小田原高校の入試基準変更・特色検査廃止の真意はここにあった。

今日の午前中は、全県模試が主催する高校入試研究会へと足を運んできました。うちの塾は全県模試と異なる模試を使用していますが、全県模試の高校入試研究会には出席するようにしています。

それにしても毎回思うことですが、全県模試の母体である伸学工房さんの説明会は、県内の他の模試会社の説明会と比べても群を抜いています。データの保持量だけでなく、その分析力やデータの扱い方や情報力は、他と比べ物になりません。

「個人塾や小さい塾は情報量が心配・・・」「やはり大手塾の方が情報をたくさん持っている」と思われがちですが、むしろ私なんて、大手塾に在籍していた頃よりも、独立してからの方が入試事情に詳しく、また多くの情報が手に入るようになりました。

大手塾と同等の、もしくはそれ以上のデータを把握している全県模試は、中小塾の強い味方!ありがとう、全県模試!!
…ということで、全県模試アゲをしておきました。ちなみに私は全県模試の回し者ではありません。忖度もありません。

ちなみに、塾に通っていない人も、積極的に全県模試を使うと良いと思いますよ。全県模試は帳票データが詳しく、そして最も親切です。志望校決定の良い判断材料になると思います。
https://www.shingaku-kobo.com/moshi/

さてさて、今回もお蔭様で色々な情報を仕入れることが出来たので、少しずつ小出しにしていきたいと思います。各高校の平均点や1次・2次のボーダーの点数はまた次回にまとめるとして、今日は小田原高校がらみの新たなネタを仕入れることができたので、そのことについて記事にします。

選考基準変更の本当の理由

さて、前回のブログで、小田原高校での塾対象説明会についての記事を書きました。説明会で実際に校長先生・進路指導の先生が話されていたことをそのまま要約した形で記事にしたのですが、さすが色々な高校に精通している伸学工房さんは、説明会で語られなかった「選考基準変更の本当の理由」についても、きちんと把握されていたようです。

前回のブログにも書きましたが、説明会で校長先生が、しきりにこのようにおっしゃっていました。

「基礎学力の備わっている生徒を、高校3年間でしっかりと伸ばすことが小田高の使命」
「徹底的にこれまでの受験データを調べ直すと、5教科の学力検査と特色検査に強い相関関係が見られた」
「中学生には、特色検査よりも5教科の方を優先的に勉強してもらいたい」
「小田高の5教科の合格者平均点は、他の旧学区トップ校と比べても低い。そこを伸ばしたい」

説明会で校長先生の話を聞いたとき、私はこれらの言葉の真意についてそこまで深く考えず、そのまま受け取っていたのですが、どうやら浅はかだったようです。

小田高が特色検査をやめ、基準を「3:5:2」から「4:4:2」と変更した本当の理由は、特色検査を廃止して気軽さを打ち出すことでも、倍率を上げることでもなく、

ズバリ、

「特色検査をやめて基準を4:4:2とした方が、1次選考のボーダーおよび2次選考での学力試験のボーダーが上がるから」

だったようです。

特色検査をやめると、5教科のボーダーが上がる理由

伸学工房さんのヒヤリングによると、小田高側は今回の基準変更をするにあたり、過去の入試のデータを徹底的に調べ直したそうです。もし、過去に行われた入試で、基準が3:5:2ではなく4:4:2だったら、さらには特色検査がなかったら、合格者層はどう変わったか。ボーダーの得点、入試の平均点はどう変わったのか。それをシュミレーションし直したとのこと。

そうすると、前途の通り、基準を4:4:2とし、特色の点数を加えなかった方が、実際の5教科の学力テストの点数でのボーダーラインが上がったそうです。

これは、よく考えてみれば当然の現象です。特色検査を実施すると、特色検査によって逆転現象が起こります。今春の入試でも、5教科合計358点の受検生が小田高に合格した一方で、380点の受検生が不合格となりました。

380点の受検生は、5教科でまずまず得点出来たにもかかわらず、特色検査が30点代と大きく点数を落としてしまったためです。358点の受検生は、特色検査で6割程度得点できたため、秦野高校の合格者平均よりも低い5教科の得点でも小田原高校に合格できてしまったという結果でした。

皮肉にも、特色検査を実施することにより、基礎学力が小田高の合格基準に満たしていない358点の生徒が入学できてしまうのです。

小田高の決断

特色検査で得点できる生徒が欲しいのか。5教科+内申点が高い生徒が欲しいのか。

小田高の決断は、後者の「5教科+内申点が高い生徒」の方をとろう。そして、小田高で3年間かけてしっかりと育てようというものでした。

それが、校長先生が説明会でおっしゃった、

「基礎学力の備わっている生徒を、高校3年間でしっかりと伸ばすことが小田高の使命」
「中学生には、特色検査よりも5教科の方を優先的に勉強してもらいたい」

の真意だったようです。

だから、小田高の3年間の授業で生徒をきちんと伸ばせるように、授業時間の変更や時間割の改革、校内補習の充実など、学校内の授業改革をどんどん進めているのですね。

H29年度小田原高校の入試データ

せっかくなので、H29年度小田原高校の入試データを紹介しておきます。他の高校に関してはまた後日まとめます。

H29年度合格者平均

※( )の数値はH28年度のもの

  • 内申点:125(126)
  • 入試:409(398)
  • 偏差値:65(65)※全県模試での偏差値
  • 特色検査:112.2/200(120.6)
  • 面接点:84.1/100(84.1)

H29年度ボーダーライン

全県模試調べ。特色検査は加味されず。
※( )の数値はH28年度のもの

  • 1次選考:649/800(636/800)
  • 2次選考最低値:368(345)
  • 最終倍率:1.13倍(1.16倍)

小田原高校の目論見通りにいくかどうかは分かりませんが、小田原高校志望者は、まずは十分な内申点を確保しましょう。小田高受検生は、3:5:2だった頃から内申点の平均が平塚江南よりも高く、厚木受検者とほぼ同じ値です。その上で、もしも来年の入試の難易度が今年と同じ程度ならば、5教科合計400以上はマストとなるでしょう。