神奈川の公立入試を、得点分布から分析してみた。(第1回「英語編」)

神奈川の公立入試を、得点分布から分析してみた。(第1回「英語編」)

2014年4月18日
入試情報

神奈川県の公立入試が新体制になって2年目。初年度は英語と社会で難しくなり、2年目の今年は理科と数学で難しなったと言われている。難しくなったと一言で言っても、果たしてどのくらい難しくなったのか。今回は旧入試制度最後の年であった2012年から今年度2014年度入試の3年間の得点分布から分析してみようと思う。

全教科を一度に書くと長くなるので、全6回にかけて書いていくことにする。ということで、今回は英語編。

2013年に難しくなった英語

data_englishこれが英語の3年間の得点分布グラフ。神奈川県教育委員会のwebサイトで公開されているものを、見やすくまとめてみた。横軸が表しているのは得点。0点から100点までを、10点ずつに区切って(階級の幅というもの。←中1数学で習います)表している。縦軸は割合。例えば100点を取った人の割合が、全体の何%かということがこのグラフから分かるということだ。

英語は2013年度、つまり新入試制度1年目に波乱が起きた。これまでの入試制度の元では、英語は5教科の中でも一番点数が取りやすい、言ってみれば簡単な科目だった。黄緑色のグラフが2012年度のものだが、最も割合が高い(最頻値という)のが80点台で、その次がなんと90点台。従来の入試制度は50点満点だったのだが、全受検者数の約38.5%が40点以上(8割以上)を取っていた。

それが2013年度の新入試制度になると一気に得点の分布が変わることになる。2013年度の赤のグラフを見てほしい。2013年度では、最も割合が高い階級がなんと30点台となった。繰り返すが、2012年度の最頻値は80点台だ。最頻値だけで見れば、一気に50点近くも下がっている。さらに、2012年度は40%近くいた8割越えも、新しい入試制度では16%まで落ち込んだ。

では今年の入試はどうだったのか。2014年度が青のグラフだが、2013年度よりも分布の山がわずかだが右よりに推移していることがお分かりいただけるだろうか。つまり、新入試制度1年目よりも2年目である今年の方が、点数が取れているということだ。2013年度に16%まで落ち込んだ8割越えも、2014年度は約25%まで巻き返した。

2013年度に点数が落ち込んだ要因

新入試制度初年度に、なぜ点数がここまで落ち込んだか。これには次の2つのことが考えられる。

1.入試の傾向が変わったことの動揺

2.英文読解量の増加

新入試制度に移行される前、県の教育委員会から「出題例」なるものが一応発表されていたものの、やはりその全貌はベールに包まれていたままだった。何が出るか、どんな形式になるか、何が起こるか誰も何も分からないまま始まった2013年度の公立入試の1時間目の科目が、そう、英語だった。

初っ端のリスニングから最初のサプライズ。英語のスピーチを聞い て、35字以上50字以内の日本語に要約させる問題が出題された。さらに、並べ替えの問題で、従来の5語から4語を選んで並べ替える形式から、6語から5 語を選んで並べ替える形式に変更され、ここで2回目のサプライズ。さらに問題を解き進めていくと、問5の条件作文が、県発表の出題例とは大きく異なる形式 だったことに、3回目のサプライズ。ここまでサプライズが続くと、多くの受験生が完全ノックアウトでヘロヘロな状態で、頭が正常に動いていなかっただろう。新入試制度初年度の英語は、傾向の変化に慣れていない神奈川県の受験生の精神面をユッサユサと揺さぶった。その結果、多くの受験生が英語で失敗してしまったということだ。

そして2つめは英文読解量の増加。難しくなったといっても、神奈川県の公立入試問題の英語の難易度は、全国的に見ても中の中。ただし、問題数や長文の量がやたらと多いのが神奈川の特徴だ。特に新入試制度になった2013年度から、長文読解問題が1題から2題に増え、さらに英文読解量が増えた。それ以外の文法問題や作文問題は、正直あまり難しくない。読解量の増加こそが、「英語が難しくなった」ことの正体なのだ。

2014年度で点数が盛り返してきた理由

上記でも述べたが、2年目となる今年は昨年度よりも受検者の点数が全体的に上昇した。しかし、決して入試が易しくなったわけではない。相変わらず英文を読ませる量は、全国でも最多レベルだ。では、なぜ点数が盛り返したか。
一言で言うと、「受検生が十分に対策してきたから」。これに尽きる。今年の受検生は、昨年度の傾向の変化を受けて、読解問題を強化してきたり、リスニングの要約などの練習を積んできただろう。さらに付け加えると、2年目となる今年も昨年度と傾向が変わらなかったので、精神的にも落ち着いて問題に取り組むことができた。これらの理由により、問題レベルに大きな変化はないが、今年の英語の点数が上昇したと考えられる。

つまり、入試が難しくなると、受検生はそれに対応しようとレベルを上げた勉強してくるので、結果的に受検生全体のレベルが上がる。私は、これこそが県の入試改革の本当の狙いだと思っている。

入試英語の対策法

最後に、これから受験を迎える受験生に、神奈川県入試英語の対策法を書いてみたいと思う。神奈川の英語の鍵は、何といっても「英文読解」にある。英文をいかに速く正確に読むことができるかが問われるということだ。英文を速く正確に読むためにまず必要なのは、何といっても語彙力。コツコツと単語やイディオムを正確に覚え、注釈に頼らなくても済む語彙力を身に付けていくことが必要不可欠だ。
語彙力と平行して、長文を前から読んでいくスラッシュリーディングの読解法を学習すると良い。スラッシュリーディングを習得すると、長文読解のスピードが格段に速くなる。幸いにして、神奈川の英語は読解量は多いものの、文章の内容は他の都道府県と比べても読みやすいものが多い。まずは簡単な文章からでかまわないので、スラッシュリーディングを用いて英文を読む癖をつけていこう。
トップ校狙いなら、中3の秋頃から全国の公立入試問題を解いていこう。神奈川県の過去問ばかりを解いてはいけない。神奈川の過去問ばかりに頼ると、次にいつ変更されるかも分からない傾向の変化に対応できなくなる。全国の公立入試問題を解くことで、色々なタイプの傾向の問題に触れることができ、どんな問題にも対応できる実力がつくだろう。

以上が英語のまとめでした。次は今年ちょっとした騒動を巻き起こした数学について。近いうちに公開予定です。乞うご期待!