神奈川と大阪で、大手塾同士の合格者数に関する争いがなにやら泥沼化しているようだ。
大阪府立トップ校の合格実績めぐり…大手塾2社が「にらみ合い」
神奈川バージョンの記事を抜粋してみよう。
ステップが湘南ゼミナールが公表している合格者実績に疑念がある旨をHPに掲載した事だった。ステップの主張によると、湘南ゼミナール中川教室が当初合格者を翠嵐2名、川和2名と発表していたにもかかわらず、後日翠嵐7名、川和10名に増えていたのだ。
湘南ゼミナール中川教室に問い合わせたところ、中川教室は「在籍生以外の合格者も実績に含めた」と回答したと言う。在籍生以外とは、特別講座などの生徒や、他教室の生徒を指すようだ。しかしこの回答はあくまでステップ側の主張である。その後ステップは電話で正しい合格者実績を掲示するよう再三申し入れたが、受け入れられなかったとしている。
湘南ゼミナールは、全国学習塾協会が定める生徒基準が「集中講義などの受講時間数が50時間を超える場合」である事から、不正に当たらないと主張している。さらに、ステップが中傷文掲載やビラ配りをした結果新規入塾者が減ったとして、3日、横浜地裁に7000万円の損害賠償と謝罪文の掲載を求めて提訴した。
両社とも争う姿勢を見せており、学習塾同士の戦いが法廷で繰り広げられる事になりそうだ。現在のところ和解の道は難しそうである。
・・・・・・・・・暇か?
わざわざライバル塾の合格者数を気にしたり、誹謗中傷のビラをまいたり、裁判したり、よっぽど暇だとしか思えないんですが。
合格者の水増しなんて、別に今に始まったことじゃない。各予備校が発表する東大合格者の数を合計すると、東大の入学者定員を上回るなんていうのは昔からある有名な話だ。もちろんザラにあることだからと言って、合格者数を偽ることは消費者をだますという行為であり決して許されることではない。
でも、だましたわけじゃないんでしょ?「特別講習しか受けていない生徒もカウントしました」ということでしょ?
正規の塾生のみの合格者数だけ公表している塾にとってみれば面白くない話だとは思うが、他塾のことは放っておけばいいじゃんと思うのは私だけでしょうか。
だって、この不毛な裁判に勝ってライバル塾を陥れることができたとしても、それで自分の塾の価値が上がるわけではない。だったら、そんなアホみたいな争いに熱を上げていないで、自分の塾の生徒をしっかりと教えた方が、自塾の実績も価値も上がるだろうに。
だいたい、塾と塾が合格者数を巡り互いに批判し合っている姿を見て、保護者や子どもがどう思うだろうか。塾と言えど、子どもの前に立ち、子どもたちから「先生」と呼ばれている以上、教育者であることには変わりはないはずだ。ライバルを蹴落として喜ぶのではなく、ライバルの存在を認め互いに高め合う姿を見せることが教育なのではないか。
何を隠そう、私もかつてはこの不毛な戦いをしている神奈川のどちらかの大手塾に在籍していたけれども、トップ校の合格者数ばかりを追い求める社風に嫌気がさして、大手塾を辞めて独立した経緯がある。それぞれの塾の考え方があるので、トップ校合格者数を追い求めること自体は悪いことだとは思わない。しかし塾に通っている全ての生徒が希望する高校に合格できることの方が、私には余程重要なことに思える。
慧真館もトップ校をはじめとする公立上位校を目指す塾だ。今年の卒塾生の2人に1人が県内の特色検査を実施している公立トップ校に合格している。しかし、私が生徒を指導する上で最も大切にしているのは、決してトップ校の合格者数を増やすことではない。トップ校であろうとなかろうと、塾生全員が希望する高校に合格できる力をつけてやることだ。2人に1人がトップ校合格!よりも、第一志望校合格率4年連続100%!の方がうちの塾の誇りなのだ。
大手塾の合格者数、主催者発表のデモの参加者数、マスコミが調査する内閣支持率、宗教の信仰者数などなど。
何かと信用できないものがありすぎて困るこの世の中だが、自分の塾だけは信用してもらえる数字を正々堂々と出していこうと思うのであります。