昨今の不景気により、公立高校に不合格になった公立高校進学希望者が、経済的理由で定時制高校に不本意に入学するケースが増えているらしい。それを『不本意入学』と呼ぶそうだが、この不本意入学に対して、県教委は公立高校の定員を増やす方向を示しているのだそう。
全日制高校入学定員計画案:割り振り方式見直し実数に、公立4万2000人、私学1万3500人/神奈川より
不本意入学の解消効果を検証するため13年度のみの導入。私学側は、12年度に県内私立高校に進学した人数が公立中学校卒業者数に占めた割合19・5%を、13年の卒業予定者数6万8907人にかけて目標定員数を算出。公立側の目標として県教委は、13年の卒業予定者数の6割に、12年度に公立定時制高校に入学した県内公立中学校卒業者のうち経済的な理由で不本意に入学した741人分の枠を上乗せした。
神奈川県の公立高校の定員数は、中学校卒業者数の約60%になるように制定されている。これは、前知事の松沢さんが2009年に中学校卒業者数に対する公立:私立の割合が6:4になるように設定したことだ。神奈川県は私立高の数が多く、民業圧迫にならないように私立に配慮したことが、この6:4の政策の背景にあるという。これにより、神奈川県の公立高校の競争倍率は年々高くなる一方で、神奈川県の高校進学率は年々低下している。ちなみに2011年の県内高校進学率はここ10年で過去最低の88%で、全国平均の93.8%よりも5ポイント以上低い。この結果、全日制の公立高校に不合格になり、私立高校に行く経済的余裕がない子どもは、定時制高校や通信制高校に不本意入学するケースが増え、定時制高校や通信制高校の倍率は、逆に増加の一途をたどっているのだそう。
こういう事実に吠えまくっているのが日教組や共産党をはじめとする左翼団体というわけ。「15の春を泣かせるな」というビックリするような標語のもと、全日制高校進学を希望する子は全員進学できるように、公立高校定員を大幅に増やせと叫んでいる。←だったら入試なんか意味なくなるじゃんって突っ込みたくなるが。
で、ここからは私個人の意見。高校は義務教育ではない。義務教育ではないのだから、高校は「みんなが行かなくてはいけない場所ではない」ということを忘れてはいないだろうか。「みんなが行かなくてはいけない場所ではない」=「義務教育を越えて勉強するのに適している能力を持つ、選ばれたものだけが行ける場所である」ということ。だから、入試という競争で振い分けがあるのも当然。どこかの左翼団体が唱えるように、「進学希望者全員が進学できるように!」なんて論外。もしも私立に行く余裕がないのならば、安全な公立を目指せば良いだけのこと。学力さえ身に付けることができたなら、安全な公立はいくらでも見つかるだろう。
義務教育を越えて勉強しようという意志を持って高校受験に挑むんだから、適切な学力をしっかりと身に付けることが何よりも重要。それさえできれば、経済的余裕がなくても、安全な公立高校受験はいくらでもできる。「勉強はしたくないし、公立高校の底辺校に入る学力もない。だけれど高校に行きたい。」という子どもに対して、「よし。それなら高校の定員を増やそう。クリエイティブ校みたいに、無試験で入れる高校をバンバン作ろう。」というのは、果たして本当に適切なのだろうか。甚だ疑問である。
ちなみに、一生懸命受験勉強したにもかかわらず、万一公立高校に落ちたとして、私立に行く余裕がなくても、そこで人生絶望的というわけではない。全日制高校に進学しなくても、一生懸命勉強して大検を取れば大学に進学する道だって残されている。実際、私の知り合いには、諸事情で高校には進学しなかったが、大検を取って大学に進学し、今は立派に就職して起業の準備をしている青年もいる。結局、本人の勉強に対する気持ちが一番重要でしょう。