公立高校受験の面接で志望動機を聞くの、そろそろやめにしないか。

2012年8月27日

神奈川県の公立高校では、今年度の受験から全員に面接試験が課せられる。面接で絶対に聞かれるのが「志望動機」というヤツ。この志望動機、貴校の学校理念がどうたらとか、貴校の学校説明会に参加した時に先輩方がどうたらとか、文武両道がどうたらとか、何かそういうマニュアルでもあるのか?と問いたくなるほど、ほとんどの受験生が同じようなことを答える。

受験生たちは本当に志望動機に書いた動機の通りにその受験校を志望したのだろうか?正直に言うと、ほとんどの志望動機なんて『後付け』にしか過ぎないだろう。受験生の本音は、「昔から憧れていたから」とか、「家から近いから」とか、「自分の学力レベルに合ってる高校だから」とか、「この学校だったら自分でも合格するかなと思ったから」って理由なんじゃないの?

でも、そういう本音は面接ではやっぱり言いにくい。だから、学校説明会等にアクセクと通い、パンフレットに書かれている学校理念を穴が開くほど読んで、『体裁の良い』志望動機を考える。志望動機がみんな同じようなものになってしまうのはこういう理由だろう。

つまり、面接なんて「嘘つき大会」もいいところ。受験生は暗記してきた上っ面だけの志望動機を一生懸命唱え、それを面接官もうんうん頷きながらも、「本当はレベルで選んできたんだろ」って内心は思っている。このような茶番劇が入試の20%以上の点数を占めるのですよ。単位制高校や工業や商業などの専門学科のある高校ならまだしも、こんな茶番だけの面接なら、もう公立高校の面接で志望動機を聞くの、やめにしないか?

就職試験なら分かる。就職試験の面接だって「嘘つき大会」になるが、いくら嘘だと分かっていても、面接はその人のプレゼン能力やコミュニケーション能力を見る絶好の機会になる。仕事をするのにはこれらの能力が必要不可欠だから、就職試験で面接が重視されるのは理にかなっている。でも高校受験はどうよ?高校生になる人を選ぶのに、プレゼン能力やコミュニケーション能力って必要なのか。これを肯定してしまうと、極論を言えば、プレゼン能力やコミュニケーション能力がない人は高校生になるなって言っているのと同じ。高校は仕事をするところじゃなくて、勉強するところでしょ。人と話すのが下手な子は高校で勉強する資格がないのか?そんなわけないわな。

どうしても面接がやりたいなら、点数化する必要はない。百歩譲ってどうしても点数化したいのなら、入試の20%以上じゃなくて消費税と同じ5%くらいで十分なんじゃないか。面接が直接合否に関わるから、受験生は体裁の良い「嘘」しか言えなくなる。本当のことをしっかりと自分の言葉で語らせるのが、高校受験の面接の本来あるべき姿であり、それこそ健全な受験になるのに、嘘つき大会と化してしまう入試は不健全極まりない。

と言いながらも、うちの塾でも面接指導、ガンガンにやりますよ。私の本音はこのエントリーで書いた通りだが、いざ受験となれば手厚いほどの面接の指導をする。いくらやりたくない事でも、生徒がそれで受かるのならいくらでもやる。それがプロってもんでしょ。