決定しますので、そのあとに県民の皆様にお知らせする予定でおります」
私「しかしあのように断定的な報道がなされたということは、マークシートが導入される方向で間違いないのですね」
ハマダさん「大きく変わることはないと思います」
私「わかりました。あともう一つ、14日に発表された平成29年度公立高等学校入学者選抜選考基準及び特色検査の概要にも(案)が付いているのですが、あれはどういうことですか」
ハマダさん「あれも案でございまして、21日の教育委員会で正式に決定いたします。案の段階で公表させていただいたのは、今年は基準の発表が遅れておりまして、また今週末にも全公立展が開かれますので、それに間に合うようにとりあえずの案を発表させていただきました」
私「あの(案)はどれほど信用できるものなのでしょう?」
ハマダさん「断定はできませんが、案から大きく変わることはないと思います。いずれにしても21日の教育委員会後に正式に発表致しますので、ご確認ください」
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以上が私とハマダさんとのやりとりです。どうでもいいことですが、この電話口のハマダさんは意外にも対応が丁寧で非常に好印象を受けました。しかも声がかなりダンディでした。
ハマダさんとのやりとりによると、まだ案の段階ではあるけれども、21日に正式決定されることはほぼ間違いなさそうです。また、選考基準も先日出されたものでほぼ決定のようですね。
マークシート導入がほぼ決定ということで、マークシート導入によって入試がどう変わるのかまたは変わらないのか、一足早くH28年度入試から全受検生にマークシートが導入された東京都立入試を調査してみました。
東京都立入試を調査してみた件
都立入試でマークシートが導入されたいきさつ
H26年度の都立高校入試158校1418件もの採点ミスが発覚し、その結果16人の受検生が追加合格となった事態を受けて、翌27年度に試験的に20校の入試にマークシートを導入。そして今春行われた28年度入試では、自校作成校の英数国(いわゆる神奈川の独自入試)を除く全ての高校、科目でマークシートによる入試が導入されました。
神奈川も東京都とほぼ同じ道を辿ろうとしています。ただ、東京都は全校でマークシートを導入する前に、1年間パイロット校20校で試験的な導入がなされていますが、神奈川はこれをすっ飛ばしていきなり全校導入にするようです。試験的導入の手順を踏まなかったのは、東京都の前例があるからでしょう。
全ての科目で記述式問題が減少
結論から言うと、マークシート導入後に、数学を除く全ての科目で記述問題が減り、選択問題が増えていました。国語とそれ以外の3科目に分けてまとめていきます。
国語
年度 | 漢字読み書き | 記号選択問題 | 記述問題 |
H28年度 | 10問 | 14問 | 1問(200字記述) |
H27年度 | 10問 | 11問 | 4問(200字/50字/35字記述+書き抜き) |
H26年度 | 10問 | 11問 | 4問(200字/50字/35字記述+書き抜き) |
ちなみに解答用紙の変化はこんな感じ。
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↓
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全然違う!!記述問題がたった1問になり、明らかに採点しやすくなりました。
英理社
年度 | 英語 | 理科 | 社会 | |||
選択問題 | 筆記問題 | 選択問題 | 筆記問題 | 選択問題 | 記述問題 | |
H28年度 | 19問 | 4問 | 22問 | 3問 | 16問 | 4問 |
H27年度 | 15問 | 8問 | 19問 | 6問 | 15問 | 5問 |
H26年度 | 15問 | 8問 | 21問 | 5問 | 13問 | 7問 |
英語理科社会でも、マークシートが導入された今年から明らかに記述問題が減少しています。東京都は、マークシート導入に際して出題傾向に変更はないと明言していましたが、やはりマークシートを意識した出題にしたのでしょう。
まとめ
東京都の前例から考えると、神奈川もマークシート導入により、これまでよりも記述問題が減る可能性があります。ただ、勘違いして欲しくないのは、記述問題が減り選択問題が増える=入試問題が簡単になるという図式はあてはまらないということです。センター試験がよい例です。マークシートのセンター試験は全て選択問題ですが、だからと言って誰でもできる簡単な問題ばかりではありません。
そもそも、選択問題が多いから、記述問題が多いからと、受験勉強の仕方や試験問題の解き方が変わるわけではありません。もしもそれで勉強の仕方や解き方が変わるのなら、それはナンセンスです。今年の受験生は、出題傾向に変化があるかもしれないということを念頭に置きつつも、ここ3年間の神奈川の入試問題レベルにしっかりと対応できるような通常通りの準備をしていきましょう。きちんとした学力が備わっていれば、選択式であろうが記述式であろうが、何の問題もないはずです。