神奈川の公立入試では、なぜトップ層ほど英国の得点が高いかをわかりやすく説明する。

2018年7月11日

中3生の進路面談、その他の学年の学習相談期間が続いています。また、今週の土曜日に実施する中3生の保護者様対象の進路説明会の資料作りも佳境に入っていて、なかなか鬼のようなスケジュールの中で動いています。

今日の中3生の進路面談で、トップ層ほど入試の学力検査で英語と国語の得点が高い理由が話題となったので、今日のブログでもそのことについて掘り下げたいと思います。

事実、上位校受験生ほど英国の得点が高い

まずは、改めて今年の入試と、去年の入試の平均点を偏差値別に振り返ってみましょう。ちょうど今週の土曜日の説明会で使用するスライドに偏差値別の平均点をまとめた資料があるので、そちらを引用します。

今春行われた2018年度の入試では、どの偏差値帯でも5教科の中で英語と国語の平均点が高いことが分かります。今年は例年に比べると国語が難化しましたが、それでも偏差値70の層を除く全ての偏差値帯で、国語の平均点が5教科の中で最も高くなっています。偏差値70の層は英語が1位で、国語は2位ですね。

2018年度は、偏差値70の層以外では国語の次に英語の偏差値が高くなっていましたが、実はこれは珍しいことです。2017年度を見てください。偏差値65以上の層までは国語が1位で英語が2位となっていますが、偏差値60の層から下は2位が英語から数学に変わります。

2018年度は2017年度に比べ、英語がやや易化し、数学が難化しました。逆に2017年度は、英語がやや難しく、数学は簡単な年でした。それでも、偏差値65以上の層は毎年のように英語と国語が1位2位です。英語がどれだけ難化しようが、数学がどれだけ易化しようが、トップ層で数学が2位になることは滅多にありません。

数学が1位2位になれない理由

この事実から、このブログでも「トップ層は国語と英語ができて当然」「トップ校を目指している人は英国でできるだけ点数を稼げ」と、トップ層の英国の重要性を何度も書いてきました。

今日はそこからちょっと視点を変えて、ではなぜトップ層で数学が1位2位になれないのかを考えてみたいと思います。そのヒントは、正答率にあります。

神奈川県教育委員会では、毎年の入試で、各教科の1問ごとの県全体の正答率を発表しています。このことは教育業界にいる人間の間では常識なのですが、あまり一般の保護者や受験生には知られていません。

2018年度の各教科の正答率一覧がこちら。
平成30年度神奈川県公立高等学校入学者選抜学力検査の結果

英語の正答率一覧

まずは英語の正答率一覧を見てみましょう。

最も正答率が低い問題が、問5の条件英作文で13.8%、次に低いのがリスニングの最後の問題で19.6%。その他の問題は、低くても正答率は30%以上あります。

この正答率と偏差値を比べてみましょう。偏差値から上位何%にいるのかが計算できます。例えば偏差値70というと、上位2.28%の位置にいるということです。「偏差値と上位何パーセントの対応表」を分かりやすくまとめてあった記事を見つけたので、是非こちらも参考にしてください。
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英語では、最も正答率が低くて13.8%。上位13.8%は偏差値だとだいたい61です。2番目に低い19.6%は、偏差値59程度。英語で最も難しいとされる問題は、偏差値65以上のトップ校受験生にとっては十分正解できる問題なのです。だから、トップ層受験生の多くは英語で8割9割を普通にとります。満点でさえ珍しくありません。

数学の正答率一覧

次に数学の正答率一覧を見てみます。

数学は英語と比べると正答率が両極端ですね。正答率が80%を越える問題が10問もあります。ちなみに英語だと80%越えはたった3問です。中堅下位層にとって、数学が英語に比べて得点しやすいのはこれが理由です。

一方、数学で正答率が最も低い問題は、問3の平面図形、問4の関数のラストの問題で両方ともたった2.8%しかありません。次は問6の空間のラストの問題で6.4%。上位2.8%は、偏差値だと69に当たります。6.4%は偏差値65。つまりこの3問は、偏差値65以上のトップ層でもなかなか正解できない問題だということです。3つとも配点は5点、3つ合わせて15点分です。

いくら偏差値65以上のトップ校受験者でも、この15点分をきちんと得点することは、英語と比べてはるかに難しいということになります。

まとめ

トップ校を目指していて、「英語は苦手だけどその分を数学でカバーするんだ!」と考えている受験生は毎年います。しかし、本当に数学でカバーするとなると、偏差値70レベルくらいにズバ抜けて数学ができる必要があります。「ちょっと数学が得意」レベルでは、他の受験生と差なんて付かないのです。

入試は5科目の総合点勝負です。だとするなら、トップ層にとって点数を稼ぎやすい英語と国語でできるだけ満点近く狙い、いくらトップ層でも満点が狙いにくい数学では手堅く80点〜85点を狙っていくという戦略が効率的だと思います。

もうすぐ夏がやってきますね。トップ校を志望しているけれど英語が苦手な人は、この夏で中1中2の文法の整理、単語力の強化を必ず行いましょう。