中2のこの時期に、入試過去問を解くことの意味。

2016年3月5日

今日は中2生の理社の授業です。私が担当する理科では、2月の後半から、入試過去問を解きながら中1中2内容の復習を行っています。まだ受験勉強も何も始まっていない中2生なので、中1中2範囲の内容と言っても入試過去問を全て解ける生徒はもちろんいません。それでも、あえて中2のこの時期は、毎年入試過去問を解いて解説しながら復習する授業を行います。

「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」という兵法の格言があります。戦いに勝つためには、まずは相手を知らなければいけない。それと同時に、自分についても知らなければいけない。相手と自分のことをよく研究していると、百戦を戦っても負けることはないという意味です。

入試もまさにこの言葉があてはまります。受験勉強のスタートは、教科書を総復習することや、中1内容の基礎問題を復習することではありません。自分が今から1年後に受けることになる入試問題の過去問を解くこと。これが受験勉強の本当のスタートです。

今の入試問題が受験生に何を要求しているのか、どんなレベルに仕上げなければいけないのか、定期テストの勉強で太刀打ちできるのか、記述問題が多いのか選択問題が多いのかなど。入試が要求する知識レベルや思考力の程度、そして今までの自分の勉強が通用してきたかどうかということを、過去問を解くことでしっかりと自分の目と頭と手で認識するのです。

もちろん、中2の段階では手も足もでないような問題がたくさんあるでしょう。「こんなの無理だ」といって投げ出したくなるかもしれません。それほど、特に神奈川県の現在の入試問題と、学校の定期テストの問題のレベルの間には差があります。そこで始めて自分の学力のなさがよく分かるでしょう。学校の定期テストで満点やそれに近い点数を取ってきた生徒でも、入試過去問となるとなかなか思うように解けません。しかし、それで良いのです。それが出発点なのです。

この出発点から、山の頂を目指してこれから一歩一歩歩いて行くのです。出発点にいる今は、山の頂を眺めると気が遠くなるでしょう。しかし、自分の力の弱さと相手の偉大さ、今の自分で通用しないことをきちんと認識することがまず合格への第一歩なのです。

入試過去問を解く前と解いた後では、同じことを勉強するのでも、その取り組み方や意識が変わってきます。もちろん、まだまだ入試に対しての意識が低い今の時期では、そんなに大きくは変わらないかもしれません。変わるのはほんの僅かかもしれない。でも、その僅かな変化こそ、出発点から第一歩踏み出した証拠です。

まずは出発点に立つこと。そして、その場所から少しでも前に進むこと。この時期に入試の過去問を解くということは、そういうことなです。