トップ校に行くと幸せになれるのか!?

2012年7月2日

明日から3年生の進路面談が始まる。今年度最初の面談なので、公立と私立の大まかな志望校を聞き、個別に大まかな対策を練っていく面談になる。

私の場合、志望校の決定については生徒や家庭の意見を尊重し、あまり口を挟まないことにしている。意外に低いレベルの志望校を聞いて、「この子はもっと上の高校狙えるのにな」と思っても、滅多なことがない限りそういうことは口にしない。生徒や保護者から意見を求められた場合のみ正直に答えることにしているが、基本的に志望校選択は、ご家庭の価値観や事情によるところが大きく、その生徒の将来に大きく関わる決定をただの塾講師が出しゃばって首を突っ込むものでもない。

ただ、ココは本音ブログなので本音を言いますと、トップ校が狙える生徒はトップ校に行くべきだと思っている。部活がやりたいだの、家から近い学校の方がいいだの、自信がないから一つランクを下げたいだの、まだ世間知らずな生徒の言い分も分からないでもないが、オコチャマの思考でグダグダと甘えたこと言ってないで、一つでも偏差値の高い学校に行けと思う。

「じゃあトップ校に行くと幸せになれるんですか?」と聞かれたら、「そんなもん分かりません」と答えるだろう。トップ校を出ても不幸なやつもいれば、下位校を出ても幸せに暮らしているやつもいる。どこに行けば幸せになれるかなれないかなんて、神もしくは江原さんでもない限り分かりません。(そう言えば江原さんって最近見ないよね。どこいったんだろう。)

大は小を兼ねるという言葉がある。学歴はこれに尽きる。トップ校出たから幸せな人生を送れる、下位校だから不幸だとかそんな問題じゃなく、トップ校に行けば人生の選択肢が多くなるということ。

中学校までは公立であれば皆同じことを勉強するのだけれど、高校は違う。高校によって学べる科目も単位も違う。そして高校で学ぶ科目や単位が大学受験で大きく影響する。正直、トップ校以外の教育課程では、学校の授業だけでは難関国立大学や医学部を受験することすら難しい。例えば、数学はⅠAとⅡだけで数Bは履修しないなど、国立大学受験で必要なセンター試験の科目すらまともに履修しない高校なんてザラだ。

「んなこと言っても、俺医者になんかなりたくないし。そもそも大学なんて行くかもわかんねぇし。」と反抗期真っ盛りの中学生はそういうかもしれない。でも、たかだか15年しか生きておらず、人生の5分の1すら経験していない中学生のうちから、選択肢を狭める理由や必要はどこにもない。

普通教育の目的って、人生の選択肢を広げることだろう。普通教育が普及していない頃、例えば大工の子どもは小さいうちから大工の修行をし、商売をしている家の子はその家業を継ぐことを決められていた。子どもの頃から人生の選択肢を奪うなんて、日本の将来的にも子どもの人権からみてもいかんじゃないかってことで、普通教育が普及してきた。

「そんな仕事なんてせずに、田舎でのんびり暮らす」という選択肢もあっていい。でも将来、「都会に出てバリバリ働くんだ」とか、「医者になって病気の人を救いたい」とか「政治家になって今の腐った野田内閣をぶっ倒す」とかという選択肢だって出てくるかもしれない。それを、何も15歳のガキの頃からわざわざ潰さなくたっていいでしょうというのがワタクシの意見なのです。

進路を決定するとき、そういう話も含めて、それこそ膝と膝をつき合わせてご家庭でしっかりと話し合って欲しい。子どもの選択肢を広げてやるのが、親の責任とも言える。間違っても、最初から「子どもにすべて任せているので、この子のやりたいようにやらせます」と、何も世間を分かっていない15歳を放置することだけは避けてもらいたい。最後は子どもに決定させるのだけれど、親として、世の中の厳しい現実や大きな可能性をしっかりと伝えた上で、子どもに選択させるべきだろう。