H28年度柏陽高校特色検査研究と分析:個人的には今年の特色No.1は柏陽!全てがちょうどいい。

H28年度特色検査第4弾は柏陽高校です。神奈川県の果てにあるうちの塾から柏陽高校を志望する生徒はいませんが、H28年度は通信教育での特色検査対策受講生が複数名柏陽高校にチャレンジしました。

たとえ自塾の生徒に縁がない高校でも、全ての高校の特色検査問題を解き分析することは神奈川県内で営業する塾として当たり前のことだと思っています。受験生にも言えることですが、自分の志望校だけ、もしくは近隣の特色検査実施校数校だけの過去問を解いて満足していてはダメです。ブログでもよく言っていますが、入試には「トレンド」があります。通常の学力検査でも、特色検査でもです。そのトレンドを察知し、トレンドに慣れるためには、やはり自分の志望校ではなくとも、多くの高校の入試問題や特色検査を解いておくべきです。

さて、本題に入りましょう。

H28年度柏陽特色は大問2題のシンプルな構成に

H28年度の柏陽高校の特色検査は、例年と比べると出題傾向が大きく変化しました。特色検査が始まったH25年の柏陽は大問4題、H26とH27年度はどちらも大問5題からの構成だったのが、今年は大問2題とシンプルな構成に。

大問2題構成は厚木や昨年度までの平塚江南と同じですが、今年の柏陽の場合は、厚木などのように文系・理系ときれいに分ける分け方ではなく、「日本語での読解」「英語での読解」という分け方になっていました。問1は日本語、問2は英語で見開き2ページほどの分量の文章を読解し、その後の設問では様々な科目が入り交じった教科横断型の問題が次々と登場します。これまでの柏陽高校は、各大問ごとに「英語」「国語」「社会」など、何の教科の問なのかがわりとハッキリ分かれていて、教科横断色はほとんど感じられなかったので、今年はかなりの方向転換だと言えるでしょう。

問題構成が大幅に変化したので、戸惑った受検生は多かったとは思いますが、問題レベルは例年と比べるとやや簡単になり、解きやすくなったと思います。少なくともたとえば厚木高校や小田原高校のような、「どう頑張っても解けません」という難問はなく、与えられた本文や資料をよく読み、深く思考していくと、全ての問題が中学生にとって無理なく解けるレベルばかりでした。

これは極めて個人的な感想ですが、今年の柏陽の特色はそういう意味で非常に良問揃いだったと思います。各教科の基本的な知識、英語でも日本語でも文章を読み解く読解力、今まで培った知識をうまく利用できるかという思考力を、高いレベルだけれども無理なく求めてきたのが今回の柏陽の特色です。

問1:日本語読解がベースとなった、文系理系のオムニバス

さてそれぞれの大問を見ていきましょう。

最初の大問は、伊能忠敬について書かれた井上ひさしの小説「四千万歩の男」からの抜粋を読むことから始まります。扱われているのは小説ですが、その本質は伊能忠敬に対する説明文です。しかも使われている語句や内容を考えると、お世辞にも読みやすい文章とは言えません。これを正確に読んでいく必要があります。

問1の設問は全部で10問。そのうち、この小説文をしっかりと読めていないと解けない問題(要は国語の読解的要素の強い問題)は3問です。逆に言うと、残りの7問は小説文をしっかりと読めていなくても問題を解くことができます。この特徴は、平塚江南の特色にも見られるものです。しかし、平塚江南のような基本的な知識だけですぐに解けるような問題ではなく、柏陽の場合はきちんと思考させてきます。知識だけで解ける問題はほとんどありません。

しかし、先ほども述べたように、問題一つ一つは決して解けない問題ではありません。文章や与えられた資料をきちんと読み、今まで持っている知識と組み合わせて考えていけば、確実に解ける問題です。特に問1(オ)の旧暦の干支の問題は、高校の特色検査というよりは公立中高一貫校の適性検査のような性質で、公倍数を習ったことがあるなら小学生でも解ける良問です。個人的には、今年の柏陽の中で最も良くできた問題だと思います(←こういう小学生でも解けるような思考系の問題が個人的に好きです)。

H28年度柏陽特色 問1(オ)より
H28年度柏陽特色 問1(オ)より

問1の10問とも、受検生が受けるファーストインプレッションは決して易しいものではないと思います。しかし、一見難しそうに思える問題でも、丁寧に問題を読み解いていけば正解にたどり着けます。今年の柏陽の問1は、ある意味で問題を丁寧に読み解く文系能力が要求される問題でした。

問2:英語が得意な人なら楽勝の英語長文読解問題

一方問2は、英語長文読解の性質が強い問題で、英語が得意な受検生ならここは楽勝だったでしょう。ギターの仕組みについての題材で、そういう意味では理科よりの文章かもしれませんが、理科の知識がなくともしっかりと英語で説明されています。厚木の問1も英語長文読解ですが、柏陽の問2もそれに似ていると思います。

ちなみに問題とは全く関係ありませんが、挿絵が手書き感満載で良いですね。きっと美術の先生か絵が得意な先生がお書きになったのでしょう。なんだかほっこりしました。
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まとめ

理系に力を入れていることで有名な柏陽高校ですが、今回の特色検査を見る限り、全体的には文系よりの傾向が強い問題でした。毎回の特色検査分析の記事で書いているような気がしますが、やはり特色検査は文系に強い生徒がどの高校でも断然有利になります。

平均点は詳しく調査してみないと何とも言えませんが、7割や8割のような高得点が取れた生徒もいたのではないでしょうか。私の感覚では、例年の柏陽特色の平均点よりも今年は上昇したと思います。

私の個人的な意見では、今年の特色検査No.1は間違いなく柏陽高校と言えるくらい、良質で無理のない問題でした。来年度特色検査校を目指す受験生は、柏陽を入門編とすると良いと思います。