このブログで質問がある方はどうぞと呼びかけてから、結構質問のメールをいただくようになりました。個人的な質問にはメールで対応していますが、面白い質問はブログで取り上げさせて頂きます。今日は、先日同業者の方からいただいたメールを取り上げたいと思います。
私、神奈川県の個別指導塾で、アルバイトとしてですが講師をしている者です。現在20歳の大学2年生です。今回メールをしましたのは、神奈川県の公立入試について、岸本先生の見解が聞きたいと思っているからです。
今年は神奈川県の入試が変わりますが、出題形式や内容についてはどのように変化すると思いますか?例えば英語は大問の数が一つ増え、英作文がかされるようになるのを除いて、変わらないと考えています。
数学も、大問1は計算、大問2は方程式やその他小問集合、3は関数、4は確率、5は規則性、6は空間図形、7が平面図形という形式は変わらず、大問5の(2)が記述、7の(1)が全証明となるだけだと考えています。どの教科も思考力を重視するようになるとはいいつつも、東京都や埼玉、千葉の公立入試に似たものとなると考えれば、大きな変化はないと思うのですがどう思われますか?
県トレなどの問題をひたすらやり込み、考え方をマスターできれば十分対応できると思うのです。
これに関して、岸本先生の意見をお聞きしたいです。
まず驚いたのは、メールの冒頭にもあるように、この質問の送り主がアルバイトの講師の方だということです。神奈川県の入試問題はもちろんのこと、その他の都道府県のことにも熟知されているようで、かなり研究熱心な方なようです。アルバイト講師で、ここまで入試制度等に熟知されている方はそう多くいるわけではありません。そういう意味で、かなり貴重で優秀な人材です。この先生に教わっている生徒さんは、かなりラッキーだと思います。
さて、質問の内容に対しての返答です。複数の教材会社の模試を研究したところ、どの教材会社の模試も、基本の出題形式や内容は去年までのもののままで、新傾向の出題例をところどころに挟んできています。
英語は例年までの大問7まではそのままに大問8に英作文を追加していたり、従来の問2の単語問題を省いて英作文を追加し、大問7までに納めていたり。数学はほぼ全ての模試会社が、この先生のおっしゃる通り、問5と問7の規則性と証明に記述問題を持ってきている他は、従来通りの作りです。国語は、大問数は変化無しで、問1の最後に100字以上の条件作文を持ってきている他は、記述形式の問題が多くなっています。理科社会に関しては、大問数・形式ともに変化無しで、記述形式の問題が多くなっているくらいです。
複数の模試会社の方に制作意図をヒアリングしましたが、どの模試会社の方も「出題形式は従来と変化がないと考えている」と回答がありました。私も概ね模試会社の考え方と同じく、出題形式等にそれほど大きな変更はないだろうと考えています。ただ、どの科目も時間がかかるような記述形式の問題が増える分、その他の記号問題などは従来より易しめかつ単純になるのではと思っています。そうでないと、50分間で解き終わらないですからね。同じ科目でも、問題によって難易度の差が例年よりも大きくなるでしょう。
ただし、これらはあくまで予想です。私の周りでもいろいろな人がいろいろなことを言いますが、あまり鵜呑みにしないようにしています。結局どんな問題がでるのか、どんな出題形式なのかは、ふたを開けてみない限り誰にも分からないことです。うちの塾では、万が一出題形式が変わったとしてもしっかりと対応できるように、上位校志望者には特に神奈川県以外の全国入試問題を解かせ、色々な出題形式に慣れさせています。下位層はともかくとして、上位層は想定外のことも想定し、対応できるようにしておいた方が良いと思います。神奈川県以外の出題方式や難易度に慣れることも、決して損にはなりません。
県トレは英数国はいいですね。やり込めば力がつくと思います。ただ、英語は他の都道府県の問題もやっておくと、より条件作文や英作文に対応できる力がつくと思います。理社ですが、私は個人的に県トレでは力がつかないと思っています。最後に仕上げるくらいならいいですが。うちの塾では完全にオリジナル教材を使って独自のやり方で対策しています。
下位層や中堅層あたりなら、県トレをやり込むことで問題ないかと思いますが、上位層はやはりそれだけでは不安です。形式が変わることも考えて、他の都道府県の問題も解ける力をつけておいた方がいいと思いますよ。