神奈川県内の多くの公立高校に選ばれた「良書」10冊まとめ

2015年5月15日

私も今日知ったのだけれど、神奈川県教育委員会のウェブサイトの中に、「県立高校・中等教育学校おすすめの本」というページがありました。ざっと目を通してみましたが、やはり各高校の図書館司書が厳選した本だけあって、良書がたくさん紹介されています。

しかも、高校ごとに推薦図書のカラーが全く違うのもとても面白い!たとえば厚木高校だと、やはり理系中心の本が推薦されているし、湘南高校は意外にもほぼ文学小説ばかりだし、マニアックなところでいくと、小田原城北工業の推薦図書のほとんどは小田原や県西に関連するような超地元色の濃いものばかりです。自分の志望校ではどんな本が推薦されているのかを知ることでも、その高校の教育の特色がうかがえます。特に、特色検査実施校の推薦図書を見ることで、その学校がどんな知識や教養を重視しているかが分かり、特色検査対策のヒントになるかもしれません。

県立高校・中等教育学校がおすすめする本の中から、多くの高校が推薦している図書10冊をピックアップして、各高校のコメントを載せてまとめてみました。基本的には高校生向けの本ですが、中学生でも十分読めると思います。

スマホばっかりいじっている暇があったら、本を読みましょう。スマホは時間をかける分だけバカになり、そこから何も得ることはありませんが、本からは知識・教養、時には生きるためのヒントなど、いろいろなことを得ることができます。

では、いきましょう!
8c2c364d30d6009010571cd0668401cc_s

14歳からの哲学

このブログでもお勧めした図書。県内の多くの高校からも推薦されています。まだ読んでいない人は、是非読んでみては?
■池田 晶子著、トランスビュー
■この本を推薦している高校:厚木北、相模原中等、新栄、鶴見、秦野、平塚中等

この本を読むと、哲学的なものの考え方や「考える」ということが人間にとっていかに大切かが、難しい言葉を知らなくても理解することができます。(相模原中等)

考える・言葉・自分・家族・社会など、30のテーマを提示する、「考えるための教科書」。(秦野)

著者は1960年生まれの哲学者。「自分とはなにか」「家族」社会」「友情と愛情」「恋愛と性」「品格と名誉」「メディアと書物」「善悪」「人生の意味」「死をどう考えるか」といった刺激的な項目からなるが、それは「14歳以後、一度は考えておかなくてはならないこと」で、その「考える」とはどういうことかを真摯に問いかけている。世代に媚びず、真っ直ぐに向かい合って「哲学」を語ろうとする著者の姿勢がすがすがしい。(平塚中等)

わたしはマララ

2014年に史上最年少でノーベル平和賞を受賞したマララさんの戦いを記録した本。世界中で読まれています。
■マララ・ユスフザイ著、学研パブリッシング
■この本を推薦している高校:大井、大磯、港北、相模原青陵、湘南台、氷取沢、深沢、保土ヶ谷、横須賀明光、横浜桜陽、横浜緑ケ丘

女性が教育を受ける権利を訴えて、イスラム武装勢力に銃撃された16歳の少女の手記。(大磯)

自由に教育を受けられない、タリバン支配下にあるパキスタン。自らも銃撃されながらも、国連で「すべての子どもに教育を」とスピーチをし、教育を受ける権利を主張し続ける16歳の少女・マララの手記。(湘南台)

「女の子にも教育を」という日本では当たり前の基本的な権利を訴えたためにイスラム武装勢力タリバンに銃撃された16歳の少女の手記。彼女の言葉に耳を傾けてみよう。(横浜緑ヶ丘)

日本国憲法を口語訳してみたら

ちょうど憲法の勉強を始める中3生に特にオススメ。一生懸命暗記している憲法の内容が、ぐっと分かりやすくなるはず。
■塚田 薫著、幻冬舎
■この本を推薦している高校:大井、大船、川崎工科、多摩、横須賀明光、横浜緑園総合

日本国憲法をとてもわかりやすく口語訳しているので、憲法を身近に感じながら、おもしろく学べる。(多摩)

憲法に興味は持っていても難しそうなイメージで倦厭していた人に読んでほしい。(大船)

「日本国憲法」を分かり易い現代の言葉で解説した本。憲法がより分かるコラムも読めば、憲法を身近に感じられる。(大井)

ソロモンの指環 動物行動学入門

県内屈指のトップ校2校と公立中高一貫校の相模原中等が推薦しています。一見の価値有り。
■コンラート・ローレンツ著、早川書房
■この本を推薦している高校:厚木、横浜翠嵐、相模原中等

