特色検査対策として最低やっておくべき3つのこと

2015年5月13日

これまで2015年度の特色検査問題の分析・対策法を高校ごとに4回に分けて書いてきました。でも、受験生や保護者の方が一番知りたいことって、問題分析などではなく、「分析はわかった。で、結局合格するためには何をすればいいの?」ってことなんだと思います(問題分析は、同業者である塾の先生にしかウケません)。

そこで今回は、来年度特色検査実施校を受験する予定の人に対して、特色検査対策としてやっておきたいことをざっくりと3つにまとめて書いてみたいと思います。

1つ、中学で習う知識の土台があることが大前提

特色検査は学力検査と違って、知識がどの程度備わっているかを測るテストではありませんが、それでも特色検査を解く上で、5教科の知識はやっぱり必要になってきます。

考えても見ましょう。計算もまともにできないのに思考力も何もないし、知識もないのに判断力や洞察力もあったもんじゃない。文章をまともに読み書きできないのに、表現力も情報処理能力もへったくれもない。

たしかに特色検査は知識の丸覚えだけでは通用しませんが、だからといって「知識や計算力はなくても良い」というように、知識を否定しているわけではありません。

特色検査実施校の教務担当の先生に話を聞いても、

学校説明会でも中学生に話をしているのですが、特色検査に対して何か特別な勉強をするのではなく、その代わり通常の学力検査の勉強をしっかりとやってもらいたいと思っています。厚木の特色検査は、5科目の学力検査の延長上という位置付けです。(厚木高校:林先生)
参照:約3人に1人が国立大に現役合格!厚木高校の魅力に迫る。

あくまで、5教科の学力検査の勉強が基本だと思っています。5教科の点数がしっかりとれることの方が重要です。特色検査を2割にして、5教科の勉強を疎かにしてもらっては困りますので、湘南は1割にしています。(湘南高校:校長先生)
参照:県下屈指の公立難関校、湘南高校の「伝統の力」とは

学校説明会でもいつも話していますが、中学校で習う内容を良く勉強し、たくさんの本や英文を読み込んできてください。(小田原高校:教頭先生)
参照:小田原高校に行って、校長先生にお話を聞いてみたよ!

と、知識の否定どころか、逆にどの高校も5教科の勉強をしっかりとやってきてくださいというメッセージを発信されています。もちろん知識があるだけでは解けない問題もあるので、特色検査特有の解き方や解答の作り方などの練習は必要ですが、まずは学力検査の5教科の模試等で、各科目で最低でも7割以上をとれる知識を身に付けることを目指しましょう。

小学校の算数の知識もバカにしないように!

特色検査で意外にもよく出題されるのが、小学校の算数で習うような割合や比を駆使して解く問題。2015年度も、小田原高校や湘南高校でも、割合や比に関する問題が出題されています。

仮にも公立トップ校を目指している中学生なのだから、小学校の算数の割合や比なんて楽勝と思いがちですが、特色検査対策講座をやってみると、割合や比の基本的な考え方が身についていない子が毎年ゴロゴロいてビックリします。割合や比以外にも、立体や対称のような図形、単位の換算(これも意外にできない中学生が多い!)などの知識や基本的な考え方が身についていないと解けない問題が結構あります。

割合や比、単位が実はよく分かっていないという人は、小学校の内容だからとバカにせず、もう一度基本的なところから復習しておきましょう。

2015年度の小田原高校の特色検査 問2ーⅡ(1)(2)や、湘南高校の特色検査 問3の(ウ)を試しに解いてみよう!できない人は、割合や比の基本的な使い方を復習した方が良いかもしれません。

2つ、長いリード文の問題を解く機会を

特色検査の特徴は、問題のリード文が長いことだということをこのブログでも何度も書いてきました。どの高校の特色検査も、基本的には問題文が長く、情報・条件が複雑に入り組んでいるような問題設計になっています。この長ったらしいリード文をいかに正確に読み取り、必要な情報を根こそぎ拾い上げることができるかが、特色検査を解くための最大の鍵になると言っても過言ではありません。

