台風12号が接近している中、午前9:00の時点では暴風警報が発令されていなかったので(結局10時頃に発令されましたが)、予定通り大人向け数学講座「中学数学を、もういちど。」をどうにか実施することができましたので、そのレポート記事を書こうと思います。
「中学数学を、もういちど」の開催予告記事はコチラ↓。
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授業内容と授業スタイル
台風が接近している中にも関わらず、13名の参加者の方々と2名の見学の先生方、計15名の方全員に予定通りお集まりいただきました。
今回お集まりいただいた13名の大人の方々の中には、事前アンケートから、数学が得意な方も超苦手な方も、様々なレベルの方がいらっしゃいました。ただ、今回の受講目的はというと、ほとんどの方が「慧真館の授業を体験してみたいから」という目的で一致していました。
このことから、授業内容を当初予定していた「数と文字式」の2単元を取りやめ、超苦手な方でも無理なく理解できるように「正負の数」の1単元のみとしました。そして授業形式は、普段の中学生の授業スタイルそのまま(ただし、大人の方のプライドに傷がつかないよう超配慮)の授業をしながら、どんなところで実際に生徒がつまずくのかのポイント、そのつまずきのポイントをどう対処しているのか、どのように気をつけながら授業を組み立てているのかの解説を挟むというスタイルで、うちの授業の様子が体験できるような工夫をしてみました。
ウォーミングアップで伝えたかった数学を勉強する理由
まず最初にウォーミングアップとして、今春の2018年度入試で実際に出題された入試問題を解いてもらうことからスタートしました。扱ったのは2018年岩手県数学の問13。高校の入試問題でありながら、必要な数学技能は2桁のたし算のみで解けるという問題です。ただし、やはりそこは高校入試問題。それなりの思考力が問われる良問です。
参加者の皆様はこのウォーミングアップの入試問題と、久しぶりの電卓に頼らない計算に四苦八苦しながらも、まるでクイズを解くような感覚で、楽しみながら、でも真剣に取り組まれていました。
この問題を最初に扱うことで私が皆様に伝えたかったのは、数学を学ぶ意義です。
この問題を解くのに必要なのは、論理的思考力、ただそれだけです。そして、数学を学ぶことの大きな目的は、この論理的思考力を身につけることです。関数や因数分解を日常で利用することではありません。
論理的思考力とは「筋道を立てて物事を考える力」のことです。数学を勉強することで、人は、筋道を立てて物事を考える方法と、それを人に説明する方法を学んでいるのです。そしてこの論理的思考力は、普段の仕事や日常生活の場面で大いに役に立ちます。物事を論理的に考えられるようになると、世の中を見る視点さえも変わってきます。だから大人の方にも積極的に数学を学んでいただきたいのです。数学を学び続けていくと、思考法だけでなく、物事の伝え方や受け取り方も確実に変わっていきます。
あと、もう一つ。数学は何より楽しいものです。頭を使ってあれこれと思考し、計算した結果、答えがピタッと合った瞬間の、あのなんとも形容し難い達成感と爽快感!これは他の科目では決して味わえない、数学特有の楽しさです。数学はまさに、楽しみながら論理的思考力を養うことができる最強のツールなのです。
大人への「正負の数」の授業
ウォーミングアップに30分かけ、いよいよ本題「正負の数」の講座がスタートです。負の数が登場する場面から、一つ一つ、実際に例題を解いてもらいながら復習していきました。
さすが大人の方だけあって、皆様熱心に、積極的に取り組まれていて、授業をしているこちらの方がとても楽しくなりました。楽しくなりすぎて、ついつい話が脱線したり、塾で実際に生徒に教える際のエピソードを話してしまったりと、予定していたように授業が進みません。終わってみれば、「正負の数」の四則計算まで扱う予定が、なんと「加減混合」だけで1時間30分の授業時間が終わってしまい、結局最後に予定していた10問テストもできず…。このタイムコントロールのなさ!!すみません、反省しています。
ただ、授業をしている側の私が言うのも変ですが、本当にとても楽しかったです。子どもに教えるのと違って大人の方に授業をすることの楽しさや難しさを感じた有意義な会でした。
参加者の皆様の感想
最後に、参加者の皆様に書いていただいたアンケートから、ご意見やご感想を一部紹介いたします。
大変興味深く数学を学べる授業でした。授業のレベルどうこうより、「授業を受け、問題を解き、しかも当てられる」という状況に心臓がバクバクでした。ウォーミングアップの途中で頭が一度真っ白になりました。子供達は1日に何時間も授業を受け、部活をやり、塾に通い…本当に大変だと思います。自分の子供を岸本先生にお任せできる環境になく、非常に残念ですが、今日の授業の話をお土産にしたいと思います。
なるほど!!そういうことなのかという感覚を久しぶりに味わいました。とても懐かしい感覚です。計算ミスをする息子に対して怒っていたことに大反省です。
先生の熱さが伝わりました。子供が体験できる塾はありますが、このように親が体験できるのはとてもいいと思います。
本日は緊張感あふれる授業を体験させて頂きありがとうございました。何十年ぶりかの数学、しかも塾は初体験ということで、ドキドキしました。こうしたピリッとした空気の中で、日々学べることができて、生徒さんたちはとても幸運だと思います。テスト、点数のしがらみのない年になり、数学を楽しめるきっかけとなりました。
大人の感じ方と子供の感じ方が多少なりともわかったような気がします。子供は教わったことを繰り返してなれることが必要であること、子供は理論から入ると難しいことを改めて感じました。
とても楽しく、わかりやすかったです。ウォーミングアップの問題は、クイズのようで、自分で答えまでたどり着きたかったですが、計算の遅さを感じました。こういった問題で、入試で思考力を問われるのだということが実感できました。大人だから楽しく学べる、というのもよくわかります。子どもに、押しつけにならずに、根気強く取り組んでもらうのは難しいだろうとも思うので、我が子の勉強のヒントに、帰って何か伝えられたら良いなと思います。
相手に理解させる為の話し方、時間を感じさせない進行、理解することの楽しさを学ぶことが多く、とても参考になりました。貴重なお時間ありがとうございました。
普段どのような雰囲気で授業が進んでいっているかがわかり、参加してよかったです。勉強はかなり久々でしたが、楽しいですね!
まとめ
初めての開催で、しかも台風直撃にぶちあたってしまい、参加者の皆様には色々とご迷惑をおかけしたことかと思います。それでも、こちらに協力的に参加していただき、ありがとうございました。
今日改めて感じたことを最後に。
やっぱり大人が学ぶ姿はとても素敵だなと感じました。皆さん、子どもに負けないくらいのキラキラとした顔で授業を一生懸命聞いていらっしゃる姿がとても印象的でした。
大人が楽しみながら一生懸命勉強に向き合っている姿は、子供への「勉強しなさい」の一言の何倍、いや何十倍もの説得力と影響力があると思っています。これからも、このような大人向けの講座を企画していきます。参加者の皆様からの要望が多かったのは、中学英文法やり直し講座と大人の読書会です。また、「中学数学を、もういちど」もどうせなら中学数学の全ての内容をやり終え、入試問題を解けるようになるレベルまで続けたいと思います。
地域の学習塾が、子どもの勉強の場としての機能だけではなく、将来的に生涯学習の場、地域の教育のハブとして機能する場になっていけば、日本の教育がもっとより良くなり、また塾の可能性もますます広がるのではないか、というのが私の大きな野望と夢です。