ローレンツ博士が身近な動物の行動をユーモアたっぷりに描いた名著。(厚木)

動物行動学入門書。生物学に興味あるものはもちろん、だれもが親しめる内容。(横浜翠嵐)

沈黙の春

特色検査でも題材としてよく扱われる環境問題についての名著。
■レイチェル・カーソン著、新潮社
■この本を推薦している高校:相模原中等、座間総合、秦野、横浜翠嵐

自然保護と化学公害告発の先駆となった古典的名著。(横浜翠嵐)

1960年代に農薬の危険性について警鐘を鳴らし、環境保護運動の草分けとなった本。自然への畏敬を根底にした論述は今なお心に響きます。(秦野)

今世紀、全世界の大きな課題となっている環境問題。化学物質による自然破壊を告発したこの本は、環境問題についての古典的名著になっています。(相模原中等)

心を整える

ご存知、サッカー日本代表長谷部誠の本。意外にも上位校3校で支持されています。
■長谷部 誠著、幻冬舎
■この本を推薦している高校:光陵、柏陽、秦野、鶴見総合

サブタイトルは「勝利をたぐり寄せるための56の習慣」。ワールドカップでゲームキャプテンを任されたプロサッカー選手が、日々実践しているメンタル術と信念を記録。(秦野)

自分を見つめなおすチャンスになります。(光陵)

目で見ることば

神奈川県の図書館司書がお勧めする「KO本大賞」というのがあるのですが、そこで第2位に選ばれた受賞作。めちゃくちゃ多くの高校で推薦されています。
■おかべたかし著、東京書籍
■この本を推薦している高校:麻生、足柄、生田東、大井、海洋科学、希望ヶ丘、港北、相模田名、菅、住吉、逗葉、秦野曽屋、保土ケ谷、大和南、横浜南陵、横浜緑園総合

「引っ張りだこ」「長いものに巻かれる」… 普段何気なく使っている言葉の由来を写真と簡単な文章で解説。(港北)

文字で見てもいまいち納得が出来ない言葉が、写真でみるととてもわかりやすいです。(希望ヶ丘)

島はぼくらと

2014年の「KO本大賞」の大賞に選ばれた受賞作です。
■辻村 深月著、講談社
■この本を推薦している高校:麻生、厚木、生田東、伊志田、海洋科学、川崎、希望ヶ丘、相模向陽館、相模田名、七里ガ浜、湘南台、菅、住吉、多摩、津久井浜、秦野曽屋、保土ケ谷、横浜桜陽、横浜旭陵、港北、座間総合、横浜南陵

瀬戸内海に浮かぶ冴島を舞台にした青春小説。島の生活で起こる問題や人との出会い別れを四人の高校生がそれぞれに受け止め乗り越えてゆく。海の光のまぶしさに希望が感じられるお薦め一冊だ。 (伊志田)

高校生にはぜひ読んで欲しい本です。この年代特有の微妙な感情が生きています。(希望ヶ丘)

瀬戸内海の小さな島、冴島。島には高校がないため、フェリーで本土の高校に通う、4人の少年少女。そして島の子は、いつか島を出てバラバラになる。一緒に過ごせる最後の季節、故郷を巣立つ前に大切なことを知る。(湘南台)

こころ

あまりにも有名な夏目漱石の代表作「こころ」。高校の教科書にも載っていて、私も高校時代にドハマリした小説です。横浜翠嵐や川和などのトップ校が推薦しています。
■夏目漱石著
■この本を推薦している高校:川和、希望ヶ丘、相模原中等、瀬谷西、柏陽、大和東、横浜翠嵐

明治時代に書かれた作品ですが、そこで描かれている人間のエゴイズムの問題は、現在でも全く古びていません。(相模原中等)

人間の持つエゴイズムを徹底的に追究し、そこから逃れられない人間の悲劇。(横浜翠嵐)

恋と友情…罪と罰…自分のものだからこそごまかせない自分のこころ。青春期にぜひ一読してください。国語の授業で一部を扱います。(大和東)

桐島、部活やめるってよ

2〜3年前に映画化された、あまりにも有名な小説。中学生にも読みやすいでしょう。
■朝井リョウ著、集英社
■この本を推薦している高校:厚木、津久井(定時制)、新羽、弥栄、百合丘、湘南、座間総合、平塚工科

男子バレー部キャプテン、桐島が退部した。たったそれだけ、でもそれだけじゃない。小さな波紋が、校内に少しずつだが確かに広がっていって…。心がちくりとして、ぎゅっとして、ふっとやわらぐ、17歳たちの群像劇。(湘南)

平成生まれの直木賞作家。早稲田大学在学中のデビュー作。(厚木)