特色検査研究の記事を書き始めてから、このブログのアクセス数が綺麗に右肩下がりです。2月3月は1日に5000pv以上あった(特に2月は2万pv/日に届く日もあった)このブログも、4月は4000pvまで落ち込み、特にこの3日間は4000pvにも届かないところまできてしまいました。特色検査の分析記事なんて、超マニアックすぎて誰も読んでくれないのでしょうね。しかも解いたことのある人にしか分からない内容だし。でも、アクセス数の減少にも負けず、来年度の受験生のため、また自分自身の教務力アップのためにコツコツと続けていきますよ。
ということで、特色検査分析第3弾の今回は厚木高校です。
参考:昨年度の記事「厚木高校2015年度特色検査研究:分析と対策法をまとめてみた」
大問が2問→3問に:問題傾向や構成はほぼ例年通り
問題構成は昨年度の大問2題から今年度は大問3題に増えました。大問の増加により、全体的な設問数も昨年度11問から今年度は14問とやや増加しました。厚木高校の特色では、一昨年度が大問3題構成の設問数12問だったので、基本的な問題構成はそれほど変化があったとは感じません。また、前半は英語長文読解、後半は理系応用問題という出題傾向も例年通りでした。
厚木の特色は「量より質」!
小田原特色の24問、平塚江南特色の21問と比べると、厚木特色は14問と少なく感じますが、問題数が少ないからと言って決して時間に余裕があるわけではありません。むしろ、全ての問題をきちんと解こうとすると、小田原・平塚江南よりも時間が圧倒的に足りなくなってしまうでしょう。それくらい、厚木の特色は1問1問にかかる負荷が大きいのが特徴です。負荷が大きいということは、簡単に解けないということです。後で詳しく書きますが、特に理系応用問題では、思考力や計算力のどちらも非常に高いものが求められています。1つの問題を考え、答えを導き出す過程で相当な時間を要するものが少なくありません。
小田原や平塚江南が「量勝負」であれば、厚木は「質」で勝負してきています。時間内に解ける問題をどれだけスピーディーに解けるかではなく、どれだけ深く熟考し、正確に答えを導き出せるかが問われています。
問題Ⅰ:英語長文読解
それでは、それぞれの大問を見ていきましょう。問題Ⅰは英語の長文読解でした。読解量が多くまた注釈も多いので難易度は高めですが、馴染みやすい題材で会話文として書かれているので、そこまで読みにくいといった印象は受けないでしょう。難易度はやや難しめの都道府県公立入試(大阪府とか)〜中堅私立レベルだと思います。長文に対する設問もそれほど捻ったものもなく、長文がしっかりと読めていれば難なく解くことができます。厚木高校受験生レベルだと、これくらいの長文は簡単に読みこなせなければいけません。
昨年度も同じようなことを書きましたが、厚木特色の真の難しさは後半の理系問題にあります。そう考えると、前半の英語長文は、あまり時間をかけず、しかも全問正解に限りなく近づけることが厚木攻略のポイントです。ちなみに、この問題Ⅰだけで配点が50点。100点満点のちょうど半分にあたります。ここで50点満点を取ることができれば、かなり楽になるでしょう。
問題Ⅱ:NEWタイプの問題「理系の仮説と検証」
問題Ⅱはたった2問。どちらも35字以内で記述される論述です。実際にこの特色検査を受検した受検生にとっては、この問題は雲を掴むような感覚だったのでないかと推測できます。それくらい、問題の本質が捉えにくく、一体何を解答すればいいのか、そもそも何を聞かれているのかも見えづらい問題でした。
と言っても、文章だけではこの問題の本質が説明しづらいので、一度解いてみてください。問題を解くための知識は全く必要ないので、解こうと思えば小学生でも解ける問題です(そんな小学生はいないと思いますが)。
たった3行で書かれた<実験1>から、ヤツデの葉の成分の性質の特徴を推測しなければいけません。圧倒的に情報不足です。たった3行にまとめられた情報をもとに、自分で仮説を立て、その仮説が実験結果に合うように検証してようやく、解答を導くことができるのです。
ちなみにこの問の模範解答は、
問6:ある温度の時に黒色が現れ、さらに高い温度の時に黒色は出ない。
問7:一度黒色になる温度より高温になった成分は、黒色にはならない。
となります。正直、この解答を導き出せた受検生はどれだけいるのでしょう。正答率はともあれ、一つの事象に対して仮説→検証を繰り返すこと、これが理科の本質といえば本質です。厚木高校の問題Ⅱは、この本質と理想にあえて切り込んできた問題だったのでしょう(個人的には、もう少し情報を付け加え、受検生に解きやすくしても良かったような気がします。これではせっかくの問題も解いてもらえません)。
問題Ⅲ:理系応用問題「海面の上昇」
問題Ⅲは、厚木高校らしい理系応用問題です。南極の氷が解けることによる海面上昇をテーマにした問題でした。一昨年度(H26年度)の小田原高校の特色検査にも似たような問題が登場していましたが、それをもっと難しくしたバージョンです。ちなみにですが、特色検査では各校似たようなテーマが多く出題されます。H28年度の厚木とH26年度の小田原の「海面上昇」、他にもH28年度の小田原の「輸送距離と地産地消」は、H27年度の湘南でも出題されていました。
さて話を厚木特色に戻しましょう。この問題Ⅲは7問。冒頭でも述べたように、楽に解けるような問題はほとんどありません。思考力と正確な計算力が要求されるものばかりです。問題Ⅱと問題Ⅲと合わせて、厚木の理系問題で高得点を狙うのはいくら理系が得意な受検生でも至難の業でしょう。
まとめ
繰り返しますが、厚木の特色は最初の英語長文読解でどれだけ点数と時間を稼げるか、これにかかっています。いくら理系が得意な人でも、このレベルの理系問題を全て正解できる中学生はほとんどいないでしょう。しかし英語長文読解なら全問正解できます。ここで50点満点をきちんと稼ぎ、後半の理系は解けるところを確実に解く。これで70点はいけるでしょう。どんなに下手をしても、60点以上はとれます。
今現在入ってきている情報では、今年の厚木特色の平均点は半分に届くか届かないかのラインだと言われています。某有名大手塾でも、厚木の特色の最高点が60点代だとか。つまり、問Ⅱや問Ⅲのラストの方の難問が取れなくても、英語できちんと点数が取れていれば平均点は越えられます。
結局、特色はどこも「文系勝負」だということです。