小6生で読書会をやってみた(後編)

2016年6月24日

前回の記事「小6生で読書会をやってみた(前編)」の続きです。

読書会のスタイル

ようやく課題本も決定し、今回は初めての試みということで課題本を塾から生徒にプレゼントする形をとりました。生徒への告知は読書会開催の2週間前に、課題本を一人一冊ずつ渡しながら行いました。2週間で1冊丸々読んでくるのはさすがに負担に思う生徒もいるだろうということで、最初の読書会はとりあえず最初の2つの物語を読んでくることを課題としました。

告知から読書会開催までの2週間、どのようなスタイルで読書会をやろうかとても悩みました。私自身も今まで何度か大人向けの読書会に参加したことがありますが、大人の読書会でよくあるような「どう思いましたか?」という漠然な問いかけだと、子どもの読書会は成立しません。1冊の本についての自由闊達な議論は、そもそも本に興味を持っている大人だからできることであって、小学生の、ましてや本なんて興味のない子どもに「どう思いましたか?」なんて聞いてみても、せいぜい「面白かった」と答えるくらいで、10秒ももたずにあっけなく読書会が終了してしまうことは目に見えています。

国語の読解のように、「これはどういうことか答えよ」「この語句の意味は何か」「このときの主人公の心情は」などの問題をプリントにして解かせることも考えましたが、それだと国語の授業と変わらないということになり即却下。

じゃあ何をしよう。何をすれば良いんだろう?と悶々と思い悩むこと数日。読書会開催を決めた最初の目的に立ち返ることにしました。
読書会の目的は、とにかく読書を通して活字のインプットを増やすこと。活字を読むことに対する抵抗をなくすこと。映像や絵ではなく、活字だからこその表現方法に慣れさせること(小説文を理解する上で重要です)。国語そのものよりも、その国語の土台となる言語能力を向上させることが目的でした。

そしてたどり着いた結論は、少しでも本を読む機会・活字に触れる機会を増やすこと、本を読むこと自体が苦にならないことの2つが達成できれば、堅苦しいことは必要ないのではということでした。また、決まりきった形式に沿って読書会をやるのではなく、課題本に応じて、またその時の生徒の言語能力に応じて、内容を臨機応変に変えていけば良いという結論に至りました。

読書会当日

そして当日。記念すべき最初の読書会です。

最初は思いっきり楽しんでもらおうということで、ゲーム性を高くするためにチーム対抗戦によるクイズ形式の読書会にしました。クイズらしさを演出するため、このような小道具も使いましたよ。

私が予め用意しておいた質問に対する答えを、本の中から探し出して早押しで答るというゲームです。なんとなく記憶だけで答えると×になります。きちんと「何ページにこのように書いてあるから」という根拠を示さなければいけません。こうすることで、1問ごとに何度も本を読み返すことになり、また早くボタンを押したいので自然と読むスピードも速くなります。

結果から言うとかなり盛り上がりました。教室の外から見ていた中2生が、「俺らもあれをやりたい」と言ってきたくらいです。

ただ、それ以上に、課題としていた2つの短編小説だけではなく、初回の時点で既に全部読んでいた生徒がほとんどだったということが今回の大きな成果でした。中には、早々に課題本を読み終え、2巻を親御さんにねだった子もいたくらいです。

読書会の今後

今後も月に2回のペースで、少なくとも彼らが中学生になるまでは継続していくつもりです。継続して行うことで、毎日なんらかの本を読んでいる習慣を中学生までに身に付けてもらいたいと思います。だんだんと課題本のレベルも上げていき、小説だけでなく、ジュニア新書などの論説や随筆の類いにもチャレンジしてもらう予定です。

読書会は、毎回ピンポンブーを使ったクイズ形式で行うつもりはありません。1冊を読み終えたらポップ作りをやらせてみるのも面白いだろうし、時には聞き写しもいいだろうし、輪読も効果があると思います。その時その時に必要なものを、彼らのレベルに応じて取り入れていくつもりです。今後も定期的に読書会開催レポートの記事を書いていきます。

余談

最近はしばらく読書会に参加していませんが、子どもだけでなく大人にとっても読書会は非常に有意義です。読書を通してインプットしたことを、読書会を通してアウトプットすることで、本に対する理解がより深くなります。また、1冊の本を通して多くの人と議論をすることで、多種多様な読み方や考え方に触れることができます。大人の方も是非近くの読書会に一度参加してみてください。非常に勉強になると思います。

教育本を読む読書会も面白いかも。このブログをお読みの塾の先生や教育関係者の方。いかがでしょう?