既に願書提出期間の2日目からツイッターなどで各高校の倍率が出回っていましたが、本日県教委から正式な倍率が発表されました。
リンク先:http://www.pref.kanagawa.jp/prs/p997070.html
全日制普通科 / 普通科専門コース / 単位制普通科・総合学科
1回目の倍率を受けて、志願変更をするかしないかの最終決定をしなければいけない人もいると思いますが(うちの塾でも志願変更の可能性がある生徒が1人います・・・)、今回の倍率から分かることと、去年の志願変更の状況をまとめてみたいと思います。
H28年度近隣上位校倍率(2月1日時点)
まずは、うちの塾生が受験する高校及び参考として近隣上位高をピックアップして、前年度の志願変更前・志願変更後の倍率と比較してみましょう。
高校名 | H28年度(2月1日時点) | H27志願変更前倍率 | H27志願変更後倍率 | ||
定員 | 志願者数 | 倍率 | |||
湘南 | 357 | 615 | 1.72 | 1.96 | 1.85 |
厚木 | 358 | 477 | 1.33 | 1.34 | 1.28 |
小田原 | 318 | 362 | 1.14 | 1.42 | 1.34 |
平塚江南 | 318 | 409 | 1.29 | 1.21 | 1.24 |
秦野 | 358 | 474 | 1.32 | 1.16 | 1.20 |
海老名 | 398 | 572 | 1.44 | 1.12 | 1.17 |
大磯 | 278 | 304 | 1.09 | 1.14 | 1.17 |
西湘(一般) | 278 | 379 | 1.36 | 1.00 | 1.03 |
西湘(理数) | 39 | 50 | 1.28 | 0.95 | 1.03 |
去年と比べると、小田原の倍率が低くなった一方で、西湘の倍率が高くなっています。受験倍率は「隔年現象」が起こりやすいので、小田原の倍率の低さと西湘の高さは想定内です。想定内なのですが、小田原の倍率の低さはやや想定外です。暫定倍率の時点では、倍率1.40に相当する希望者がいたのですが、それよりも80人くらい減っています。
平塚江南は今のところ前年と比べるとやや増程度ですが、新しい入試制度が始まってからの4年間で考えると、今年の倍率が一番高くなっています。平塚江南は、トップ校の中でも比較的倍率が緩やかな穴場的トップ校だったのですが、他のトップ校よりも面倒見がよく、また特色検査も比較的対策しやすい内容なので、ここ最近じわりじわりと人気が増してきつつあるような感じがしています。
倍率が高くなったと言えば、海老名の倍率も前年度よりも高くなりました。
もともと海老名は人気校で、前年度のような低倍率の方が異常と言えば異常なのですが、それにしても今年は例年にも増して高いですね。やはりアレでしょうか。ららぽーとやツタヤ図書館の影響でしょうか。
秦野高校も隔年現象が起こっています。2年前の最終倍率が1.29倍だったので、今年もそれくらいに落ち着くのではと見込んでいます。
1.5倍を越える激戦校が劇的に増加!
神奈川の公立高校では、倍率が1.5倍以上になると「激戦校」と言ってもよいでしょう。1.5倍を超えると、合格率が66.6%以下になります。神奈川県公立高校全体の合格率が85%程度なので、かなりの激戦校ということになります。
2月1日時点での激戦校をまとめてみます。(定員が少ない専門コースは除きます)
横浜翠嵐(2.20倍)、大和(1.73倍)、希望ヶ丘(1.73倍)、湘南(1.72倍)、多摩(1.68倍)、神奈川総合個性化(1.64倍)、深沢(1.61倍)、横浜サイエンスフロンティア(1.59倍)、市立桜丘(1.59倍)、川和(1.58倍)、市立金沢(1.57倍)、柏陽(1.55倍)、市立東(1.55倍)、横須賀(1.54倍)、横浜緑ヶ丘(1.54倍)、港北(1.54倍)、市ケ尾(1.54倍)、茅ヶ崎(1.54倍)、横須賀総合(1.53倍)、元石川(1.53倍)、川崎市立橘(1.52倍)、みなと総合(1.51倍)、藤沢総合(1.51倍)、新城(1.50倍)
横浜市内および川崎市内の旧学区トップ校で激戦になるのは例年通りなのですが、今年は元石川・茅ヶ崎・港北などの中堅レベルの高校や藤沢総合などの総合科でも、今のところ1.5倍を越える激戦となっています。これは最近では見られなかった異例の事態です。
もちろん、これらの高校は志願変更で倍率を落としてくることは予想されますが、それでも旧学区トップ校以外にも1.5倍を越える激戦校が続々と登場するようになってきたということです。
「公立=倍率が低い」イメージは、どのレベル層でもそろそろ通用しない時代になってきたと言えるでしょう。
前年度の倍率を大きく上回った高校
次は、前年度の倍率を大きく上回った高校です。倍率が高くなると基本的に合格ラインは上がるので、前年度に合格した受検生の点数(偏差値)でも今年度は不合格になる可能性が高くなるので注意が必要です。
参考:倍率が高くなると入試が難しくなるのはなぜかを説明してみる。
ここでは、前年度より0.3ポイント以上倍率が高くなっている高校をピックアップしてみます。0.3ポイント以上も高くなれば、合格ラインはかなり上がってくることが予想できます。
