入試制度や高校改革について、県教委のなかの人に直接話を聞いてきた。

今朝、横浜市内で開催された「教育シンポジウム」なる勉強会に参加してきました。教育シンポジウムというと何だか仰々しい感じがしますが、要は神奈川県の教育委員会の方と中小塾の団体との交流会のようなものです。

なんでも、神奈川県教委が塾側の話を聞くという機会が設けられるとは、一昔前では考えられなかったそうです。塾はずっと日陰産業でしたからね。県教委や学校のような公教育の目の敵とされていました。ところが今は、今日のように、中小塾が県教委と直接意見交換できる機会を持てるのです。ようやく、塾という存在が世間に認められてきているのだなと感じます。

さてさて、県教委の高校入試課の課長さんから直接平成30年度の入試や高校改革の内容などの話を色々と聞いてきましたので、今日はその報告レポです。

入試について

シンポジウムは、主に高校入試・県立高校改革という2つの議題についての塾側の疑問質問に教育委員会側が答えるという形で進行していきました。

多くの質疑応答がありましたが、その中でもブログ読者の皆様に有益と思われる情報をピックアップしてまとめます。

「国語だけ平均点が高い問題」について

今春行われた平成29年度の県立高校入試を含む過去3年間の5科目県平均を振り返ってみます。

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英語 数学 国語 理科 社会
H29年度 51.9 63.5 73.1 46.9 54.5
H28年度 43.0 51.7 64.7 46.5 52.0
H27年度 51.8 52.6 64.4 37.4 50.2

上記のように、過去3年間の入試平均点を見ると、どの年も国語の平均点だけ突出しています。特に今春のH30年度に至っては、国語の平均点が73.1点と、最も低い理科の46.9点と比べると26点以上の差がついています。

それについて、高校教育課長は「県教委側としても、この状態が良いとは思っていない」とのこと。

「特に目標数値があるわけではありませんが、問題作成時はどの教科も平均点が50点くらいになるように、意識して問題を作っています。今年の国語の平均点が上がったのは、マークシート導入により漢字の書き取りをやめたり記述問題を減らしたことが要因と考えられます。いずれにせよ、今年も50点に近づける努力はしていくつもりです。」

ということでした。理科との平均点の乖離について塾側からのツッコミもありましたが、「これでも今年は理科を簡単にしたつもりでした。個人的には、もっと平均点が上がっても良かったと思いますが。理科が難しいと言われますが、神奈川の理科は良問であるとも思っています。理科については、もう少し受験生に期待をしたいところです。」とのこと。

課長。
私としましては、あの国語が平均点50点を目指して作られたとはどうしても思えないのですが、理科に関しては完全に同意です。

いずれにせよ、これだけ国語の平均点の突出ぶりがあちらこちらで騒がれているので、いつ国語の難易度調整が入ってもおかしくありません(むしろ入るべきだと思いますが)。受験生は、いつ国語が難しくなっても良いように、きちんと準備をしておくに越したことはありません。

追試験は学力検査のみ教育センターにて実施

続いて、H30年度入試の一番の目玉となる「追試験」についてです。

インフルエンザ等により学力検査をH30年2月14日(水)に受験できない受検生に対して、2月20日(火)に追試験を実施するというのはすでに発表されています。

で、その内容ですが、よくよく聞いてみると、追試験は学力検査のみ、各高校で実施するのではなく、総合教育センター1ヶ所に集めて実施するということでした。遠方からの受検生に配慮して、9時20分スタートを予定しているとのこと。また、難易度は本試験と同じように作成するとのことで、難易度調整などは行わないということです。

つまり、

追試験が行われるのは、英数国理社の学力検査のみで、面接や特色検査、実技検査などの追試験は行われません。

インフルエンザ等に疾患しても、面接や特色検査は休むことはできないということになります。面接はともかくとして、特色検査実施校の受検生は、せっかく追試験があっても結局インフルエンザに罹ってられないということですね。

小田原高校の基準変更による波紋は

H30年度は小田原ショックの年!小田原の入試2大変更による影響はいかに!?でも書いたように、今年は業界内でも小田原高校の特色検査廃止、基準変更に注目が集まっています。

