入試基準を大幅に変更!その他の変更点は!?西湘高校訪問レポート

2015年11月17日

今年3校目の学校訪問は西湘高校。西湘高校への訪問は昨年度に続き2回目ですが、昨年度訪問した際の記事は諸事情により公開しませんでした。西湘高校といえば皆様もご存知の通り、H28年度の入試でこれまでと大きく選考基準を変えてきています(参照:「平成28年度公立入試選考基準発表!西湘高校が選考基準を大幅変更した模様。」)。お忙しい中時間を割いていただいたので、30分程度という短い時間での訪問の中、H28年度入試の選考基準の変更を中心にお話を伺ってきました。
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H28年度選考基準変更の内容とその訳

選考基準変更のまとめ

まずは、西湘高校のH28年度入試選考基準の変更点をもう一度おさらいしよう。

  • 内申:学力:面接・・・「5:3:2」→「4:4:2」へ
  • 重点化・・・一般コース理数コースとも学力検査の英語の得点2倍→一般コースは重点化なし、理数コースは理科・数学の得点をともに1.5倍へ変更
  • 面接・・・面接の観点に、「部活動に対して取り組む意欲と学習との両立」を新たに追加
  • 特色検査・・・理数コースの特色検査を廃止

H28年度入試からこのように基準を変更した理由について、奥津校長先生はこのようにおっしゃった。
「新しい入試制度になって3年が経ち、現在の1年生から3年生までは全て新しい入試制度の受検を経ての生徒となりました。今回、入試の選考基準を決めるにあたって、特別チームを組んで在校生の学力などを追跡調査し、改めてどのような基準が良いのかの見直しをしました。今回の選考基準変更は、その調査を経てのことです。」

西湘高校に限ったことではないが、高校は3年のスパンで色々な計画を立てていく傾向がある。H28年度は、新しい入試制度になってから4年目の年。県内全体で見ると、西湘高校を含めて多くの高校で割合基準の変更や重点化の追加・削除などが行われている。

個人的に思うことだが、入試の基準には各高校の受検生の想いのようなものが表れているように感じる。どのような生徒に入学してもらいたいか、どのように育てていきたいかというメッセージのようなものだ。後ほど詳しく触れるが、奥津校長先生は「生徒には、どの科目もバランス良く勉強してもらいたい」という思いを強く持っておられる。今回の「4:4:2」や一般コースの重点化廃止なども、そのような思いが反映されているのかもしれない。

面接に追加された「部活動」についての観点

上記にも触れた通り、表立って話題にはなっていないが、面接の観点に「部活動に対して取り組む意欲と学習の両立」が追加されている。

「部活動をやっていると、同級生や先輩・後輩とのやり取りのなかで、実に多くのことを学ぶことができると考えています。このことから、面接の中で部活動に対する意欲を観点に入れました。」と、校長先生はおっしゃった。現在の西湘高校在学生の部活動加入率は、約82〜83%程度とのこと。部活によっては、公立高校の括りの中では、なかなかの上位の成績を残している部もあり、積極的な部活動指導をされている高校と言えるだろう。

「ただ、必ずしも部活動に入らなければいけないということはありません。ボランティア活動だっていいでしょう。そのような課外活動に対してどのように頑張っていこうとしているのかという展望を聞きたいと思っています。」とのこと。

5教科をしっかりと勉強していくシンプルなカリキュラムへ

「H28年度入学生から、カリキュラムも見直しました。これまで複雑で分かりにくかったカリキュラムを全て見直し、英数国理社という5教科をバランスよくしっかりと勉強していくような内容にしています。」

前半にも述べたが、奥津校長先生は「バランスよく勉強することが大切だ」という思いを持っておられる。

「たとえ、実際の大学受検で私立を選択したとして、3科目しか受験科目がないとしても、5教科をバランスよく勉強するのと、3科目だけしか勉強しないのでは全く違ってくると思っています。これまでの経験から、5教科をしっかりと勉強してきた子の方が、3科目や2科目受検になったとしても結果的に伸びているんです。それに、早いうちから教科を絞って勉強しても、皆が皆その教科の学者になるわけではありません。幅広い知識を3年間で身につけてもらいたいと考えています。」

校長先生の言葉通り、今年刷新された新しいパンフレットのカリキュラム欄は、去年までのそれに比べて随分シンプルかつ科目の内容が分かりやすいものとなっている。また、文系コースでも2年生まで数学ⅡBまであったり、理系コースでも古典を履修したりなど、文系理系問わず5科目をしっかりと学んでいく教育課程へと変化した。

ちなみに、西湘高校は理数コースが今年度までSSHに指定されていることもあり、一般コースの中でも理系を選択する生徒の割合が半数を超えているとのこと。これは西湘と同偏差値層の高校では、とても珍しいことだと言える。

また、校長先生はこうも付け加えられた。
「5教科を支えるのは、音楽や芸術・技術家庭・体育の4科目です。たとえば体育できちんと体力を身につけたり、音楽で耳を鍛えてこそ、5教科をしっかりと勉強できると思っています。どの科目もバランス良く勉強してこそ、結果がついてくるのです。」

大学入試に関係があるから学ぶ、関係がないから学ばないのではなく、あくまでもバランス良く勉強することの重要性を強調されているように感じた。

失敗する練習を西湘高校でたくさんやって欲しい

学校行事も非常に盛り上がるのが西湘高校の特徴。

「文化祭・体育祭などの学校行事は、生徒が主体になって動いています。最近では中学生に対する学校説明会も在校生が活躍しています。私は生徒が自ら考えて動くことがとても大切だと思っています。たとえ、その過程で失敗したっていいんです。失敗しても私がきちんと責任をとる。動かないと何も学べないけれど、失敗からは多くのことを学ぶことができます。生徒には、失敗する練習を西湘高校でたくさんやって欲しいと考えています。」と校長先生はおっしゃった。

今年同校に着任された山口副校長先生も「西湘高校は主体的に動ける生徒が多い高校という印象がある」とおっしゃっていた。特にここ最近は、ますます学校行事が生徒主体となってきているという。

まとめ

「5教科バランスの良い勉強が結果を生む」「失敗する練習をここでたくさんやって欲しい」という校長先生のメッセージが特に印象的な訪問だった。

西湘高校の理数コースは今年度までSSHの指定校受けているが、来年度以降継続されるかどうか、まだ県教委から発表はされていない。今までであれば、「西湘と言えば理系」「西湘と言えばSSH指定校」というイメージが強かったが、入試の基準変更やカリキュラムが変更される来年度以降、西湘高校がどのような方向へ舵をとっていくか、楽しみである。