メリットがたくさん!増え続けている『書類選考制度』を使った私立併願受験

来週からうちの塾でも第1回の進路面談が始まります。そろそろ本命の公立高校だけでなく、併願私立先を少しずつ考えていかなければならない時期になります。

ここ2〜3年の間で、学力検査を実施しない『書類選考』の制度を入試に取り入れる県内私立高校が多くなりました。2015年度では、県内の5,352人の受験生が書類選考を利用したというデータがあります。ちなみに2014年度では3,035人なので、たった1年の間で書類選考を利用した受検者数が2000人以上も増えたという計算になります。

そこで今回は、2015年度に書類選考を実施した高校一覧と、書類選考を利用する際のメリットデメリットについてまとめてみたいと思います。私立併願先選択の参考にしてください。

2015年度入試で書類選考を実施した公立併願可能な私立高校一覧

麻生大学附属、アレセイア湘南(特進選抜・特進)、鎌倉学園、関東学院、北鎌倉女子(普通・特進)、相模女子大学、湘南学院(国公立アドバンス・アドバンス)、湘南工科大学附属(進学アドバンス)、聖和学院、鶴見大学附属、桐蔭学園、藤沢翔陵(特進)、武相(特進・進学)、緑ヶ丘女子(特進・幼児教育)、横須賀学院、横浜(特進・文理)、横浜商科大学(特進・進学・商業)、横浜創学館(普通科特別進学)

書類選考のメリット

精神面や時間に余裕ができる

まずは書類選考のメリットから。一番大きなメリットは、受験会場に出向かなくて済む分、公立入試の勉強時間を確保できるということです。

神奈川県の公立入試は毎年2月中旬に行われ、これは全国的に見ても異例の早さです。現中3生が受験する2016年度は、2月16日(火)〜18日(木)と既に決まっています。それに対して、県内の私立高校の推薦以外の一般入試の受験日は、ほとんどの高校で2月10日(水)〜12日(金)に行われる予定です。つまり、私立入試日〜公立入試日までたった6日しかないという、非常にタイトな受験スケジュールになってしまうわけです。

入試は受験会場までの往復時間、学力検査を受けている時間、面接がある私立高校だと面接までの待ち時間や面接の時間まで含めると、ほぼそれだけで1日が潰れてしまいます。また、いくら確約で事前にほぼ合格が決まっている私立併願校(参照:「神奈川県限定。意外と知らない併願私立高校の入試システムをズバッと解説。」)とは言え、受験するにはやはりある程度の準備が必要になります。書類選考制度を利用すると、これらの準備や受験にかかる時間を、第一志望の公立高校の勉強に全て回せることができるので、精神的にも物理的にも余裕が生まれるのです。

おまけとして、私立高校の受験会場に行かないことで、毎年この時期に猛威をふるうインフルエンザの予防にもなります。私立の受験会場でインフルエンザウィルスをもらってしまっては、6日後の公立入試で確実にダメージを喰らってしまいます。

オープン入試を受験しやすくなる

もうひとつのメリットとして言えることは、オープン入試を受けやすくなることです。オープン入試とは、内申書による合格が事前に決まっておらず、当日の学力試験の結果のみで合否が決まる入試制度ですが、事前相談型の内申基準に届かない私立高校や、そもそも事前相談型がない難関私立校を受験するためのものです。

書類選考のない私立の一般入試とオープン入試を受験すると、2月10日と2月11日または12日の2日間、受験会場に行って試験を受けなくてはいけなくなり、日程上大変タイトになってしまいますが、書類選考の高校を併願校としてひとつ抑えておくことで、実質1日の入試でオープン入試とのダブル受験が可能になるという仕組みです。

ちなみに昨年度湘南高校に合格したうちの塾生は、桐蔭学園の理数を書類選考で抑え、オープン入試で桐光学園のSAコースを受験するというスケジュールをとりました。公立トップ校を目指していて、難関私立オープンを考えている人は、積極的に書類選考を利用した方が無難です。

書類選考のデメリット

書類選考の最も大きなデメリットは、オープン入試を受験しない場合、一度も入試の雰囲気を体験することなく本命の公立入試を迎えることにあります。いくら事前相談型でほぼ合格が間違いなしの私立受験とはいえ、受験票などの持ち物を確認したり、入試独特の雰囲気の中で学力検査を受けることを体験することは、本番の公立入試の良い『予行練習』の場となります。予行練習なしでいきなりぶっつけ本番が不安だという人は、書類選考ではない私立を受験した方が良いかもしれません。

ただ、予行練習なしでいきなり本番の公立入試を迎えても、そこまで支障の出る人はいないでしょう。うちの塾生も毎年誰かは書類選考で私立併願を抑えていますが、私立受験を経験しなかったからと言って公立入試で失敗したという事例はゼロなので、過度な心配は必要ないと思われます。むしろ、書類選考が利用できるならどんどん利用した方が良いというのが私の意見です。

まとめ

おそらく今後もこうした書類選考型の入試を採用する私立が増えていくことでしょう。学力試験の実施や答案の採点、データ入力など受験にかかるコストや手間が省ける分、高校側にとってもメリットが大きいからです。ただし、書類選考型の高校やコースは、通常の一般入試を実施する場合よりも内申の基準点が高く設定されていることが多いので、十分に内申点を持っている受験生のみが書類選考の恩恵を受けることができます。内申点を十分に備えておくことが、本命の公立高校だけでなく、入試スケジュールの観点からも有利にはたらくことは間違いありません。

<私立併願校選択の際に参考にして欲しい過去記事>
神奈川県限定。意外と知らない併願私立高校の入試システムをズバッと解説。
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