来年度指定されるはずだった進学重点校に、湘南と翠嵐の2校が先行して決定されたようです。
参照:http://www.kanaloco.jp/article/280836
カナロコによると、現時点でエントリーしている県立高校17校から、本来なら来年度に10校程度を指定する予定だったのが、そうすると2020年度から導入される大学入学共通テストに初めて挑む現中3生が入試を受ける来春には進学重点校が決まらないため、とりあえず湘南と翠嵐の2校を先に指定しておこうということです。
ちなみに、現時点で進学重点校にエントリーしている高校は次の通り。
湘南(確定)/横浜翠嵐(確定)/川和/多摩/柏陽/光陵/横浜平沼/希望ヶ丘/横浜緑ヶ丘/横須賀/鎌倉/茅ヶ崎北陵/平塚江南/小田原/厚木/相模原
進学重点校であることのメリットは?
進学重点校に指定されると、授業力や進路指導に優れた教員が優先的に配置されるそうです。ちなみに、以前県教委のなかの人に話を聞きに行ったときの記事でも書きましたが、以前の進学重点校の制度はというと、指定されたからと言って年に数万円の予算が充てられるだけのただの「看板」にすぎませんでした。
東京都・千葉県・埼玉県でも神奈川と似たような進学重点校の制度を取り入れていますが、ちょっと調べてみると、3都県とも進学重点校であることのメリットは人事関係にあるようです。例えば千葉県では、進学重点校に指定された高校に与えられたほぼ唯一の特権は、公募により指導力のある優れた教員を異動で転入させることができるということです。進学重点校指定制度としての一定の成果をあげている東京都についても、予算的な部分もいくらかはあるものの、公募による教員の人事による効果が最も大きかったとのこと。
カナロコの記事を読むと、予算云々ではなく、やはり人事的なことのみが書かれています。つまり、神奈川も、東京都や千葉県などにならって、進学重点校に人事の特権を与えることによって成果を上げようとしているのではないかと推測されます。
そうなると、県内公立高校に点在している指導力に定評のある先生は、当然横浜翠嵐や湘南などに引き抜かれることになり、横浜翠嵐や湘南などの教育水準レベルはますます上がることになるでしょうね。指導力に定評のある公立高校の先生なんて、残念ながらそんなに多くはいないので、その先生は取り合いになることでしょう。そうすると、残り15のエントリー校の中で、進学重点校に指定されなかった高校は死活問題になります。進学校でありながら、力量のある先生が回ってこないのですから。
進学重点校だからと言って過度な期待は禁物
当然ですが、進学重点校に入学したからと言って過度に学校に期待するのは禁物です。東京都の場合でも、進学重点校で成果を上げているのは日比谷高校くらいで、後は重点校に制定される前と後でそんなに違いはありません。また、進学重点校に入ったら100%学校を頼っていいのかというとそうではなく、実際はやはり予備校や塾の力は必要です(もちろん学校側は「塾に行く必要はない」と言いますが、実際塾無しでどれだけの生徒が難関大に合格しているのかは教えてくれません)。
神奈川の場合も同じでしょう。来年度、湘南・翠嵐の他にどの高校が進学重点校に指定されるかはわかりませんが、指定されたからといって劇的に進学実績が上がるワケでも、予備校や塾に行かなくても安心というワケでもありません。難関大を目指すことのできる環境にあるかないかの一つの目安にはなると思いますが。
もう少し、県教委の動きをウォッチしていきます。