1年間小学生読書会をやってきたことによる成果。

2018年3月15日

2018年度の小学生も、今年と同様に算数・国語・読書会の3つが慧真館の指導科目です。

世の中は小3からの英語の必修化に向けて動いていますが、それでもうちは算数・国語・読書会でいきます。プログラミングのような今時のオシャレな科目も、理科実験教室のような子どもが食いつきそうな講座も、中1先取り英語もありません。

中途半端に英語をやるくらいなら、まずはしっかりと母国語を固めることの方が、のちの英語の力の土台にもなる、というのがうちの小学部の考え方です。

母国語の頑丈な土台があれば、英語は中学に上がってからでも十分間に合います。現に、今年の入試の英語で100点満点をとった2人も、中学から塾と学校で普通に英語を勉強してきた子たちです。ただ、2人とも読書好きで、国語の力はありました。

話を小学生に戻しましょう。

つい先日、小6生最後の読書会を行いました。2月〜3月は自由課題として、各自好きな本を読み、読んだ本について原稿用紙1枚ちょっと程度で感想文を書いて終わりました。

この1年間、1ヶ月〜2ヶ月に1冊のペースでいろいろな課題本を読んできましたが、自由課題でもとても良いレベルの本を選んで読むようになりました。

参考:読書会のススメ!塾で実践している小学生対象の読書会の進め方についてまとめてみた。

作文を書かせてみるとまだまだ課題は山積しています。しかし、それでも定期的に読書会を開催することで、これまで全く本を読まなかった小学生が本を読むきっかけになったりと、読書会による効果はとても大きかったように思います。

今日のブログ記事では、小6の自由課題図書の作文のうち、3人の作文を紹介してみたいと思います。なお、漢字や表現も、全て生徒本人が書いた原文のままです。

「不思議な夏の思い出」〜虹色ほたるを読んで〜


「不思議な夏の思い出」

ぼくが読んだ本は「虹色ほたる」という本だ。初めぼくはこの本の始まりの原因でもあるタイムスリップについて考えていた。もし自分がタイムスリップしたらどう思うのだろうか。とまどいながら読んでいった。

この本は、主人公のユウタが死んだ父との思い出の地であるダムに一人で行ったが、とつぜんの雷雨に足をすべらせ、気を失ってしまい、なぜかタイムスリップする話だ。ありえないと思った。だけど、気を失い死んでしまってたかもしれなかったのに、タイムスリップできるのならいいなぁと思った。

タイムスリップした場所は1970年代だったが、そこで同い年の少年と年下の少女と出会い、物語が始まる。二人と過ごしていく夏休みは、今の時代の人たちと似ているところや、少し違うところがあるけれど、自然たっぷりのいなかが想像できる話で、つっこみどころも多く、笑いもあり、感動もある話でとても良かった。

そして、この本は、本の中にも出てくる言葉、「生きる」ということを考えさせてくれた。「生きる」ことはすばらしいことだと、そして生きていればいつかはいいことがあると、教えられた。ぼくは、この本を読んで、自分が生きていることに自信を持っていいんだと思った。生きていればいろんなこともあるけれど、これからの自信や普段での生活に生かしていきたいと思った。

(小6男子)

「失敗だらけの逃げる旅」〜東海道中膝栗毛を読んで〜

「失敗だらけの逃げる旅」

私は、「東海道中膝栗毛」を読みました。私は古典に興味があり、私が読んだ古典の中で簡単でおもしろみがあるこの本を選びました。簡単にいうと、元若だんな弥次郎平兵衛こと弥次さんと、北八こと北さんが、ごまの灰(旅人のふりをして他人のものを盗む人)と勝負しながら旅をする話です。

この本を読んでみて思ったことは、本当に明るくて楽しい話だなということです。その中で二つ特におもしろい話がありました。一つは、小田原での話で、五右衛門風呂という底板を使って入るお風呂とは知らず、お手洗いの下駄をはいて入ったため、かまの底が抜けてしまうという話です。もう一つは、大仏の柱の穴を通りぬけようとした弥次さんが、体が大きいため、穴から出られなくなってしまう話です。失敗しても笑って旅を続ける弥次さんと北さんは、根が楽天的で一緒にいたら楽しいだろうなと思いました。

失敗しても、いったん落ち込んで、また元気になる二人から、失敗したら反省は必要だけれども、あまりくよくよしないで、次を見て動くことが大切なのではないかと感じました。

(小6女子)

「弱いけど・・・」〜弱くても勝てますを読んで〜


「弱いけど・・・」

ぼくは「弱くても勝てます」という本を読んだ。

この本を読もうと思ったキッカケは、この本はドラマにもなっていて、そのドラマのロケを小田原高校で行っていたため少し身近に感じたからだ。また、ぼくはスポーツが好きだからスポーツ系の本にした。

物語の主役は、甲子園を目指す開成高校野球部。しかし弱い。しかも練習は週1日。そんな限られた時間の中で練習している野球部を著者が取材をする。その取材の中で分かったことを著者の考えや、部員、かんとくのインタビューと一緒にまとめた実話だ。その中には弱いチームならではの作戦や考え、練習法が書いてある。

開成高校野球部は弱いしエラーも多い。しかし練習試合や公式戦などでも一戦一戦をがんばって戦い、勝つことができている。逆に負けた時でも得点差はきん差の試合がほとんどだ。これは、週一日の練習の中でも少しずつ成長していっていることの現れだと思った。開成高校野球部は、ほとんど長所である打げきしか練習せず、打順も1、2、3番の最初の方は強打者をおくという独特な野球のスタイルだから勝てるのだとぼくは思う。このようなスタイルが開成高校野球部に合っていて開成高校野球部らしいなと思った。

ぼくはサッカーチームに所属している。ぼくが所属しているチームも開成高校野球部と同じように、あまり強くなく、他のチームに比べて練習量も少ない方だ。しかしそこで開成高校野球部のように、少しずつでも成長するかしないかではたくさんの差があると思う。ぼくはサッカーがうまくなりたいので、少しずつでも成長できるように努力したいと思う。

(小6男子)

まとめ

読書会開始当初のことを思えば、まあよくここまで書けるようになったなというのが率直な感想です。

残念ながら中学部では読書会はありません。本当は中学部こそ読書会をやりたいのですが、部活やらテストやらで忙しい彼らのことを考えると、とてもじゃないけれど読書会をする余裕はありません。

でも、読書会がないからといって、本を読むのをやめないで欲しいと思います。日本語が話せる=本が読めるは決してイコールの関係ではありません。日本語が話せても本を読んで理解できない人が多いように、「読む力」は「読む」という行為によってしか身につきません。

そして、何度もこのブログで書いていますが、勉強において最も必要になる力は「読む力」です。問題文を読む、教科書を読む、解説を読むなど、勉強のあらゆる場面で「読む」ことが要求されます。勉強ができる人の多くが読書を好むのはそのためです。

つい先日もこんなツイートをしましたが、中学生は小説だけでなく是非新書を読むことにも挑戦してみてください。ちくまプリマー新書を読むことが受験に効果的であることについては、また稿を改めたいと思います。