ところが、国語や英語の長文読解を除いて、特色検査のような長いリード文を読み取る必要がある問題を解く機会が圧倒的に少ないです。学校の定期テストにはまずそのような問題は出てこないし、塾でも滅多にお目にかかることはない。入試模試にしたって、特色検査のような長さのリード文の問題は出てこない。

このように、普通に中学生活を送っているだけでは、「長いリード文をよく読まないと正解できない」ような体験をほとんどすることがないのです。

じゃあどうするか。難しくなった入試対策に、公立中高一貫校の適性検査が効くという話でも書いたように、中高一貫校の適性検査の問題を活用して、長い問題文を正確に読んで解く練習をすることが有効でしょう。

日頃から、問題文中の情報・条件にマークをしておく癖をつける

塾生にはいつも口を酸っぱくして言っているのですが、たとえすぐに読めるような短い問題文でも、問題文中の重要個所(問題を解くための情報・条件)に線を引くなり数値を丸でかこっておくなりして、マークを付けながら読む癖をつけておきましょう。日頃からそのような癖をつけることを意識していると、問題文中の重要な情報・条件に対して敏感に反応できるようになります。

一方で、マークもせずにただ問題文を眺めながら解く癖がつくと、特色検査のような長く複雑なリード文になると、途端に太刀打ちできなくなってしまいます。

特色検査の過去問を解くのは秋以降が有効

志望校の特色検査の過去問を実際に解いてみるのは、秋以降が有効です。それより早すぎると、まだ習っていない事柄が多すぎて練習にならないからです。塾で中学校で習う内容をある程度学習し終えた後で、過去問を解いた方が効率が良いのは言うまでもありません。

また、最初にも書いたように、特色検査は5教科の最低限の知識が備わっていないと解けません。まずは、学力検査の5教科をしっかり勉強すること。その間の特色検査の練習は、中高一貫校の適性検査レベルや、特色検査の中でも比較的易しい問題レベルで十分です。

そのような練習を積んでいるならば、ある程度学力が固まってきた秋〜受験直前の冬にかけて、ガッツリと過去問を解いていっても十分間に合います。

3つ、社会のニュースに対してアンテナを張っておく

2015年の湘南高校の問3では「エネルギーとフードマイレージ」について、小田原高校の問2ーⅢでは「第一次産業の自給率の低下」について、柏陽高校の問4・問5では「途上国の貧困と援助」についてが題材となっているように、特色検査には現代社会のいろいろな問題やニュースに関することが題材としてよく使われています。もちろん、そのようなニュースを知らなくても問題を解けることは解けますが、ニュースや現代社会の諸問題の背景や概要を知っていた方が、断然解きやすくなることは間違いありません。

新聞を積極的に読んだり、ニュース番組を見たり、現代社会の問題に関する書籍を読んだりして、日頃から社会のニュースに対してアンテナを張っておくことが大切です。「スマホでゲームしている暇があったら、本の1冊でも読みなさい。」ということです。

告知

まぁつらつらと書きましたが、これら全て中学生が一人で実践するのは至難の業だということは分かっています。で、2015年度の特色検査の問題を解きながらずっと考えていたことなのですが、特色検査の対策問題のようなものを作成し、月1回くらいの頻度で塾生に課題として解かせようかなと考えています。

まだハッキリした構成が出来ているワケではありませんが、

・中等一貫校適性検査などから、情報処理能力を鍛える問題1問
・知識と情報を組み合せて解く問題1問
・時事的要素を題材とした問題1問
・パズル系の問題1問

くらいのボリュームで考えています。これを月1回の課題として解かせて添削指導をしようかなと。本当は対策講座を月1回くらいできれば良いんだけれど、当面の間は部活動などで日程調整が難しいのと、対策講座を増やすとお値段が高くなってしまうので、しばらくは課題⇒添削を考えています。1回目は6月中旬頃に配布する予定です。

問題作成や解答添削、大変だろうけどワクワクします。ちなみに特色検査対策講座で使用する模試の作問をしていた頃、あまりにも大変すぎて、体中に蕁麻疹が大量発生しました。今回はそうならないように頑張ります。

以前の記事の中で「特色検査対策講座に興味のある方はご連絡ください」と書いた後で連絡を下さった方には、問題が出来上がり次第こちらからご連絡します。