倍率が高くなると入試が難しくなるのはなぜかを説明してみる。

2015年1月28日

今日28日(水)〜30日(金)まで、神奈川県公立高校の願書提出日。30日(金)の夜には1回目の倍率が発表される。1回目の倍率発表を見て、出願高校の倍率が高い場合、志願変更に動くかそれとも第一志望を貫くかの選択が迫られるわけなんだけれども、倍率が高くなるとどんな現象が起こるのかということを書いてみたい。

倍率が高くなると何が起こるか

一般的に「入試の倍率が高くなると難しくなる」と言われている。

たとえば同じくらいの偏差値のA高校とB高校があるとしよう。A高校の倍率が2倍、B高校の倍率が1.2倍で、偏差値は同じだが、受験倍率に大きな違いがあるとする。定員が300人なら、A高校は受検者数が600人、B高校は360人だ。

偏差値が同じということは基本的に受検者の層は同じなので、受検生の平均点に大きな違いはない。よく倍率が高ければ平均点も上がり、倍率が低ければ平均点も下がると勘違いしている人がいるのだが、平均点は問題レベルにこそ左右されても、倍率には左右されない。ここでは、A高校、B高校とも受検生の平均点が500点満点中の400点だったとしよう。

倍率が何倍であろうが、基本的に受検生の多くは平均点あたりに集中することになる。倍率が2倍であるA高校の場合、合格するのは600人中ちょうど半分の300人ということなので、合格ラインは平均点から大きく離れることはない。受検生の平均点が400点なら、合格ラインは390点前後に落ち着くだろう。

一方で倍率が低いB高校の場合も、受検生の多くは平均点あたりに集中するが、合格するのは360人中300人と合格者が受検生の大半を占める。つまり、上位83%が合格することになるのだから、合格ラインは平均点よりも大きく下がることになる。受検生の平均点がA高校と同じように400点でも、それより大きくかけ離れた350点くらいの点数でも合格する可能性があるということだ。

結果、同じくらいの偏差値、同じくらいの平均点のA高校・B高校でも、一方の高校は350点で合格、一方の高校は不合格という奇妙な現象が起こることになる。つまり、倍率が高いと、その高校の偏差値と同じレベルの受検生でないと合格が厳しくなるが、倍率が低いと、その高校の偏差値よりも低い受検生でも合格する可能性は大きいというワケだ。

志願変更で動くべき場合は

以上を踏まえると、志願変更で動くべき場合というのは、受検する高校の偏差値レベルより自分の偏差値が大きくかけ離れていて、かつ願書提出校の倍率が高いときと言えるだろう。

倍率が高いと、やはり受検生は落ちる人数を計算してどうしても心配になり、自分の偏差値が受検する高校の偏差値に達している人でも志願変更を考え出す人がいるのだが、本番で大きな失敗をしない限りは偏差値がそうそう崩れることはないので、そのまま踏ん張った方が良いと思う。

定員割れした高校は全員合格?

よく「定員割れした高校でも、あまりにも点数が低いと合格できないんですよね?」という質問をされるのだが、定員割れを起こした高校の受検生は基本的に全員合格になると思って間違いないだろう。だからと言って、みんな合格するから勉強しなくても良いというスタンスはどうかと思う。高校入試で勉強は終わりじゃないんだし、そもそも義務教育以上のことを勉強するために高校に入る試験が入試なのだから、定員割れしているからと義務教育内容すら分からなくても大丈夫というのでは、何のための入試なのか分からない。

まとめ

以上が倍率に関する考え方。ただ、志願変更後の倍率が確定した後は、倍率が高かろうが低かろうがもう関係はない。結局、倍率が高くても低くても、定員300人なら300番に入った人が合格する。30日に発表される1回目の倍率の結果を受けて、志願変更するしないを決めた後は、もう倍率のことは忘れてラストスパートの勉強をしよう。