特に、業界の人たちが気にしているのは、他の特色検査実施校も、小田原高校に追随して特色検査をやめたりするのでは?ということです。

そのような質問について、以前あの横浜翠嵐高校の副校長を務められた経験もある県教委の課長さんは、

「ご想像の通り、特色検査を作成するのはかなりの重労働です。実施校の教員は、通常の授業や生徒指導の合間を縫ったり時間外で、特色検査を1年間かけて作成しています。作成のための会議も数十回にも及びます。学校側に体力と余力がないと、特色検査は作成できません。ただ、特色検査実施は各校長が決めることなので、県教委側としてはなんとも言えないところです。小田高のように特色をやめるという高校がいつ出てきても、おかしくはないと思いますが。」

確かに、特色検査を作成する厳しさ・大変さは想像に難くありません。今後、特色検査が今よりも減ることはあっても、増えることはないでしょう。

県立高校改革について

県立高校改革の根本テーマは、財政が厳しい中で、いかに資本を集中させて、教育を維持発展させていくかがテーマです。そういう視点で高校改革を改めてみると、また違った発見が見えてきます。

インクルーシブやコミュニティースクールなどいろいろな話が出ましたが、このブログ読者の皆様にとって一番の関心は、学力向上進学重点校についてでしょう。

実は・・・名ばかりだった学力向上進学重点校の看板

県立高校改革では、以前県内に18校もあった学力向上進学重点校にもメスが入っています。

以前の18校は次の通り。

横浜翠嵐、湘南、柏陽、川和、光陵、横浜緑ヶ丘、希望ヶ丘、横浜国際、多摩、横須賀、鎌倉、平塚江南、小田原、厚木、秦野、大和、相模原、追浜

…18校をずらっと改めて見返しても、重点校の看板のバラマキもいいところですね。実際に課長もこのようにおっしゃっていました。

「高校改革前の重点校18校は、重点校と言っても予算も年に数万円程度で十分ではなく、まさに名ばかり、重点校という看板だけで、その中身が伴っていないものでした」

やっぱりね。みんななんとなく分かってたけど。

エントリー校の中から数校に絞る

今回の高校改革では、まず学力向上進学重点校のエントリー校を手上げ方式で募集。そして手を上げてきたのが次の17校。

横浜翠嵐、川和、多摩、希望ヶ丘、横浜平沼、光陵、柏陽、横浜緑ヶ丘、横須賀、鎌倉、湘南、茅ヶ崎北陵、平塚江南、小田原、厚木、大和、相模原

この中から、県教委が数校に絞ります。以前のアナウンスでは10校程度と言っていましたが、実際は10校という明確な規定はなく、最初は2校かもしれないし3校かもしれないとのこと。2校や3校だったら、もうほぼ決定じゃん…。

課長曰く、「今回の改革では、以前のような名ばかりの重点校ではなくて、きちんと予算と人員を配置し、シビアに大学進学実績を追っていくことになるでしょう。やはり大学進学実績は、高校の重要なファクターですからね。」とのこと。

地域を配慮しないということなので、下手すると、神奈川県東部に重点校が集中し、西部は進学重点校ゼロという可能性も。下手しなくても、小田高が特色検査をやめたりと、この可能性はかなり濃厚のように思われます。

進学にシビアに力を入れている公立高校が県西部にゼロでは、地域間教育格差の問題が顕著になってくると思いますがどうなんでしょう。

私感

しめて1時間30分、他にも色々と話を聞かせていただきました。その中で、個人的にいろいろなことを感じました。詳しくは書きませんが、やはり現場のことはちゃんと分かっていらっしゃらないなと感じることも、県教委も頑張ろうとしているんだなと感じることもありました。

ただ一つ言えることは、このような機会をもっとたくさんもっていくべきなんじゃないかということです。公教育がー、塾がーと、敵対している時代ではありません。これからは、民も官も一緒になって教育を考えていく時代です。今回、県教委側の話を直に聞くことで、県側が何を考えているのか、どういう意図があるのかを初めて感じることができました。そして現場の何が分かっていて、何が分かっていないのかも、ぼんやりとながら理解することができました。

民と官が活発に意見交換することで、まさに地域全体で教育を盛り上げていけるんじゃないですかね。

まぁ、私は私で、民として、官がどんな制度を敷いてこようとも、目の前にいるこの一人の生徒が1点でも多く点数を取れるように、泥臭く指導していくだけなんですけどね。

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