そのミスは本当にケアレスミスなのか?ケアレスミスを防ぐ方法。

2016年7月12日

「ウチの子、ケアレスミスがとっても多くて。いつも子どもに言っているですけどねぇ。」

保護者面談をやっていると、必ずと言っていいほど相談されるのは、ケアレスミスについてのことだ。しかし、不思議なことに、このようにケアレスミスについて嘆く保護者の方の様子を観察すると、切羽詰まった様子ではなく、むしろなぜか笑顔なことが多い。

保護者だけではなく、生徒がケアレスミスした時でも同じことが言える。
「ケアレスミスしちゃいました(てヘペロッ^^)」と、ミスしたのにもかかわらず、なぜか笑顔でケアレスミスを強調している。

保護者にしても生徒にしても、「ケアレスミス」だったことを強調したい背景には、「ウチの子の実力は本当はこんなもんじゃない。ミスさえなければ、もっと点数が取れる。」「ミスしてしまったけれど、本当はちゃんと分かっていた。だから自分は大丈夫!」という心理が隠されているのだろうと思う。

ケアレスミスという言葉が都合良く使われる昨今。この際ハッキリ言おうじゃないか。
「ケアレスミス」をみんな自分に都合良く乱用しすぎ。

そのミスは本当に「ケアレスミス」なのか

ケアレスミスと一言で片付けているけれど、よくよく見たらケアレスでもなんでもない、ただの理解不足ということがよくある。例えば計算間違いにしても、本当に計算の能力が高い子は、簡単に計算ミスなどしない。

計算ミスを連発する子というのは、実は分数の計算方法があやふやだったり、小数点の移動のクセがついていなかったり、もっと低学年になると、九九がスラスラ言えていなかったり、繰り上がりや繰り下がりの計算が苦手だったり・・・など、その背景に何かしら原因があることがほとんどだ。

数学や算数だけではない。他の科目でよくあるのが、記号で答える問題をそのまま答えてしまったりなどの問題文の読み間違い。これも、よくケアレスミスとあっさり切り捨てられるけれども、日頃から問題文に線を引いたりしながら注意深く問題文を読んでいないことが原因なのであって、その背景には結構根深いものがある。

つまり、ケアレスミスをする裏側には、必ず何かしら理由がある。それにも関わらず「ケアレスミスだった。てへペロ。」の一言であっさり片付けてしまうということは、その何かしらの要因を分析する機会を失っているということになる。これではケアレスミスはずっとなくならないし、学力も上がらない。

そのケアレスミスは防ぐことができる

人間誰しもミスをしてしまう生き物なので、完全にミスをしないということは不可能かもしれない。しかし、ミスの背景にある何かしらの理由に本人が気が付き、それに対して具体的に対策をしていくことである程度防ぐことができる。

ケアレスミスを本当に無くしたいのなら、最初の一歩は「ケアレスミス」という言葉を使わないことだ。ミスをケアレスミスと一括りにしてしまっているから、その内容や原因まで見えてこない。見えてこないから、考えようともしない。「ケアレスミスを無くす」と何回反省ノートに書いたところで、永遠に無くならない。

ケアレスミスという言葉を封印し、ミスするごとに原因を分析し、その対策を考える。なぜミスをしたのか。どうすればそのミスを防げたのか、いちいち一問ごとに考える。それをやっていくと、次に同じようなミスをしやすい問題に出くわしたとき、ミスを回避しようとする意識がはたらく。意識がはたらくと、ほぼ同じようなミスをしなくなるのでケアレスミスは減っていく。もしくは、ケアレスミスの下に隠れていた根深い部分に気が付き、そこから再度知識や計算を構築し直すこともできる。

まとめ

最近はケアレスミスという言葉の代わりに「うっかりミス」という表現を使うそうな。うっかりミスなんて表現、ケアレスミスよりも軽く捉えられる分、さらにたちが悪い。計算ミスは、「うっかり」しているからするのでもないし、問題の読み間違えだって、「うっかり」しているからするんじゃない。実力がないからしてしまうんだ。

まず、そういう軽い感じの言葉を使うことからやめてみないか。
うっかりミスという言葉を使うことで、保護者も子どももミスの本質と向き合えなくなってしまっている。

どんな小さなミスでもバカにせず、真正面から向き合うことで、ケアレスミスはなくなっていきます。

※2014年4月26日投稿文を加筆修正したものです。