市立川崎(0.73倍→1.39倍)、希望ヶ丘(1.13倍→1.73倍)、深沢(1.15倍→1.61倍)、港北(1.11倍→1.54倍)、厚木清南(1.05倍→1.45倍)、横浜南陵(1.10倍→1.49倍)、市立高津(0.99倍→1.38倍)、西湘(1.00倍→1.36倍)、磯子(0.90倍→1.24倍)、橋本(1.06倍→1.38倍)、海老名(1.12倍→1.44倍)、横須賀総合(1.21倍→1.53倍)、住吉(1.14倍→1.44倍)
前年比0.3ポイント増の高校も去年よりもだいぶ増えた印象です。
H27年度の志願変更の動き
そこで気になるのが志願変更の動きです。今年は2月4日から志願変更の受付が始まりますが、昨年度は全日制で計2762名(全体の5.3%)が志願変更をしました。昨年度の志願変更の人数をそれぞれ多い順にまとめてみます(専門コースは除外しています)。
志願変更で志願者が減少した高校10校
高校名 | 志願変更前倍率 | 志願変更人数 | 志願変更後倍率 |
大和 | 1.80 | ー81人 | 1.51 |
横浜緑ヶ丘 | 1.94 | ー71人 | 1.72 |
市立金沢 | 1.64 | ー59人 | 1.45 |
湘南 | 1.96 | ー40人 | 1.85 |
岸根 | 1.46 | ー40人 | 1.33 |
横浜翠嵐 | 2.09 | ー30人 | 2.01 |
小田原 | 1.42 | ー27人 | 1.34 |
横浜国際 | 1.90 | ー26人 | 1.75 |
川和 | 1.90 | ー26人 | 1.82 |
麻溝台 | 1.38 | ー25人 | 1.31 |
高倍率の高校ほど志願変更で人数を減らすので、必然的に倍率1.5倍を越えるようなトップ校中心となっています。しかし中には、倍率1.5倍越えの激戦校ではないものの、前年度に比べて急激に倍率が上がってしまった高校も志願変更で人数を減らしています。昨年度でいうと、岸根の40人減や小田原の27人減などです。
毎年のように激戦となる高校は、高倍率となることは想定内なので、以外にも志願者が減りません。例えば昨年度でいうと、志願変更前の倍率が1.75倍だった多摩では、たった8人減にとどまっています。1.70倍だった光陵でも15人減です。横浜翠嵐・湘南も、志願者減の数だけ見れば多いかなとは思いますが、志願者数全体や倍率から考えると、そこまで人数を減らしていません。
よって、志願変更によって志願者数が大きく減少するのは、前年度に比べて急激に競争倍率が上がってしまった高校が中心で、トップ校では高倍率でもそれほど減少しないといえるでしょう。
志願変更で志願者が増加した高校10校
高校名 | 志願変更前倍率 | 志願変更人数 | 志願変更後倍率 |
追浜 | 1.03 | +49人 | 1.20 |
横浜立野 | 0.87 | +45人 | 1.04 |
瀬谷西 | 0.90 | +41人 | 1.01 |
寒川 | 0.93 | +40人 | 1.04 |
希望ヶ丘 | 1.13 | +37人 | 1.24 |
霧が丘 | 0.93 | +33人 | 1.01 |
港北 | 1.11 | +29人 | 1.20 |
川崎市立川崎 | 0.73 | +29人 | 0.91 |
荏田 | 1.07 | +29人 | 1.15 |
七里ガ浜 | 1.11 | +27人 | 1.18 |
今度は逆に、志願変更後に志願者を増やした高校です。これは当然のことながら、定員割れをした高校が中心です。しかし中には、例えば追浜や希望ヶ丘など、偏差値のわりには倍率が低い「お得感満載」の高校も志願者を増やす結果となりました。
今年も、偏差値が高いわりには倍率が低い高校(例えば小田原など)は注意が必要かもしれません。
最後に
志願変更をするしないの判断の鍵は、最終的には併願先の高校にあります。併願私立校と志願変更先の公立第2志望を天秤にかけてみて、どちらの高校に魅力を感じるかで志願変更をするかしないかを決めると良いと思います。
志願変更するしないを決めた1秒後は、倍率のことは忘れて勉強をしましょう。倍率のことをいくら考えても結局どうにもできないんだし、考えるだけ時間のムダです。公立入試の日まであと15日しかありません。
倍率についてあーでもないこーでもないと考えている暇があれば、単語1個でも歴史の年号1個でも覚えた方がはるかに合格に近づくと思うのですがいかがでしょう。
私感
うちの塾のツイッターのTLにこんなつぶやきが流れてきました。
高校名を検索すると「○○高校行く人リツイート」とか「○○高校定員割れてない、おわった」とか呟いてる受験生がいるけど、ある程度のレベルを越えるとまったくいなくなる。
— わくわく (@09waku09) 2016, 1月 31
本当にそうだと思います。先ほど、トップ校では高倍率でも志願変更者が少ないという内容を書きましたが、トップ層の人ほど、倍率に踊らされていないんですよね。倍率が何倍でも、今自分のやるべきことが何なのかを分かっているのだと思います。
逆に言うと倍率にいちいち踊らされていたり、わざわざその内容をツイートしていたりする人って、それなりのレベルなんです。不安だから自分と同じ仲間を集めたいのかどうか分かりませんが、今やらなければいけないことはそうじゃないでしょう。
以上、私個人の勝手な私感でした。