令和2年度公立選考基準発表:特色検査実施校大増加の経緯を解説する。

どうもお久しぶりです。ほぼ1ヶ月ぶりにブログを書きますが、大丈夫ですなんとか生きています。

本日県教委から令和2年度神奈川県公立入試の選考基準が発表されましたね。
コチラ→http://www.pref.kanagawa.jp/docs/dc4/nyusen/nyusen/r2/r2kijun.html

令和2年度から特色検査を入試に課す高校が大幅に増えます。久しぶりのブログでは、特色検査を巡るこれまでの経緯を振り返りながら、今回の選考基準に触れていきたいと思います。

令和2年度県立高校特色検査実施校

とりあえず、今年の県立の筆記型特色検査実施校は次の通り。

横浜翠嵐、川和、希望ヶ丘、横浜平沼光陵、柏陽、横浜緑ヶ丘、多摩、横須賀、鎌倉、湘南、茅ヶ崎北陵、平塚江南、小田原、厚木、大和相模原

下線を引いた高校が、令和2年度入試から新たに特色検査を実施する高校となります。ちなみに小田原高校は2年前までも特色検査を実施していたので、厳密には特色検査復活と言ったほうが正しいですが。

なぜ令和2年度にこれだけ特色検査が増えることになったのか。その経緯を振り返ってみます。

特色検査を巡る経緯

学力向上進学重点校をめぐるゴタゴタの歴史

筆記型の特色検査は、このブログでも何度か触れてきたように、県教委が指定する「学力向上進学重点校」と大きな関係があります。

学力向上進学重点校とは、県教委からの指定を受けた、大学進学指導の充実を図り進学実績向上に重点を置いた高校のことです。この進学重点校の取り組みが始まったのが実は今から12年も前の2007年で、それから2010年までに旧学区トップ校を中心に、18校もの公立高校が学力向上進学重点校の指定を受けていました。その中には秦野高校や追浜高校など、偏差値が低めの高校も含まれていました。

しかしその実態はというと、県教委から重点校に指定されても予算も年に数万円程度で十分ではなく、その中身が伴っていないただの看板だけというお粗末なものでした。これは県教委の中の人も認めている事実です。

[blogcard url=’https://keishinkan.jp/post-6058′ width=” height=” class=” style=”]

そこで、それまで指定していた18校の学力向上進学重点校を全て白紙にしたうえで、新たに学力向上進学重点校として指定して欲しい高校を再度募集し、その中から教育委員会のお眼鏡に適った高校を正式な「学力向上進学重点校」として指定することになりました。それが2016年のことです。

その後、2017年にエントリー校の中から湘南・横浜翠嵐を正式な学力向上進学重点校に指定、その翌年の2018年に厚木・柏陽を追加し、現在は学力向上進学重点校が4校、その他に「是非我が校も指定してください」と立候補しているエントリー校が13校となりました。

特色検査を共通化

県教委がエントリー校を学力向上進学重点校に格上げするために、いくつかの指針を示しています。たとえば生徒が英検2級程度の英語力を有していることや、アクティブラーニングを取り入れていること、難関大への進学実績等があります。

県教委はここに「特色検査を実施していること」を盛り込みたかったのですが、いろいろな方面からの圧力に屈し(←筆者の勝手な想像です。まぁ当たっているとは思いますが)、しばらくこの「特色検査を実施していること」の指針を条項から外されていました。

しかし、県教委は「学力向上進学重点校」としての取り組みを、これまでのように各高校主導ではなく、県教委主導で取り組んでいくという方針を立てるようになります。つまり、各高校が自由に「学力向上進学重点校」を解釈するのではなく、県教委が学力向上進学重点校の方向性を示し、それをもとに学校運営をするということです。

その結果、それまでは自由に各高校が作成していた特色検査を、県教委が作成することに。これが2019年度の特色検査共通化です。

さらに、2020年度入試から、学力向上進学重点校に指定されたかったら特色検査を必ず実施するようにという通達を出したのです。これにより、エントリー校は否が応でも特色検査を実施しなければいけないことになりました。

これが、令和2年度入試から特色検査校が大量に増えた経緯です。

2割校と1割校

さて、令和2年度の特色検査実施校の選考基準を見てみると、特色検査を2割に設定している高校と、1割に設定している高校に分かれています。

●2割校

横浜翠嵐、柏陽、横浜緑ヶ丘、多摩、厚木

●1割校

川和、希望ヶ丘、横浜平沼光陵、横須賀、鎌倉、湘南、茅ヶ崎北陵、平塚江南、大和相模原小田原

下線部は新たに特色検査を実施する高校ですが、多摩以外は最小限の影響で済むように1割に設定してきました。特色検査が合否に大きく影響してしまうことに消極的だということでしょう。小田原なんてかつては特色検査2割校だったのに…。

一方2割校の5校は、翠嵐以外が選考基準を内申:学力:面接=3:5:2に設定しています。翠嵐はおなじみの2:6:2と学力最重視です。つまり、選考において学力を重視したい高校が、特色2割を選択したということになります。

新たな特色検査実施校を志望人へ

自分の志望校が新しく特色検査実施校になってしまった受験生は、今頃「特色検査ってなんか怖いなどうしよう」「自分にできるのだろうか」と不安に思っていると思いますが、そんな人に朗報です。

特色検査は難しくない。

もう一度言います。

特色検査は難しくない!!!

2019年度から共通化された特色検査は特にです。何か特色検査に向けて特別な対策をしなければいけないとか、そんなことはありません。

新しい特色検査についての対策はまた近々ブログに書きますが、今は必要以上に恐れて色々と思い悩んだり志望校変更を考えるよりも、今は5教科の勉強をしっかりとしてください。本当にそれだけで十分です。むしろ5教科を蔑ろにして特色対策ばかりやっていた方が特色検査で点数がとれません。