卒塾生や保護者の方から、「慧真館に高校生の部があればいいのに」という意見をよくいただく。また、同じ塾業界からも、「うちの映像授業の教材を使って高等部を開設しませんか。そうすれば売り上げも増えますよ。」という声もよくかかる。卒塾生や保護者の方に、高校生になってもうちの塾に通いたいと言っていただけるのは非常に嬉しいことなのだが、私がこの塾で高等部を作るつもりはない。今回はその理由を書いてみたい。
自分の塾に生徒を縛り続けたくないから
私が高等部を作るつもりが毛頭ない理由の一番がコレ。もしも高等部を開設すると、生徒は大学受験まで通うことになる。うちの塾は小4生から塾生を募集しているので、もし小4で入塾した後に高3まで通うとなると9年もの年月をうちの塾で過ごすことになってしまう。言い方は悪いがこんな片田舎の小さな塾から一歩も出ることなく、多感な10代の時期に9年も同じ先生から指導を受けてしまうと、非常に狭い視野や世界観しか持てない人間になってしまう怖れがある。
10代のうちは、いろんな種類の指導者と出会い、それぞれの指導者からいろんな勉強法や考え方・ものの見方を学んで欲しい。数多くの良質な指導者との出会いが、子どもを大きく成長させるとともに、子どもの世界がどんどん広がることにつながるように思う。
生徒の塾への依存を断ち切りたいから
最初の理由とつながるところがあるが、同じ塾に通い続けるということは、それだけ塾への依存心を高めてしまう危険性がある。私は自分の塾生から、「この塾がないと勉強できない」という言葉を一切聞きたくはない。そのために、うちの塾では勉強計画の立て方から正しい勉強の仕方、定期テスト時の勉強方法、受験勉強の戦略の考え方などを徹底的に叩き込み、自律して勉強できる子になれるよう指導をしている。
高校受験を無事に乗り越えた後は、いつまでも塾におんぶに抱っこしてもらおうというのではなく、主体性をもって勉強をして欲しい。それでも勉強に困ったときは、学校の近くの予備校を探すも良し、通信教育を始めてみるのも良し。また、最近は少しネットで検索すれば、塾や予備校に通わなくとも無料で勉強を学べる良質なサイトがいくつも存在する。(例えばmanaveeやWEB玉塾など)こういうものも活用するのも良し。これらの何をどのように活用するかということも、自分の頭で考え自分から行動して欲しい。
無責任なことはしたくないから
冒頭にも書いたが、同じ塾の業界から「映像授業を導入してくれたら、生徒は我々が作った映像の授業を見るだけですから、先生は一切指導しなくてもいいんです」という謳い文句で高校部の開設のお誘い営業が頻繁にかかる。映像授業の導入には賛否両論あると思うが、私は自分が一切品質をチェックしていない映像授業を生徒に見せるだけの名ばかりの指導でお金をいただくほど無責任ではない。もしも映像授業を入れるのなら、全ての授業の品質を自分でチェックして、納得できるものを塾生に提供したいが、高校受験の指導で手がいっぱいでそんな余裕もない。
もちろん塾といってもボランティアではないので利益を追うのが当然だが、だからと言って利益確保を優先させる金儲け主義の塾に成り下がり、無責任なことをして売り上げを伸ばすようなことはしたくはない。
以上3つの理由から、慧真館は高校受験に特化していて、中学受験や大学受験をやるつもりは今のところありません。「今のところ」と書いたのは、もしも他に優秀な先生が確保できて、納得出来る授業の品質が提供できるような状態になれば話は別だが、「今のところ」そんな予定もありません。
うちの塾の卒塾生は、この厳しい塾で高校受験を乗り越えたというプライドと自信を持ち、この塾で身につけた学習法をしっかりと実践しながら高校での勉強を頑張ってください。高校部はないといっても、もちろん塾の自習室は未来永劫無料で使えるので、家で勉強をしにくい自習室LOVE派の人はいつでもご利用くださいな。